まるでイチローをリスペクトする川崎のように、「戦国ランス」リスペクトなゲームでした。序盤~中盤までは非常に好感触だったけど、後半は残念な部分も多かったかな。長文感想はややネタバレあり。
【まだ1周しただけ。周回要素は乏しいですが。後半のテキストは結構読み飛ばしてます】
〔システム〕
このジャンルのエロゲで最も影響力があったのは、もちろんアリスソフトです。
同人ゲームでは、アリスソフトの地域制圧SLGをはっきりと真似して作られたものが、今までにもいくつかありました。
でも商業ゲームで、ここまで戦国ランスに似たゲームは初めてじゃないかなあ。
パクりのような悪意のあるものではなくて、二次創作っぽいというか、リスペクトしすぎるあまり真似してしまいました、といったところでしょうか。
自分もアリスソフトのSLGが好きだから、気持ちはよくわかるんですよね。
もうヒット200本打てないかもしれないイチローとアリスを重ね合わせてしまったりして。
・・・関係ない話はさておき。
このゲームをやっていると、鬼畜王・大悪司・戦国ランスにそっくりな部分がいろんな所に出てきて、色々なつかしく思い出しました。
あとは戦闘シーンで敵がキャーキャーいうボイスなんかは、ソフトハウスキャラっぽかったかな。
個性的だとは言えないゲームでしたが、戦略SLGなんていう面倒くさいジャンルのエロゲを作ってくれる新しいメーカーが出てきただけでも嬉しいですし、応援したい。
また、製作サイドがSLG好きなんだな、と伝わってくる部分が大いにありました。
このゲームは地域制圧型SLGなのですが、もっと細かくいうと「シナリオシミュレーション」と呼ばれるタイプですね。
つまり、メインルートが一本道で、決められたシナリオに沿った形で制圧していくゲームでした。
戦国ランスはシナリオシミュレーションではないので、この点において「英雄*戦姫」は「大悪司」に近いですが、一周してみた限りではどうやら大悪司のようなルート分岐もなさそうです。
一本道SLGはダメだ、なんて否定はしませんが、周回を楽しめる要素は少ないかな。
〔『英雄*戦姫』は、敵のレベル上げをするSLGである〕
このゲームをやっていて一番興味深かったのは、途中で『敵勢力のLV上げをする』分岐が出てきたことです。
例をあげると、まず「中国・モンゴル・インド」の攻略順をどうするかで分岐します。
中国とモンゴルは弱いので先に倒すのに苦労しませんが、インドは結構強いので、先にインドを攻めると苦戦します。
私はひねくれて「インド→モンゴル→中国」の順に倒していったのですが、インドをモンゴルより先に倒すと『特殊アイテムゲット&敵勢力全部のLVが上がる』という選択がでます。
ここでOKすると、敵が全部LV2に上がり、比較してみると部隊数が増えてたり、兵数が増えてたりしました。
同様の分岐が「EUより先にマケドニアを倒す」「オーストラリアより先にハワイを倒す」時にも発生して、全部OKしたら敵が非常に強いマゾゲーになってしまいましたw
他の方のレビューをちらっと見たところ、ゲームの難易度がヌルい、という指摘がいくつかありましたが、このゲームはどうやら敵のLVを自分で調整して、ちょうどいい強さにして遊ぶゲームのようです。
3回も敵をレベルアップしてしまうと、問答無用で部隊即死、とかしょっちゅう起きましたので、ゴリ押しではきつかったですね。
マゾゲーマーじゃない方は、あまり敵のレベルアップはしない方が快適だと思います。
メインルートが一本道なので、プレイヤーが決められる事は結局「敵のレベルを上げるか否か」が攻略の中心事項になるというわけです。
あとは、ちょっとした寄り道をしてアイテムを取るか、まっすぐ本拠地を落とすか、の違いですね。
〔ちょっと残念だった後半の失速〕
序盤~中盤あたりまではゲームバランスも良く、やっていて面白かったんですが、後にいくと徐々に残念な感じになってしまいました。
決して悪いゲームではなかったので、2周目もやるつもりですが、90点ぐらいつけるつもりが、だんだん減っていって、どうやら80点ぐらいが限界かなぁ。
地域制圧SLGは大好物なので、甘口採点していますが。
残念な点をあげていくと
①仲間になるキャラが多すぎる。
30ユニットぐらいまでは楽しく管理してたんですが、50を超えたあたりからだんだん疲れてきて、終盤で70人超えたころにはもうお腹いっぱい・・・
イベント付きの固有武将は50人以下で良かったんじゃないかなあ。
一本道なので、一周目で全員仲間になってしまうし、大所帯すぎて毎回毎回武将一覧を縦にスクロールしまくるのがかなり面倒でした。
終盤で仲間になるユニットは活躍の場がないまま終わるという、このタイプのゲームによくありがちな問題も起きます。
攻略順が完全に自由なら、無理やり終盤加入のユニットを序盤で仲間にするように頑張ったりできるんですが、このゲームではほとんど無理ですし。
②仲間が多過ぎるせいで、Hシーンなしのキャラが結構いるっぽい。
「アショーカ」「パーシバル」「ツタンカーメン」など、個人的お気に入りキャラを贔屓して、Hシーンはまだかなまだかなとワクテカしてたんですが、どうやら無いまま終わったっぽいです・・・
見落としてないか不安はあるのですが、閲覧モードの%を見るかぎり無さそうだよなぁ・・・
これにはかなり落胆したので、減点せざるをえませんね。
アショーカなんて裸で登場しておいてエロ無しとか!!!
③周回ゲームではないのにミッションが多すぎ、どんどん溜まっていって消化しきれない。
1ターンに1回攻め込んで、それ以外はミッションするのが平均的なペースかなと思ったんですが、それでは全然消化しきれません。
「大帝国」でもイベントが溜まりまくったんですが、あれと同じような事になってしまいますね。
じゃあプレイヤーはいったいどうすればいいのか?
2つのプランが考えられます。
・プランA→ミッションが溜まらないように、攻めるのを随時休んでミッションを完全に消化しながら進めていく。
この方法でやると、非常にターン数が多くかかり、もっさりしたテンポになります。
交戦相手がいない時にミッションを消化すれば、迎撃の面倒さは回避できますが、それでも作業感は出てしまう。
また、ターン数をミッションのために費やすせいで、お金が溜まって自軍の兵力が非常に増えてしまい、難易度も相当低くなってしまいそうです。
(クリック連打で勝ってしまいそうな勢い)
その結果、「ゲームバランスがいまいち良くないゲーム」と評価する人も増えるでしょう。
それを調整するために前述の「敵勢力レベル上げ」が存在するっぽいのですが、わざわざ好きこのんで敵のレベル上げるプレイヤーが一体どれだけいるのでしょうか??
・プランB→ミッション消化をあきらめ、大事そうなミッションだけ消化しつつどんどん攻め落としていく。
私はこの方法でやりましたが、ミッションの溜まり方が半端なかったです。
200~300個は溜まってたんじゃないかな・・・
ルート分岐があるゲームなら一周で全部消化する必要ないので気が楽ですが、このゲームは一本道だから困るんですよね。
1周目でサボっても、どうせ2周目では消化しないと回想埋まらないし。
まぁ2周目はハードモードで敵のLV上げまくりつつマッタリやろうかと思ってますが。
④強力なスキルを覚えるにつれ、無双ゲーになってしまった
個人的には、中国やモンゴルより先にインドを倒すところが一番面白かったです。
インドの「投石+戦士」はバランスのいい組み合わせでしたね。
後半にいくにつれ、大雑把なゲームバランスになってしまったかなぁと。
英雄スキルが超強力なので、とにかくぶっぱなせれば勝てる感じになっちゃってました。
それに、英雄スキルが攻撃系じゃなくて補助系の武将なんかは明らかに不遇すぎますよねぇ。
このあたりは、もうちょっと調整入れてほしいかな・・・
まだ一周しただけなんで、もっとやりこみしないと迂闊なことは言えませんが。
〔シナリオ・エロについて〕
シナリオライターには「あかときっ!」の時に色々不満だったのですが、もう慣れてしまったのか、新たな不満を覚えることはなかったです。
もともと、SLGのシナリオは重視してないってのもありますが。
これだけキャラ数が多いと、書くのも非常に大変でしょうし、お疲れ様でしたって感じですね。
何人かいいなと思うキャラもいましたし、これで十分だと思いました。
「あかときっ!」では「服をビリビリ破いておいて凌辱なしかよ!」と顔真っ赤になったものですが、このゲームは最初から凌辱の匂いが全くしなかったので、怒りを覚える理由もありませんw
でもこのライターが書く主人公は、エロゲ主人公と思えないほど性欲が無いよなぁ・・・
CGはほとんどが大槍葦人なので目の保養に素晴らしいのですが、エロCGの差分が少なかったのがちょっと残念。
あと、しつこいですがエロ自体が存在しないキャラが多数・・・(ガッカリ)
絵柄的にも、差分とかを気楽に量産しにくいのかなぁ。
でも画面エフェクトや、細かい部分のビジュアル面での作り込みはしっかりしてましたし、頑張ってるなぁ、というのはとても感じました。
SLGの分野で、いつまでもアリス・エウ・キャラを超えるメーカーが出てきてくれない、では困りますから、これからも頑張ってほしいです。
正直に言うとあまり期待してなかったので、思ってたよりは断然良い出来だったですし、もちろん次回作も楽しみにしてます。
本格的なSLGを作ろうという意気込みは、十二分に感じることができたので。