145周でエンディング。1ゲーム10分程度の人狼を通じて、キャラを掘り下げていくのがとても楽しい。 絶妙なタイミングで解禁されていくイベントにより飽きずに勧められた。
■ゲーム内容
※グノーシアを探す話し合いを「人狼」。世間一般に知られている本家「人狼」を「汝は人狼なりや?」と表記します。
※「汝は人狼なりや?」における役職と本作での名称
人狼=グノーシア
占い師=エンジニア
霊能者=ドクター
他の役職は割愛。
※「汝は人狼なりや?」における処刑は、本作ではコールドスリープ(凍結)。
人狼→人狼中に条件を満たすとイベント→結果に応じた経験値入手→人狼……
がこのゲームの基本的な流れである。経験値が貯まると、プレイヤーの発言を目立たなくしたり使用できるコマンドが増える。
私は「汝は人狼なりや?」の存在や大まかなルールを知ってはいるものの未プレイ。
序盤は少人数かつ役職が少ないため、良いチュートリアルとなった。ペナルティがなく負けても経験値が貰えるため、試行錯誤しやすいのも特徴。悪手もとりあえず試してみることで、何が駄目なのかが分かるため、脳内で考えるよりも分かりやすい。
具体的にはグノーシアが2人のルールで、エンジニアが名乗り出た際に2人名乗り出てはいけないと分かった。言うまでもないが、3人とも凍結されてグノーシアサイドが敗北。
■キャラ・イベント
主人公込みで15人のキャラがいるが、全員に魅力を感じられた。
首に猫がくっついている男や宇宙人やイルカもいたりで、見た目からして個性的だが、何よりゲームを通じてキャラの内面や性格が分かってくるのが楽しい。
自分から見てグノーシアだと分かっているのに、美少女なので凍結されにくいククルシカ。凍結させたいけど喧嘩売ると反撃されるので、喧嘩売った時に同調だけするのがセオリーの夕里子……といった感じで、一人一人のパラメータの違いが個性としても成立している。
特定の役職で特定の人物と生き残ったり凍結させたりすると、イベントが発生するがこの難易度も絶妙。145周も飽きずにプレイできたのは、このイベントの発生による刺激とイベントの内容の面白さによるところが大きい。
自分は同じテキストを何度も見ることになるSLGより、分岐の少ないADVを好むが、本作は同じテキストを何度も読んでも楽しめた。同じ「〇〇が怪しい」という人狼中の台詞でも、キャラへの理解が進むにつれ「なぜその発言をしたか?」が分かってくるので同じテキストから読み取れる情報量が増えるのに快感を覚えたからである。
70周目あたりで印象深いことがあった。このループで自分はドクター。この時点で「反撃する」コマンドは覚えていない。
初手でコメットにグノーシアと疑われ、直後にコメットを「疑う」コマンドを使い上手く凍結させた。
たったこれだけであるが、下記のような情報・論理の組み立ての結果であり、ほぼノータイムでこの思考に至った自分はキャラへの理解が進んでおり、『グノーシア』というゲームにどっぷりと漬かっているのだと感じられた。
1.コメットは直感が高いので、適当に言ったのではなく意図的にこちらに疑いを向けさせようとした。
2.よってコメットはグノーシアないしAC主義者。どちらにせよ凍結すべき敵。
3.コメットより自分の方が信用されやすいため、コメットに疑いを向ければまず凍結に成功する。
■総評
15人のキャラ全員に個性があり、個性の違いがそのまま人狼にも表れている。キャラとゲームが非常に上手く噛み合った傑作。
■追記
コンプ後しばらくして再プレイしたが、人狼ゲームそのものの面白さは結構減ってしまった。やはり、ほどほどのアンロック要素と先を見たいストーリーがプレイ意欲となっていたのだと再認識。