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morufaさんの深淵のラビリントスの長文感想

ユーザー
morufa
ゲーム
深淵のラビリントス
ブランド
アストロノーツ・シリウス
得点
61
参照数
3398

一言コメント

ゲーム風のゲームしか作れなくなったシリウスに未来はあるのか

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

■作品傾向タグ■


ローグライク・ファンタジー・人外(悪魔)


■作品構成■


ダンジョンを模したマップの進む先を選び、戦闘やイベントを消化しながら
ダンジョンからの脱出を試みるローグライク作品

敵との戦闘後に提示される3つのスキルから一つを選び、決められた枠内(最大5枠)
と決められた行動ポイント内(最大10)で最大30階層にも及ぶダンジョンの攻略に挑む

空腹度のシステムも搭載しており、ダンジョン内に点在する食料マスに止まることで
探索時に使用可能な空腹度回復アイテムを獲得できるほか、一定回数階で
イベントである程度まとまったポイントを回復できるようになっている

ダンジョン内に配置されるヒロインとのイベントマスを規定回数踏むことで、
該当ヒロインとの個別エンドを迎えることが出来る
その為その回の周回は終了となるが、代わりにヒロインに応じた周回ボーナスステータス
を獲得し、次回周回時にクリアしたヒロイン数分加算された状態でスタートすることが出来る


■作品内容評価(良かった点)■


ない

しいて言えば原画だろうが、悪魔や魔女、各ヒロインの簡易的なBADENDルートの
搭載と一通り前作でもやっていたことなので目新しさも特にない


■作品内容評価(悪かった点)■


まずローグライク型のゲームシステムを採用するにあたって所々手抜きが過ぎる場面が
散見される

挑戦するたびに違ったゲーム体験を味わえるというのがローグライクの醍醐味であるが、
今作は一般的なADVの個別ルートに属する部分がマップ内に点在するヒロインマスを
踏むことで進行する関係上、ランダマイズ時に進行が不可能になる可能性が発生するのを
回避するため、基本的にマップの構成が99%固定化されている

その為ヒロイン毎のエンディングを見ようと思った場合、周回ボーナスによって
ある程度の戦闘の簡略化が為されるとはいえ、ほぼほぼ同じマップ構成を
何度も何度もやり続ける羽目になり、これが非常に徒労感を募らせる

また戦闘シーンの高速化や演出カットなども出来ないことが余計に徒労感に拍車をかけ、
恐らく多くの読者が2,3周あたりで断念したのではないだろうか

せめてシナリオの構成が先が気になるように作られていればまだ救いがあったのだが、
基本的にセンターヒロインを飾る悪魔姉妹に関しての背景も他ルートをいくつか
回った時点でほとんど露見するのでそこでの訴求力も見込めず、ただただ
決まった場所をクリックし続けるだけの作業にしかならなかったのは非常に痛い

その上ここまで簡素な仕上がりにした挙句相変わらずバグをとり切れていない点も含め、
擁護の仕様がないほどの出来と言わざるを得ない


■総評■


ゲームとしてのガワがあるだけでゲームとして成立していない一作

巷では〇〇に似たゲーム作品を"〇〇ライク"や"〇〇フォロワー"と言ったりするが、
今作はそういった意味ではゲームのようなゲーム(ゲームではない)という意味で
"ゲームライクゲーム"と呼べるのではないだろうか

『ギルドマスター』の一件からどうも及び腰が過ぎる作風に終始するようになってしまった
シリウスだが、ランダム要素が大事なローグライクでバグの温床となりやすい
ランダム要素を出来る限り排除し簡素な出来栄えに仕上げようとしたその方針を
社内でだれも止めることが出来なかったのか、という部分がとても心配である

似たようにゲームライクゲームである『悪魔聖女 ~デーモンガール・ステップ~』
を出したのを最後にひっそりと消えていったソフトハウスキャラをふと思い出した