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mezamashiさんの少女魔法学リトルウィッチロマネスク editio perfectaの長文感想

ユーザー
mezamashi
ゲーム
少女魔法学リトルウィッチロマネスク editio perfecta
ブランド
Littlewitch
得点
95
参照数
1692

一言コメント

自分がプレーしたエロゲの中で屈指の名作だと思います。英雄*戦姫が思ったより早く終わったのでプレーしなおして、改めていいゲームだと思いました。長文感想では全力で褒め称えます

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


【総評】

主人公は大魔法使いであり、「黒の塔」という場所に住み、3年間かけて少女2人に魔法を教える話。
自分は普段、抜きゲーや凌辱物、バトル物などが好きで、鬱・NTR・残酷シーンなどの毒気のある話を好む傾向にありますが、このゲームはそういうのはほとんどありません。
むしろ穏やかで、優しい気持ちになれるメルヘンなお話です。

西洋中世風ファンタジーの世界観なのですが、エロゲにありがちな「なんちゃってファンタジー」とは違い、本気度がかなり高いです。
一例を上げると、「メレット」というエルフがいて、お気に入りキャラなのですが、メレットのエルフ耳はただ長いだけではなくて、いびつな形をしてます。
アリアやカヤが授業受ける時の普段着は、とても地味で、エロゲキャラとは思えないほどです。

ゲームは週単位で進み、3年ですので156ターンかかります。
ただし、7つのキャラENDの条件を満たすと、途中でも終了します。
キャラENDに行かないまま3年たつと、それまでにこなしたクエストで得た「ディプロマ」の内容によって、様々なエンディングに行きます。

このゲームの大きな特徴になってるのは、Littlewitch特有の「吹き出しつき立ち絵」です。
テキストのほとんどが、メッセージウインドウではなくて漫画の吹き出しのような形で表示されます。
そのため、いわゆる「地の文」による説明がほとんど無くて、キャラ達の会話のやりとりからプレイヤーが色々感じ取ることになります。

Hシーンはeditio perfectaで28シーンまで増えましたが、基本は「1人1シーン」でした。
つまり、エロゲとしては非常に少ないです。
こんなにエロの少ないエロゲに95点もつけるなんて、自分としては正気じゃないですw
ただし、その少ないエロシーンの内容は、とても良かったと思います。
特殊なプレーなどは一切ありませんが、すごく心がこもっています。

グラフィック、音楽の作りこみがすばらしく、手抜きを全く感じません。
この世界にずっとひたっていたいという気持ちになりました。
ウインドウでプレーするより、フルスクリーンにして他のネット情報などを全部絶ちたくなりました。
「魂の作品」というPOVがありますが、「魂の作品」のSランクをつけたいです。

editio perfectaでは、ユーザーの希望にこたえてフルボイス化されました。
ですが、作り込みすぎたのがいけなかったのか、売り方がヘタなのか、Littlewitchは解散してしまいました。
作品の中は「性善説」であふれ、芸術や、好きな事にただ尽力することの素晴らしさが描かれていたのに。
このような名作を作ったエロゲメーカーが解散してしまったことは、エロゲーマーとしてはとてもショックな出来事でした。
自分ひとりでどうこうできる事ではないのですが、なぜか申し訳ない気持ちが残っているので、今さらこうやってレビューなんて書いてるのかもしれません。
「英雄*戦姫」に生ぬるい点数やレビューをつけてしまったのも、Littlewitchっぽい要素が色々残ってたのが確実に影響しています。
大槍絵だけじゃなく、起動したときの感じとか、BGMとか色々。

「英雄*戦姫」が物足りなかった人で、「リトルウィッチロマネスク」をプレーしてない人は、ぜひやってみることをおすすめします。
ただし、editio perfectaは今手に入りにくい状態かもしれませんが。


【CG、BGM】

大槍葦人の独特の絵柄で、このゲームは塗り方も「エロゲ塗り」じゃないです。
自分は大槍ファンなので、プレーしていると終始ニヤニヤが止まりませんw
猫メイドのティエが笑顔になるたびに「うおー!!」と家の外へダッシュで飛びだしたくなります。
ティエはしょっちゅう笑顔になりますから、そんな事してたらいったい何本ダッシュしないといけないやら。

まぁ絵については、見たらわかることなので説明不要かと思いますが、一点だけ。
大槍氏は、エロゲ界屈指の「貧乳絵師」なんですよね。
アリア・カヤ・メレット・ティエはガチで貧乳です。
・・・そうです、ガチなのです!
エロゲでは設定上は「貧乳」でも、開けてびっくり、全然貧乳に描かれてないじゃん!という事が多いです。
貧乳スキーとしては、どうしても納得ができない・・・
その点、このゲームは全国の貧乳を愛する皆様におすすめしたいw
なお、貧乳が好きだというと大抵ロリコンと一緒にされるのですが、ロリなのはアリアとカヤだけで、メレットとティエはロリじゃない貧乳です。

貧乳のことばかり書いてたら最後まで読んでもらえない気がするので、次にいきます(-_-;)

BGMについて。
このゲームのBGMは、曲数は28曲と少なめなのですが、非常に素晴らしいです。
特別なことをしてるわけじゃないんですが、クオリティがとても高く、音楽性が高い。
タイトル曲の La tour de noir がもうすでに名曲です。

トラックの編成は、だいたい弦楽器(バイオリンなど)が主旋律で、アコギが多めに入っていて、シンセはベル系の音が多めですね。
こういうエロゲだとピアノ伴奏が多いんですが、ピアノはやや少ないです。

最近はエロゲのBGMのレベルも上がる一方で、とても良いことだと思うんですが、7年前の時点でこのクオリティは本当に素晴らしかったですね。
アコギの音ひとつとってみても、打ち込み(=人が弾くのではなくDTMで作った演奏)とは思えないぐらいギターっぽい演奏になってます。
一音ごとにちゃんと強弱ついてますし、ギターっぽい表現も工夫されてますね。
打ち込みのギターをギターっぽく聴かせるのはとても難しいので、感心してしまいます。
日常シーンでよくかかるWarm Stepという曲のアコギのアルペジオは自分もギターを手に取って耳コピしたものです。
(やってる事じたいは簡単なので)
このゲームのBGMは、ヘッドホンでもいいので、できればそこそこいい音で聴いてほしいなーと思います。


【ゲームシステム】

授業の成果が、ダイスを振ることによって決まるのが特徴です。
出目を、サイコロつついて変えられるので、つつき回すのが楽しいんですよね。
また、覚えさせた魔法を授業中に使って、授業の効果を高めていくことができます。
魔法を覚えるたびに、視覚的に楽しめるのが良いです。
慣れれば、1回の授業で全パラメータをMAXまで上げられるので気持ちいいですし。

こういうゲームだと、授業はルーチンワークになりやすいんですが、このゲームだとクエストがこなせない時、魔法を覚えられない時だけ授業をすればいい。
なので、慣れれば授業の回数はかなり少なめに押さえることができます。
「授業するの面倒くせー」ということになりにくいので、優れたシステムだと思いますね。

ただ、全イベントをコンプリートするのはかなり大変です。
CG95%、Hシーン100%まで埋めるのは割と早いのですが、そこからが時間かかりますね。

CGがなかなか100%にならないのは、「ディプロマ」系のエンディングを回収するのが難しいから。
「ディプロマ」ENDは、複数の条件を満たしていても、優先度の高い1つしか見ることができないのです。
この仕様のせいで同時攻略がとてもやりにくくて、ディプロマEND制覇するために、かなり手前のセーブデータからやり直しまくらないといけませんでした。
プレイヤーの立場としては、複数のディプロマEND条件を満たしてる時は、プレイヤーが2人の進路を自由に選べるようにして欲しかったですね。
・・・とか言いながら、ディプロマENDにはそれぞれ魅力的なCGもついてますし、2人が卒業後にどういう道に進んだのか非常に気になったので、頑張ってコンプしましたけどね・・・

あとは、キャラENDの最終クエスト以外は、まったりとした雰囲気のクエストが多いので、超展開とかが好きな人はちょっと退屈するかもしれません。
「ちょっといい話」みたいなのが多いので。
まぁ長い話が苦手な私でも楽しめたぐらいなので、きっと大丈夫だとは思いますが。


【シナリオ】

まず全般的な事についてですが、前述の通りこのゲームはほとんど立ち絵に吹き出しをつけた、漫画みたいなテキストで進められます。
地の文による丁寧な状況説明がほとんど無いんですよね。
ですから、プレイヤーがある程度は想像で補う必要があります。

でも、この方法によるメリットとして、キャラ全員が非常に生き生きと描かれてる、ということは大きいです。
例をあげると、たとえばメレットが黒の塔に来たとき。
ドミノとメレットが再会して話しだすと、すぐにアリアが「息がぴったり!二人ってどういう関係なんだろ?」と勘ぐります。
地の文がないので、こういう所にアリアの性格が出ているのを、プレイヤーが読み飛ばすと、つまんないシーンになってしまうかもしれません。




------ここから先、少しネタバレ------------------------

























【アリア編】

メインヒロインの位置にいるアリアですが、ルートの内容は結構地味でしたね。
初めてプレーしたときはそれがちょっと不満でした。
親族の戦争に参加し、戦地を体験するアリア。
でも、彼女が世界を救ったり、超魔法を炸裂させたりするわけではありません。

その事よりも、アリアのドミノに対する想いが、ずいぶん淡白なものに思えたのです。
エロゲ的には、もっと恋する乙女を演じさせた方が、受けが良かったのかもしれません。
でも、その幼くて淡いアリアの感情こそが、成熟してない少女性を表現してるんでしょうね。
3年間で、幼かったアリアが大人っぽく成長したというよりは、幼いままドミノが食べちゃったわけです。
自分はどちらかというと成長物語を期待してたんですが、ちょっと違う世界観だったかな。
今になってプレーしなおしてみると、幼いままのアリアを食べちゃうのも、それはそれで良いものに思えてきましたヽ(゜▽、゜)ノ
本人は「もう私 子供じゃないよ」って言ってるんですけどね。


【カヤ編】

薄幸少女が健気に頑張ってるのに、とてつもない不幸に見舞われて苦しみ、絶望のあまり自ら命を絶とうとしてギャー!ってなる話って最高ですよね!
全ルートの中でも一番「派手」な話だったと思います。
「蘇生」の魔法を覚えるのがかなり大変なのも、ゲーム性の部分がシナリオとちゃんとリンクしていて良かったなぁ。

彼女が不幸に見舞われるシーンをもっと見たかったし、もっとギャー!!ってなりたかったです。


【メレット編】

まず設定が最高ですね。
貧乳エルフが元カノっていう。
そしてこのエルフ、長生きしてるくせにてんでダメな子です。ダメダメです。
ダメすぎて、ほおっておけません。
この子のせいで、「元カノはダメな子」設定がツボにくるようになってしまった・・・

Lineageシリーズなどで長年エルフ♀やってたエルフスキーなので、メレットのような外見は本当にお気に入りなのです。
エルフはやっぱりスレンダーじゃないとね・・・
最近は当たり前のように巨乳エルフが量産されてて悲しいですよ・・・
巨乳なんて、ほかにもっと適性のある種族が山ほどあると思うんですけどね・・・
なんで菜食なエルフがそんなに肉付きいいのっていうね・・・

そんなメレット派の私ですが、メレットとよりを戻すドミノには違和感を禁じ得ない・・・
うん、やっぱ元カノは元カノのままの距離感がいいなぁ。


【マリエラ編】

ただのエロ要員かと思ってたら、おまけストーリーで良い意味に印象変わった人ですね。
主人公との関係は、「セックスフレンド」に近いもの。
ドミノとよく酒飲んで語ったりするのが、大人っぽい関係でいい感じです。
アリア・カヤのような少女たちとの差別化がうまくできていますね。
しかし、そういう割り切った関係になる前には、割り切れない想いが色々あった。
おまけストーリーでそこが描かれたことによって、ぐっと深みが出たように思います。

彼女は建築家なのですが、「理系」と「文系」の専門分化が進んだ近現代とは違って、近世的な「万能知識人」っぽい感じですよね。
レオナルドダヴィンチのような。
ようするに、芸術的観点、合理主義的観点の両方で建築設計をしてるわけです。
芸術を愛し、仕事に打ち込む姿は、Littlewitchの描く理想そのものなのかもしれません。
それだけに、みてて悲しい気持ちにもなるんですよね。
マリエラは、現世のしがらみに苦しみつつも自分を取り戻し、ハッピーエンドに向かっていったわけですが、Littlewitchは解散してしまいましたから・・・


【ティエ編】

ティエ編??
そんなのねーよ!!
でもエロくてかわいい。
一番エロゲーっぽいキャラです。おかず度ナンバーワンです。(mezamashi調べ)
萌えますね。だんぜん。
この子が笑顔になるたびに萌え!
恥ずかしがって両手の人差し指の先っぽ同士をくっつけるたびに萌え!
猫モードになってオロオロするたびに萌え!
ちょっと、いやかなり不幸な設定だし。
エロの技術とか、すでに仕込まれ済みなところが最高です。
フィアンナとの3Pは、できれば最後まで居てほしかったな・・・
あとは凌辱シーンとかあればもちろんベストなのですが・・・こういうゲームにそれ言っちゃ、だめだよね・・・


・・・グダグダになってきたのでそろそろ終わりますが。
とにかく、屈指の名作エロゲの割りにここでの評価が少ない気がするので、頑張って褒め称えたつもりです。
Littlewitchが活動してる間にレビュー書く習慣を付けておけばよかった・・・