全体的に丁寧な作り。ヒロインの容姿は幼く、そこは特筆に値する。だが、ロリゲーにあるべき部分が無く、エロの薄さに繋がっている。
ロリゲーにあるべき要素、それは背徳感である。
いままで幾つかロリゲーをプレイしてきてそのどれにも何らかの背徳感があった。
ただ、この作品には決定的にそれが欠けている。
ヒロインは双子の姉妹だが主人公の行為についてほとんど抵抗を示さないと言っていい。
それは主人公への信頼ゆえでありまた主人公も無理強いはしないので終始ほんわかとした雰囲気が漂っているのだが
問題はそれによってロリゲーにあるべき背徳感を年齢のギャップでしか表現できない状況になってしまっている点である。
では、年齢への言及があるかと言えば、もちろん商業作品でもあるので無い。
明確な言及が無いのは当然としても、エロシーンにおいて
「まだ小さいのに」とか「まだ駄目だよ」などのそれを匂わせる表現も皆無と言っていい。
主人公は、独白によってヒロインに性知識がないという説明は執拗にするが、それだけでは余りに表現として弱く、
その他あるのは未成熟な身体というどんな年齢であっても通用する表現のみであり、
ヒロインの台詞として主人公、つまり大人への自制を求める言動などは無いのである。
容姿を見れば十分だと思う人もいるかもしれないが、
エロゲーの要ともいえるテキストによって表現される背徳感が無いのは致命的と言える。
性知識がない=幼い ではないし、夏休みという閉鎖された空間では対比を表す事象もない。
また、ヒロインの生い立ちについても主人公の父親の再婚相手との子という設定であり
プレイヤーからしてみれば異国から突然やって来た年齢の分からない幼く見える姉妹でしかないのだ。
つまり容姿としての背徳感はあるもののそれを除けば本来ロリゲーにあるべき要素が無く
それがエロの薄さに繋がっているのは明白である。
これがもう少し自我がはっきりとしていてエロへの抵抗感を示すヒロインならば印象は変わったのかもしれないが
恥じらいを感じつつも主人公にされるがままのヒロインではどうやっても背徳感を表現しようもないだろう。
その他にもエロの薄さの原因については、
シーンの尺がやや短い、絵と塗りがほんわかとし過ぎている、差分や精液表現が少ないなど
いくつかあるのだが、上記で書いたロリをロリとして表現する手法が余りに限られており
これでは外見をこれだけ幼くしても本末転倒なのではないかと思えてならない。
既にこの後に2作出ているので今更感のある指摘ではあるのだが
どれだけ容姿が幼くともロリゲーとして簡単に成立はしないなのだなと思わされる作品だった。