コスプレシチュがメインに思えるが熱量を感じるのはそれ以外の部分。主人公視点のみで完結し、それ故に省略されている部分も多い。過去作と比べるとボリュームは落ちるが、依然としてコストパフォーマンスは高め。
ヒロインと出会う前(仲良くなる前)から寝取られている変則シチュ。
全編主人公視点で進行する為、やり場のない感覚を味わうことができる。
ただ、ヒロインは相手の男に初めから好意を持っているので
寝取られ作品の醍醐味である、可哀想だったり心が苦しくなるような展開は少ない。
自分の大切なものが取られるというよりは
大切だと思っていたものが汚されていた絶望感と対峙するのだが
雰囲気自体はそこまで重くはない。
というのも主人公には選択肢もなく後悔のしようも無いので当然ではある。
(ぼかし加工あるなしに関わらず)コスプレものエロゲの問題点として、
髪の色や髪型が変わるとプレイヤーがそのキャラを容姿で判別し難くなるというものがある。
主人公がファンクラブ動画でエロシーンを確認していく流れなので
エッチに至る導入が描かれていない事も多く、それがさらに上記の問題を増幅させている。
一応、事前に新しいコスプレ衣装を主人公が見る日常シーンはあるものの
やはり別人が犯されていると錯覚してしまうタイミングはあり
導入と事後が見られないことも含めてエロシーンの満足度は下がってしまう。
特にヨーココスに関しては事前に見ることができないので顕著だった。
絵は全体的に高品質で塗りも良い。
気になった点は、イベントCGにおいて間男である先輩の顔が立ち絵と異なる部分が多い。
端的に言えばヒロインはとても可愛いのだが男性はあまり上手いとは言えない。
まぁ男の顔を無理して描く必要もないので全てのCGで顔が見えない構図にするなどの
対応策を取った方が無難かもしれない。
あとは精液描写が過去作より控えめに感じたのと
乳輪の色が少し赤いなと思うシーンがいくつかあったくらいだろうか。
同価格帯の『エガオノリユウ』や『イロヨリドリ』と比較すると
良い部分はありつつもボリューム面では物足りなさを感じた。
テキストはいつも通り読みやすく。キス単体のシーンが無いのは残念だったが行為中のキスはそこそこ有り。
特に中盤で明かされる初体験から徐々に開発していく展開はいつものねっとり感があって良かった。
一方で、前述したファンクラブ動画の閲覧によるシーンで導入と事後の会話が見られない事と
屋外シーン2つがどちらも会場のトイレというのもシチュ的に意外性に乏しかった。
時系列でマシュコスでのイベント帰宅後のシーンくらいまではヒロインは割と言葉では抵抗しているので
そうなると完全に堕ちた状態のシーンが、
主人公が先輩の家で鉢合わせしてしまうシーン+クリア後のおまけ2つの計4シーンくらいになる。
実際に一番エロかったのが「おまけのアナザーエピソード2」だったので
言ってみれば映画のエピローグが一番盛り上がるような感覚であり
シーンの分配としてはもう少し早めに完堕ち状態にして欲しかった。
過去作での髪を染めてビッチになる展開が今作ではマシュコスだったと思われるが
そもそもヒロインがコスプレ好きという設定なので先輩の影響で着させられている意識の変化が
イマイチ伝わってこない。コスプレイヤーは露出度をあまり気にせず着るイメージがあるので
「こんな露出度の高い衣装を着るくらいビッチになったんだ」とは思いにくいのである。
細かい点として、
クリアするとタイトル画面の立ち絵が変わるが個人的には普通の制服のままが良かった。
元に戻すこともできず立ち絵と回想シーンとのギャップが失われるので自分にはいらない仕様だった。
クリア直後だけ立ち絵が変わりソフトを再起すれば元に戻る仕様なら良かったのだが
ユーザーは1か月後はおろか数年後でも起動して、程よく忘れた状態で楽しむことだってあるのだろうから
その度に完結後のような立ち絵が表示されるのは良くない仕様だと思った。
(セーブデータを消したり移動させれば一応対処はできるが……)
■総評
終わってみれば印象に残ったのは最後のおまけと彼女の初体験から開発までを先輩に聞かされるシーンで
序盤のコスプレHはさして重要とは思えなかった。時系列では一応、調教完了を宣言した後なのだが
コスプレしたままでの行為や男の態度が不満なのかヒロインのセリフ上での抵抗感が強く
制服でのエロシーンの方がずっと素直で可愛らしい。
トイレでの行為も嫌々されてる感があるので
結果として喜んでセックスしちゃってるシーンはかなり少ない。
できれば27シーン中の半分くらいはそういったシーンにして欲しかった。
抵抗するくらいの方がリアリティがあるとも言えるが
最も良かったシーンが言いなり状態のおまけのアナザーエピソードであることは疑う余地もないと思う。
もしかすると時系列では中終盤に位置するコスプレHを序盤に持って来た為
ゲームの構成上、初めから乱れまくりという表現がやりにくかったのかもしれない。
絵と声は80点クラスだが、それらの要因で堕ち度が相殺された結果、思ったよりも点数が伸びないという印象。
(ファンクラブ動画の)加工された音声は違和感があり、加工なしver.が用意されている事にはホッとしたが
絵を含めたこれらの加工処理に労力が掛かってしまったきらいはある。
加工なしver.はおまけ扱いと説明があったが、
顔や音声がぼかし加工されているエロシーンで満足できるユーザーはおそらく少数なので
それであれば冒頭だけ加工ありで見せてすぐに加工なしで展開していく形でも良かった気はする。
その代わりに、アナザーエピソードのような完堕ち状態のシーンがもう2つ、3つでも増えれば
ユーザーにとってはそちら方が恩恵が大きかった気がするのだ。