某ジャンルの金字塔のように位置づけられる作品という印象だったが、長い時間をかけて描かれる登場人物たちの関係性の変化、移り変わっていく心情を過激にかつ上品に抉りぬいた快作だと感じた。不穏、心がざわざわするような、説明できない凄味がある。物語に摩耗した感性でも確かに感じ得るものがありました。
取り敢えずfin2まで回収。細かいEND回収はいつかまたね。
この作品の凄いところは「説明できないもの」を言葉や状況説明にあまり落とし込んでないものだと思う。行間を読む、じゃないが、登場人物の心情や徐々にひかれあっていく様、あるいはより端的に「開かない扉」や夢、幽霊の存在、偶然では説明できない運命めいためぐりあわせ、など。精緻に設計された群像劇やわざと安っぽいメロドラマというよりか、ごった煮の闇鍋のような作品と感じた。異様な雰囲気にのまれるような、というか言ってしまえば快作であり怪作だと思う。NTR以外の部分もちゃんと面白かった。
あと、思ったけど本作は割と電波ゲー鬱ゲー（死語？）よりの作りな感じがした。ストーリーラインとか作風ではなく、主に画面作りとか。黒い画面に白字で時間表示する演出とか、立ち絵や背景の使い方とか。終ノ空やさよ教を思い出した。プレイヤーの意識を攪拌するような物語構成でもあるが、前述したようにパズルを完成させていくような丁寧さはなく、荒っぽく野性的な感じ。えっちだね。
あと、思い過ぎだがここまでストレートに人の悪意や欲望を生々しく描写する作品てオタク向け作品では希少だと思うので新鮮でした。オタクはネットや群れの中ではイキってても単体なら弱いしというか純粋な方が多いと思うので、かなり被ダメ食らった人は多そう。というかわたしも食らってるよ。巧く感想を書けない、紡げない。言葉が上手く出てこないんですよね。冒頭の夢の中の主人公のように、答えなんてない暗い部屋と扉の中に永遠に投げ出されたかのような独特な読後感のある作品でした。