人を選ぶが興が乗ると止まらない。間口は前作よりは広め?霞外籠逗留記などraiL前2作同様、文章に非常にクセがあるので体験版をやってから購入推奨。
読みづらいとか不快とかいうわけではないけど、読んでて結構疲れますorz
が、慣れると止まりません。その点では良い文章だと思います。
前作は体験版止まり、という訳でraiL初体験の自分ですが楽しく飽きずに読めたので過去作よりは間口は広い……気がします。
システム面では件のV=Rシステム他使いやすくまとまっていると思います。
よくある各キャラでボイス音量が違う(上に個別調整出来ない)とかもなく。
むしろ自分のやったゲームではあまり無かった、『ロード後にもバックログが読める』のは非常に嬉しい、「ちょっと前を読んでどんな場面か思い出す」が出来るのはとてもありがたい。
内容的には明治大正期風のドタバタ航海活劇。
ギャグが面白可笑しい大爆笑……とは少しベクトルが違って、こういった雰囲気が好きな人が終始ニヤニヤしっぱなし。そんな感じのコメディです。
推奨攻略順は特になし。でもライターの意図としては双子→船長→女乗客っぽい。
船長(クロ)ルートに関して。
紹介にもあった通り、一応某神話をモチーフにしてる模様ですが詳細知らない自分でも特に難解には感じなかったので気にしなくてよさそう。気持ちSF。
そして魅せ方はもの凄く上手く「歪な純愛」という点で自分には珍しく感情移入して楽しめたんだが……どうももやもやの残る終わり方。
鬱に徹するでもなく、完全HAPPY?いやあれはHAPPYなのか?という。
これについては気に入る人とそうでない人分かれそう。自分は好きですが……
双子(シサム&キサラ)ルート。
こちらは元ネタ(あるのか?)わからず。
自分の読解力やら知識やらが足りないのか、「細けぇことは(ry」で読み進めないと少し話の整合性というか本質が見えづらかった。
しかしENDは割と痛快で、今のところ1番"この作品らしい"感じで締まってたように思います。
女乗客(泪)ルート。
誰もが知っているお話がモチーフ。
これ読んで何か頭にひっかかると思ったら……八房龍之助の漫画『宵闇眩燈草紙』の「汐曇り / 汐待ち / 汐溜り」を彷彿とさせたのか。道理で。
(コレ知ってる方にはガチのネタバレ気味ですが、恐らく宵闇と信天翁被る読者層なんざそうそう居ないだろうので気にしない事にします。いやでもこのメーカーファンの方だと結構知ってそうな。)
相変わらずSF臭は香りますね、他のルートでも言えますが後半個別に入ってからやや唐突にSF臭くなるのは少し違和感があります。
ハ●ヒでいきなり長●が講釈し始めた時の唐突さというかなんというか。
どの個別ルートもシリアス(笑)なノリは鬱陶しく無くて素敵。
結構個別が長い?というかシナリオ自体個別に入ってからは全く別の展開を見せるのは飽きないですね。
H回想枠は11。少ないかなと思いきや各々かなり濃い。11回というより11セットとでも言うべきか。
描写も独特ながら詳細で、使う分にも問題無いでしょう、とはいえシナリオ重視の作品であろうのでそれ目当てに手を出す必要は無いかと。(あまり居ないと思いますが。)
BGMが非常に雰囲気とマッチしていて◎。
立ち絵は文章と被りがち(V=Rシステムの文字サイズ調整で回避は出来るがそれでは読みづらい)だが表情豊かで味がある。
何よりイベント絵がとても躍動感があり、恐らくこれを並べて見ただけでワクワクが止まらない人が多数いるんじゃなかろうかという出来栄え。気になったら公式HPをちらと覗いてみると良いでしょう。
そして最終ルートはまさかの個別BADを拾っていく形。アツイ展開。
正に『信天翁号の物語』。