プレイ中はいろんなことを考えはしたし、ご都合主義感も否めないけれども、終わってみればやっぱりプレイして良かったなと思う。
ひとつひとつを見ればごくごく単純なお話なのだと思う。
目の前の敵を倒して、自分の愛するべき人を守ろうとして、それを繰り返して生きていく。
戦闘シーンが特別心に響いたわけでもなかった。
けれども個別√が終わる頃には、ED曲を聞きながら「なかなかいいお話だったなあ」と回想できる。
仮にプレイ中は大きな何かを感じなかったとしても、終わってみればいろんなことがあったし、確かな苦労を乗り越えた先に掴み取った幸せがある。
そんなことを考えながら、幸せに至るまでの苦労や積み重ねがあることにはやはり感動するし、そういう意味では個別√に関してはどれも同じような感想を抱いた。
一番好きな個別√はコンスー√。
絶体絶命の状況で見事にプログラムを起動させるのはまあ約束された展開と言えるかもしれない。
しかし、昔の友達を思い出し最後にイリアを笑顔で笑い合うシーンは、なんだかほっかりとした気分になり、プレイして良かったなと感じてしまう。
他の√も同じような何かを感じはしたが、コンスー√が一番心が温まったような気がする。
こうして個別4人分の話を積み重ねてくることで、登場人物それぞれの相互の関係に深みが増してくる。
キャラクターそれぞれにそれぞれの関係があり、そこには性別の壁がなかったりもする。
そういうことを個別√をプレイしている間ずっと考えさせられ、それはもうどのキャラクターにも思い入れがある。
この状態でtrueを迎えるわけで、trueでは今までの集大成としてイリアを救う未来、早雲とイリアが結ばれる未来、他のヒロインが過去と決別する未来がある。
特別新しいことがあるわけでもない。でもオールクリア後に確かに「プレイして良かった」と思えるような、そんな終わり方。
Assembleは名曲。これまで個別√のEDを見ながら良い曲だなあと思いつつもギャラリーで聞けなかったモヤモヤが一気に晴れていく。
歌詞が鮮明になる演出。これにはやられた。ご都合主義感だとか無理やりだとかそんな感情も全部吹っ飛んだ。サブコンに救われて涙が出てきてしまった。
コンスーを贔屓したいわけではないけれども、涎を垂らしながら朝日を眺めるコンスーの1枚絵には物語的な何かを感じてしまった。
早雲はイリアと幸せそうに抱き合い、エチカは霧里と結ばれてハッピーエンドを迎える。そんな中で密魅とコンスーは静かに未来への思いを馳せる。余韻を感じずにはいられない。
コンスーの1枚絵の方が好きなのは、海面に反射する朝日が綺麗だっただけなのかもしれない。何にしてもこの作品で一番好きなCGだ。
こういう絵を見るだけで今までの活躍とかを回想して物思いに耽ってしまうので、正直ずるいと思うが、刺さるものは刺さるので仕方がない。
…結局は音楽と演出の勝利なのかもしれない。それでも心に感じたこの感情は本物だと思う。
ニトロプラスの作品は初めてだったし、あじ秋刀魚の名前を聞きつけて即座に購入しただけだが、これは本当に良いものを引けたと今なら言える。
Assembleが名曲過ぎてサブコンプロジェクトの方も気になるので…今後はCD買いも視野に入れたい。