歪む認識。崩壊するヒロイン。これは果たしてギャルゲー足り得るのか。
プレイヤーの認識を巻き込んだ、画面内外のメタ要素を活かした作品の中でも屈指……というか現状一番の成功作ではなかろうか。
因みに捻くれているので英語(原文)で読んだ。やはり日本語と英語ではリズムが違うし、なるべく本来のままで楽しみたかったので、パッチなども当てなかった。(存在を知ったのは終わってからだったが)。
美少女たちと交流し、仲良くなり、(R18なら関係を持ち)、楽しむというギャルゲー、エロゲーという媒体において禁忌とも言える領域を本作は容易く侵す。そもそも、美少女とは何か。見た目の美醜や性格の清楚さを指すのか。あるいは萠要素と言われるものがそれに該当するのか。本作はそのような要素をばらばらに分解し再び繋ぎ止め、美少女ゲーム的でありながら、頑なにそのようなテンプレ要素を冷笑とまではいかないものの、透徹として観ているように感じられる。
画面内の彼女たちが醜く、グロテスクに変貌しても彼女らを愛せるのか。虚構の学園(楽園)が崩落し、音は歪み、認識は崩壊する。夢にも見た素晴らしい環境は不気味でしかない、DokiDokiの空間へと様変わりしてしまう。
果たしてその恐怖と狂気の象徴の空間は、ギャルゲー足り得るのか。
データの改ざんや突然の乱入、強制的なセーブや選択肢の操作。挙句には、ちょっとスクリプトが壊れちゃったみたい、なんてことをヒロインに言わせる。メタな次元の挑戦(挑発?)の極北と行ってもいい仕上がりだった。そもそも、ゲームはデータの配列に過ぎない。架空のヒロインも構成されたパーツに過ぎない。
……。
都合の良い解決も、明確な終わりもない。
本作に限っては、それでもいいのだろう。