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myozyoさんの我が姫君に栄冠をの長文感想

ユーザー
myozyo
ゲーム
我が姫君に栄冠を
ブランド
みなとそふと
得点
73
参照数
594

一言コメント

クソゲーではない、ではないが全体的にキャラが多すぎて掘り下げがいまいち。また初回固定の帝国編が事実上のキャラクター紹介チュートリアルルートで掘り下げの薄さがより顕著に。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

決してつまらなくはないしキャラクターの設定なども面白くなりそうな物が多い、多いからこそ粗が気になってしまう作品。


この作品はルートが固定されており帝国編→連邦編→ランケイジ編と3つに別れている。
またこの作品はファンタジーの世界を舞台としており、現実とは異なる設定が多くそれらを説明する必要があるため最初に固定されている帝国編は自然と様々な説明が多く含まれるようになってしまっている。
また帝国編で多く設定を説明させるのならば、いっそのこと全てのキャラクターの顔見せもしてしまおうという思惑でもあったのかほぼ全てのキャラクターがこの帝国編で登場し大雑把な説明が行われる。
これらの要因から帝国編は世界観説明と大量のサブキャラ登場&そいつに関する大雑把な説明が大半を占めておりはっきりいってストーリーにまとまりがなかった。
帝国編自体は決して短くないのだが、説明する事柄と登場するキャラの多さから3つのルートの中で一番キャラの掘り下げは薄い。


よさそうなキャラが多くいるのだが掘り下げが薄いせいで肩透かしを味わうというのはこのゲーム全体を通しての欠点と言えるだろう。
ここまでの掘り下げが薄いという文章を見て、でもサブキャラのルートがあるはずでは?と思った方もいるかもしれない。
だがこのサブキャラルートだが事実上機能しておらず、サブキャラを選択→適当な流れで1回シーンを挟む→終了となっており到底満足出来るものではない。
何度もいうがよさそうなキャラが多いからこそ、このような形で掘り下げもなく終わってしまうのが残念でならない。
帝国編以降の2ルートでは、帝国編で説明が多かったお陰かある程度サクサク進み目的も割とはっきりとしているため帝国編よりは掘り下げも多く楽しんで読み進められる。
しかしやはり絶対的にキャラクターの数が多い問題は変わっておらずもっとこのキャラについて知りたいのに…という思いを抱くことは避けられないだろう。

またここからは非常に個人的なバトルに関する感想になるが、あまり面白くなかったと感じる。
私は戦うヒロインと戦えない主人公という組み合わせが好きではないので今回の戦える主人公は期待していたのだが、主人公が力を上げて戦える条件である3日に1回3分間だけというのが展開を単調にしていた。
確かに制限なしで最強レベルの力を出し続けるというのは問題かもしれないが、各ルートの盛り上がりなどでもこの制限は決して破られることなく不変の物として扱われるため展開が全て読めてしまう。
こういった能力制限は成長したりピンチでの気合いなどで無視されることが多い印象なのだが、そういった展開は一切なく盛り上がりに欠ける。
設定に忠実なのが良いことだが、悪くいってしまえば王道に対する逆張りともいえるほど忠実な制限は展開を単調にしていると感じた。
能力が使えない期間に強力な敵が来た場合は見逃して貰うんだろうなぁと思っていたら実際にその通りだったりと良い意味での裏切りがまったくと言っていいほど存在しなかった。
また敵がひたすらインフレする中主人公は初期から本当になにも一切変わらないので、素の状態でも別に弱くはないのだが能力が使えない期間は事実上戦えない主人公であることもマイナスだった。
唯一良い意味での裏切りと感じた場面は、敵の最強格と殆ど父親代わりの師匠が戦うという死亡フラグしかない戦闘で父親が死にかけながらも勝つという部分だろうか。