「インパクトのある青春」という観点で見れば他の青春ゲーに劣ってしまうのは事実だが、その代わりに様々な角度から青春を展開してくれている。1つの活動の一点突破ではない。そして何よりヒロインズが非常に可愛く、イチャラブゲーとしての個別の充実度も予想以上に高かった。(前半はネタバレ弾いたつもり)
前半はネタバレは排除したつもりだが、ネタバレに見える部分があるかもしれない その時はご容赦下さい
体験版が体感とても長く感じたから、本編も相当長いのかなあなどと考えてもしまったけど、長さは普通だった
尤も、期待を裏切られたわけでもなんでもない 満足度は非常に高い
今作、残念な俺達の青春事情、ということで、青春をテーマに様々な事柄が展開されている
しかし、これは決して残念な青春ではなく、彼らなりの非常に美しい青春であった
そういう意味で、タイトルの区切り目は、「残念な、俺達の青春事情」ではなく、「残念な俺達、の青春事情」を推したい
確かに、意味不明なことをやっていることには変わりはないのだけれども
テキストについて話すと、やはりテンポの良い日常会話は相当の魅力である
特徴的な表現としては、体験版部分のみに見受けられたモブをモブだと認識する表現であるが、製品版の部分では全く無かったので多分大丈夫であろう
実際これに関しては、是非体験版をやってみてほしい ただ、嵌れば間違いなく飽きないし、読みやすいことは間違いはない
自分がコレのおかげでこの作品にダレを感じなかったのもまた事実だ
さて、これらのテンポの良い日常会話を繰り広げるキャラクター達であるが、非常にキャラが濃い
・皇燐音
毒舌コミュ障引きこもり系ロリ、という事で、非常に残念でまるでオタクのようであるが、本編にてそのような描写は控えめである(キーボードを早打ちする程度)
しかし何と言っても、上原あおいさんの演技が非常に魅力的
普段あのお方はおしとやかなロリキャラを演じられているイメージがあるが、今作ではかなり叫んでいたように思える
加えて、キャラ故の毒舌で罵って頂けるのである これは新しい性癖の境地を見出さずにはいられない
・藍川咲耶
いわゆる勉強が出来ない子 しかし料理も出来るし、面倒見も良い なぜこの子が残念な子という設定で本編に出ているのかは、個別にて明かされる
加えて何事にも真っ直ぐで、非常に素直な性格だ 勿論、バカ故の語彙力の無さや意味不明なことを口走ったりするが、それもこのキャラクターの魅力である
CVがあじ秋刀魚さんという事で、中の人ともキャラ設定が非常に似ているように思える え、いや、決して悪い意味では無いですよ?(震え)
・中丘ちまち
守銭奴 ロリ巨乳でクッソ可愛い声してて萌える以外ありえないキャラクター(自分のオススメ)であるが、お金の管理に目が無い残念な子である
ただこれもちゃんとした理由があって、個別で内容が明かされる 残念なことには何かしら理由があるという事だ
・東雲棗
自活能力がゼロ 半月もあれば家の中が見るに堪えない状態になるらしい 可愛いのに非常に残念である
ギャグが好きらしいが非常に寒い しかし、こういうキャラが1人はいるとなんとなく和むような気もするので、別に悪いとは思っていない
ちなみにこの子、全く可愛くないと思って最初に攻略したが、予想以上の可愛さで驚いている 可愛さは先入観で判断してはいけない
・橋本匠
残念な人たちの中に紛れる普通オブ普通 何故か残念に見えてきてしまうのが非常に不思議だ
え?なんでこの子がヒロインと同じように紹介されてるかって?エロシーンがあるんですよエロシーン!(なお1回だけの模様)
可愛いサブキャラへの期待を裏切らないチュアブルソフト様に感謝、9月に発売された某作品では妹が攻略できないというバグがあったが、今回はちゃんと救済されている
男共紹介しても苦しいだけなので割愛するが、つまるところこういう人たちによって織りなされる非公式生徒会のお話だ
これはこれは大変な活動になるものである 勿論主人公も、頭はキレるが残念な奴だ
自分はキャラの濃さ、キャラ崩れがないかどうか、というものを重視するタイプであるが、今作に関しては問題は無いだろう
キャラクターがそれぞれ言いそうな言動を並べていく その中で面白い日常会話が出来上がっているというのだから、褒める他ない
エロシーンはシナリオの中でそれぞれ4回ずつ+おまけ1回 橋本さんはおまけ1回 シナリオ中には無し
詳細はネタバレ部分で後述
さて、肝心のシナリオだが、共通と個別で全く内容が異なると言っても良い
・共通
体験版部分で半分は覗くことが出来る部分である 非公式生徒会の活動によって学園祭を盛り上げていくのがメインになってくる
ジャンルは勿論青春であろう 非公式生徒会とは言っても正式な生徒会でない以上、部活に近い
だが、非公式生徒会の仲間と送る青春という事で、友達であることを確認する描写も数多く見受けられる
基本青春というものは助け合いも絡んでくるが、今作の場合はそれがより確認されていると言っても良いだろう
これについては、意外と珍しいものだと思った 本来友達は青春活動の前提にあるもので、そもそもそれを確認する必要はないからである
しかし、話は戻るが、グライダーを飛ばしてモーニンググローリーを見に行くだとか、死んでもロケットを打ち上げるだとかに比べたら、幾分インパクトが薄いのも事実
だがその代わりに余りあるシナリオ展開と日常会話が見られるので全く問題は無い
結局彼らが非公式生徒会として何を出し物とし、学園祭をどう盛り上げていったかは、自分の目で確かめて貰いたい
・個別
共通の流れが一転して恋と真剣に向き合ってみたりだとか、残念な部分の事情だったりとか
だが、こちらも別の形で青春をしている 悩むという形での青春だ
友達としてやってきた非公式生徒会のメンバーにとって、特定の人と恋愛をするということにいまいち実感が沸かないのである
だから彼らは、恋をするとはどういうことなのかについて、ひたすらに悩むのだ
主人公がそれぞれのヒロインとの恋についてどう思ったのか、ヒロインが主人公についてどう思ったのかは、ここでは割愛することとする
ヒロインと結ばれた先に待っているのは、甘い甘い日常 いや、アツアツな恋愛なのかもしれない
今作は確かに青春ゲーであるが、萌えゲーとしてヒロインとのイチャラブを楽しめるのは事実だ
これが妙に濃くて、問題に向き合ったり悩んだりして青春する部分よりも尺があるように思う
キャラが気に入ればイチャラブメインで買っても損はしないかもしれない テキストの面白さと相まってかなりのものだ
とにかくみんな可愛かった お気に入りは勿論ちまちちゃん!
個別に入ったからと言って、非公式生徒会メンバーがあんまり出てこない、という事態が発生しないのも非常に魅力
友達関係という部分にも焦点を当てているからだろうか、やはりこの部分には拘りが感じられた
付き合い始めてノロケになっても、決して友達との関係をおろそかにはしないのである
勿論、他のヒロインが出てこないなんてこともなく、他√でもお気に入りのヒロインの活躍を見ることが出来るだろう
青春目当てで買った今作であり、王道青春に固定されるのかななどとも思っていたが、思いのほか色々なジャンルが楽しめたように思える
ただ、やはり一点突破の青春物語や萌えゲーに比べれば部分部分で弱くなってしまい、比較してしまうと劣化は否めない
だが、あらゆるジャンルを組み合わせた1つの作品としての完成度は非常に高く、それを受け入れてやっていけば間違いなく楽しめる作品だ
青春と言うテーマに縛られず、萌えにも縛られず、テキストの面白さにも縛られない
全てを総合して楽しむことが、今作を一番楽しめる方法なんじゃないかと思う
良くも悪くもオールマイティーな作品と言えるだろうか 少し珍しさも感じている
チュアブルソフト、今回もやってくれたな
以下ネタバレ
恋が分からぬ主人公がどう恋と向き合っていくか、残念なヒロインの事情をどう解決していくか
それぞれが悩んで悩んで悩んで結論を出していく それでも結論が出ないなら、友達に分からせてもらう
悩むのもまた青春である 心情描写と言う意味ではかなり楽しめる部類に入るのではないだろうか
これらの多くのテーマを並立で進行させることは意外と難しいことであり、しかもそれをテンポよく読ませるというのだから、評価せざるを得ない
共通後半
本当に良くやったなあと感心させられる 「何もしない」という出し物を本当に遂行してしまうとは思わなかった
勿論、本当に何もしなかった訳では無く、「エンターテインメントとしての出し物」はやったのだが、これはやられたなあと思う
燐音√
~ゴッコから始まる恋人生活~
…なんて生ぬるいものではない ゴッコから始まる恋との真剣な対面である
恋人ゴッコなんてのはとても醜い存在だ ゴッコ遊びである癖に本物の恋人がするソレを求めたがる
心の底から相手を愛していて、付き合いたいと思っているのに、一歩踏み出すのが怖いから、恋人ゴッコで満足しますなんてのは、一番の逃げの選択だ
それこそ、本編で咲耶が言ったように、恋から逃げて友達関係を維持している方がマシなのである
恋人になりたくないけど真似事はしたいなんてのはただの弱さ 弱さに溺れてゴッコ遊びをしていたところで未来なんてないのだ
弱さに溺れているという意味では、燐音も主人公も同じだったのだろう
恋が分からないと言いながら、自分が恋をしていることを否定し、恋人ゴッコに走る こんなの、ただ心が弱いだけに過ぎない
結局この話における主人公と燐音は、自分でこの過ちを正すことが出来なかった
だから友達が喝を入れるのだ これは友達として中々の描写であったが、それを咲耶にやらせたことには更に感心した
そもそも咲耶、同じ人に恋をしている身なのである それなのに他人のゴッコ遊びのもどかしさに腹が立ち、説教するのである
どうしてそんなことをしたのかを考えれば、結局、咲耶は恋をしている主人公が心から幸せになって欲しかったに他ならないと思う
咲耶の悲しい気持ちには非常に同情するが、同じ人に恋をしてしまうと時にこうなってしまうのかと、少し悲しくもなる話であった
残念な部分の克服と言うことで、コミュ障克服も一応テーマにはなっているが、正直非公式生徒会の活動の中で概ね達成されていて、あまり濃いテーマではない
付き合い始めてからは本当にベッタリで、中々のイチャラブを楽しめる
罵って頂けるのも中々幸せだったが、そんな燐音ちゃんがデレているというのもまた興奮するものだ
エロシーンは
・愛撫→着衣正常位
・69→バック
・オナニー→正常位
・フェラ→対面座位
・ネコミミメイド服パイズリフェラ→バック
非常に充実したものになっているが、ロリなのにおしっこが無いのは少々悲しかった(他のヒロインにはあっただけに)
Aカップなのにどうしてパイズリが出来るのかという最大の疑問については触れないでおこう
咲耶√
ずっと恋している幼馴染を貴方は受け入れられますか?
ヘタレ主人公が垣間見れる話 この話でも燐音√と同じように結局結論を出せずに友達に助けて貰うことになる
今回は男性陣であるが、殴ってまで分からせる、と言うのは心に響くものであった
いや、殴られないと自分の弱さに溺れて結論など出せないというのが正しいのだろう
ちなみに今回殴った男友達もまた咲耶に恋をしていた 心中お察しします
付き合い始めてからというもの、残念な部分であったバカとの向き合いがメインとなってくるが、ここは本当に良かったと思う
主人公を好きになって、付き合ったが故にその目標が見えてくるというのも中々面白いものがあった
勉強を頑張るために主人公を自ら拒絶して自分を追い込む描写というのはあまり見たことが無い
勿論勉強の成果は出るし、成績も上位に食い込むことが出来る普通のエンドが待っている 努力したことに間違いは無い
つまるところ、根っからのバカなのではなく、勉強から逃げていただけだったということだ
同時に、料理を極めたい、という夢まで見つけるようになる これはまた、主人公と付き合うことによって、未来を見据えるようになったということだ
実際、この子の残念な事情は、バカなことではなく、現実と真剣に向き合わなかったことなのだと思う (…何かブーメランが痛いような気もするが)
付き合い始めることで現実が見えるようになり、色々考え始める彼女の姿には、とてつもない成長が見られる
イチャラブは変わらず可愛い
彼氏のためにお料理作っちゃう女子力の高さ
エロシーンは
・パンツの上から愛撫→正常位
・パイズリフェラ→騎乗位
・オナニー&愛撫→正常位?(体位に詳しくないのでわからない 対面側位と正常位の間みたいなもの)
・風呂場で愛撫→バック(おもらしのテキストこそあるものの、何故かCGに黄色が無い 悲しい)
・裸エプロン愛撫→背面座位
せっかく咲耶ちゃんともあろうお方がおもらしをしたのにどうしてCGに表さないのか、不思議で仕方がない上に誠に遺憾である
ちまち√
とっても可愛いちまちちゃん!突如として始まるちまちちゃんとの同棲!そのまま愛を確かめ合ってカップルへ…
一応、その前に守銭奴の本当の理由が明かされる描写があるが、事が動くのは後半なので、特に言うことは無い
イチャラブの萌えは至高 特にベッドに横になってるCGなんて可愛すぎてお宝だ
あんな目で見つめられたらニヤニヤせざるを得ない 皆本当に可愛いけど一番は誰と聞かれたらやっぱりちまちちゃんだ
後半は、何故ちまちちゃんは守銭奴なのか?という疑問の答えに迫る
ベタな展開だが、家族ネタとしての完成度は高かったように思えた
ちまち自身は家族に捨てられた、愛して貰えていないと思い込み、お金だけが自分の見方だと思ってひたすらに金をためることを決める
対して両親はそんなことは思っていなくて、今更どう関わって良いのかという迷いの気持ちがあった
勿論この2人は交錯するが、どちらが悪いという訳では無い どちらも悪いとも言えるしどちらも悪くないとも言える ただすれ違ってしまっただけなのだ
向き合っていなかっただけで、向き合ってしまえば自然と解決する展開というものはよくあるものだ
だが、それを守銭奴と言う残念な事情から導き出し、シナリオとして無難にまとめたことに関しては尊敬に値すると思う
(正直な話、悩んでいるちまちちゃんを見るのが辛かった 俺は泣いているちまちちゃんの顔を見たくないんだ…)
エロシーンは
・服の上から愛撫(スパッツを履いているというのが大事)→着衣騎乗位
・パイズリおしゃぶり→正常位(脚の開き具合が大きいように思える)
・トイレで放尿→愛撫→背面座位
・非公式生徒会の溜まり場で対面座位
・スク水でオナニー→壁バック
………ふぅ
棗√
友達としての好きと恋心としての好きの違いが分からなくなるが、この√では自己解決する
この√では先輩もまた恋が分からない、ということで、2人で協力して結論を導きだしていく描写も魅力だ
いや、2人だからこそ結論を出せたのかもしれないと思う
燐音√での主人公と燐音の悩みは孤独な悩みであり、咲耶√でもそれぞれが離れてしまったため、孤独なものとなった
もしかすると、2人なら解決できるかもしれない、というメッセージなのかもしれない 何事も、向き合ってみることが大切なのである
残念な事情は自活能力の低さという事であるが、これも付き合い始めることで簡単に解決してしまう
つまるところ、目的が無ければやらないというのが棗先輩なのである
だから主人公と付き合い始め、彼氏のために何か出来ることはないかと考え始めた時、自然と自活能力を手に入れてしまうのだろう
最後の展開は個人的には非常に残念なものであった(良い意味にも悪い意味にも)
世の中には、先輩が卒業した後、離れ離れになって会えるまで必死に我慢するというエロゲもあったものだが、今作の場合は非常に適当だったように思う
だが、これが「残念な俺達の青春事情」なりの終わらせ方だとすれば、自分にはそれを否定することはできない
狙って残念な終わり方を演出したのなら、それは尊敬に値することだと思う
正直CVもあんまり知らない人だし(ごめんなさい)、なんか見た目も魅力が無いしで完全に投げやり攻略になるかと思ったが、予想以上に可愛かった
ヒロインは攻略してみるまで分からないものである 攻略してみれば可愛かったなんてのはザラ、先入観にとらわれてはならない(2回目)
エロシーンは
・愛撫(だが向こう側を向いているので見えない)→背面側位?
・手コキ→アナルセックス
・屋上でパンストオナニー→破いて着衣対面座位
・パイズリフェラ→さっきも言った正常位と対面側位の間的なアレ
・着衣愛撫→着衣正常位
(・トイレでおしっこ)
トイレでおしっこを我慢できなくて見られながらもそのまましてしまうというのは、中々そそるものだなあ
匠√
√なんてたいそうなものではないし、一瞬で終わってしまうおまけ的な存在ではあるが、サブをサブで終わらせずにこれを実装したことに頭が下がる
エロシーンは愛撫からの正常位というベタなの1本 もっさん可愛かったから1回でも満足だし、無いよりは全然マシ
エピローグ
連関的な構造を暗示するかのような内容だ
非公式生徒会を卒業し、新しい建物が立ち、また新しいメンバーが非公式生徒会を立ち上げ、学園を盛り上げていく
これを1つのサイクルとして、どこまでも続いていくかのようなテキストが見受けられる
青春というテーマをとにかく押し出してきて、様々な青春を見せてくれた今作であったが、これこそ最終的なテーマなのかもしれない
ここから読み取れるのは、「始まりがあれば終わりがある、終わりがあれば始まりがある」という事
非公式生徒会と言う活動は終わってしまったけれど、彼らの友達関係はまた新しく始まるし、新しい人生も始まる
あの時感じたあの感動、青春の物語も、終わってしまってそれっきりではない
それは次に始めるための材料に成り得るという事だ
彼らの人生もまた、非公式生徒会の活動を経て、新しい局面に到達する事であろう
総評
前作「あの晴れわたる空より高く」が特に気に入っていて、それと比較するとやはり点数は劣ってしまうのだが、面白さと言う意味では引けを取らないのではないだろうか
青春の中に存在する、様々な活動や葛藤を通して、それこそ、どこにでもありそうな青春を感じることが出来る
テキストが面白いテンポの良いゲームでありながら、様々な青春を堪能し、その上萌え成分まで持ち合わせている
自分の中での満足度は非常に高い インパクトの強い青春ものと聞けば勿論はれたかを推すが、青春葛藤となれば、今後はこの作品を推していきたい
全力で部活に取り組むだとか、全力で学園祭を成功させるだとか、それだけが青春ではないのである
悩むも青春、友達に助けて貰うも青春、友達と遊ぶも青春 充実した日々は、それだけで青春に成り得るのだ