奈須節が許容できるかできないかで評価は大きく変わる。
ある意味、エンターテインメントとしてはこれ以上ないくらいに完成されているビジュアルノベル。エロゲーとしてみると非常に微妙な出来ではあるが演出面等は素晴らしい。
奈須きのこ独特の世界観は少年漫画チックでリアリティを求める描写を好む人は抵抗があるものの、娯楽を娯楽と割り切れるならば、十分に楽しめる出来であろう。
ただ、これは全て独特の奈須文体、奈須ロマンを許容できるかどうかという限定がつく。
正直なところ、奈須の文体は、彼独特の味というものが、他のライターに比べて色濃くでている。
それはまた彼の描く人としての美学にも強く現れている。
奈須は、衛宮士郎や遠野志貴を作中で故意に「歪んだ人間」として描いているものの、
結局のところ、最終的には主人公万歳的な世界観にしてしまう。
もちろんエンターテインメントとしてはそれでいいのだが、
ここが、奈須節が許せない人にとってはものすごいご都合主義と感じるわけだ。
そういう奈須世界観が受け入れられないとしたらこのシナリオはただのダラダラとしたクソ長いシナリオになってしまう。
そんな作品