暴力と性に彩られた思春期のめくるめく逃避行……と見せかけ醜い妄想に塗れる青少年へ強烈なカウンターパンチを食らわせてくるような作品。あっさりとしているようでいて、読み手の意識をじわじわ蝕むような癖のある話運びに読む手を止めることが出来なかった。勢いのある作品です。
公開前の体験版からプレイさせていただいて、とても楽しみにしていた同人作品でした。
今どき珍しい、物語性の方を前面に押し出したシナリオ重視な作品です。読了後の何とも形容しがたいこれまでの全てを丸ごと破却するかのような尾を引く後味の悪さはこの作品ならではでしょう。
薬物や妄想と言った剣呑な単語がタイトルに乱舞している通りに、あまり明るい雰囲気の作品ではないのですが(第二部以外)、全編にしっかりと伏線が鏤められているのが感じられるストーリーテリングで、事件の顛末はなんとも、情けない。架空のヒロインとの妄想恋愛に耽溺する読み手(主人公)に断固としたNO.を突き付けるような、なんか……凄い作品でした。
現実―創作がちょうどいい塩梅でした。たくらみが溢れる物語運びに酔わされました。間違いなく、一つの作品としてパッケージングに成功していると思います。
逃亡ルートでの子会社出向が半ば確定し浮かれかけた主人公へヒロインが投げかけた「登記とかどうするの?」って冷めた台詞が狂おしいほど好き。
思春期を過ぎての度を越した妄想……ダメ、ゼッタイ。