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nejimakidoriさんのリトルバスターズ!の長文感想

ユーザー
nejimakidori
ゲーム
リトルバスターズ!
ブランド
Key
得点
65
参照数
1941

一言コメント

期待はずれ ただ麻枝さんの限界はこの作品できっちり見えたし、これはこれでよかったのかも

長文感想

よくも悪くもKEYの作品であり、麻枝准の作品。
退屈な共通、個別ルート→感動のラスト。
はい、いつものKEYです。どうもありがとうございました。

KEYは全作品やっているわけだけども一貫してこの図式は変わっていませんね。
今回特に前半が退屈に感じられたのは、前回で可南子、春原がやっていたコメディの役割が真人では力不足だったのが痛い。

同じようにコメディの役割が力不足だった、Airと似たような印象を受けた。
惜しいのはクラナドや智代アフターで出来ていた、一見つまらない日常の輝きというものを表現できていなかった点。ESでは誰も評価してなかったんだけども、朋也の仕事の描写の場面は他のエロゲーにはない丁寧な描写があったのでよかったのに、今作品ではそれがなくなってた。

今回のテーマが友情で前回、前々回のテーマが人生だったのでそれは不要と思ったのかもしれないがドタバタ劇やらせりゃ友情になるってもんじゃないだろう。

もともと人間を描写する力はKEYになく、今回はコメディもいまいち、残ったのは、いつものわけのわからないご都合主義・・・。個人的にはKEYでは一番つまんなかった。

個別シナリオは、
西園はわけがわからない。西園はキャラクターだけを見たらどこにでもいそうな女の子で
もっとまともな話いくらでも作れそうなのに、なんであんなトンデモシナリオにするのか理解に苦しむ。

葉留佳は観点はわるくない。もっと深く掘り下げれば面白くなる。変に「家」と言う悪役を作らずにみんなを悪役と善玉の両方の面を持たせればこのシナリオは化けると思う。
「差別」は人間を描くにはかなり適している。智代アフターは智代という完璧超人をつかって人間を描こうとしたのが失敗の原因だけど、葉留佳を使って、「家」という明確な悪役を作らずに描けばかなり人間を描くことが出来るものだと思う。

クドも前半の部分、悪気はないのに人を傷つけることがあるってところは評価できる。
クドが英語ができなくて勉強してるのを見て、みんな面白がるところね。
言ってみれば他者の求める自分と自分の求める自分の乖離。
ただクドシナリオはクドが帰ってからはまったくダメ。わけのわからないお涙頂戴と安っぽい奇跡。

小毬はほんといつものKEYのダメシナリオの典型。どこにも評価するところがない。

来ヶ谷は実は、個人的に一番評価してる。いや、後半のワケワカラン部分じゃなくて前半の理樹が来ヶ谷にアプローチしていくところね。
エロゲーって普通に男の子が女の子にアプローチしていく描写が驚くほど少ない。
だいたいエロゲーのパターンって女の子を男がセラピーして、それでくっつくってのがほとんど。
でも実際の恋愛ってまず、男が女にアプローチしていかなきゃ何も始まんないわけだし。
もちろん恋愛描写の部分も物語としても、このシナリオは及第点はあたえれない。
けど、当たり前の恋愛を当たり前に描こうとした部分だけでもこのシナリオは十分評価できる。個人的にね。

鈴シナリオはみなさん評価してるみたいだが、個人的にはイマイチ・・・・。
理樹と鈴の成長が感動をよぶのかもしれないが、理樹はともかく鈴はほんといつものKEYって感じでダメダメだった・・。

あとクラナドの時も思ったのが、野球を入れるんならせめて野球の専門書を10冊は読んで、野球の試合を200試合はビデオで見て、実際の野球の試合を20試合は見てきてほしい。