生きろ、そなたは美しい。
【プレイ時期】2024/1月
【グラフィック】5/5
原画はちこたむさん。個人的にどこか懐かしさを覚える…と思ったら、ALcotでも原画されていたようで。
ただ、今回の作品ではこの絵しかない、と言い切れるくらいにハマっていたと思います。シオンの神々しいながらも実は優しいところとか。エリカの神メイドっぷりに加えて強いところとか。ラヴィの弱さとか。全てが表現されており、満足しかないです。
【サウンド】BGM 5/5 ボーカル5/5
BGMについては、不満はありません。というか、好感しかないです。シナリオを盛り上げる、Back Groundであることを最大限に活かした音楽だったのではないでしょうか。
惜しむらくは、サントラが高騰してしまっていることですね。ほんと、この業界サントラの高騰多すぎませんか?自分みたいな後追いプレイヤーでも手軽に手に入るといいなあ、と思ったりしました。
ボーカルは、OPの一曲しかないです。まず、そのOP。緩急が素晴らしいというか、一度聴いたら耳から離れないタイプの曲ですね。サビ前の盛り上げ方なんか、後世に語り継がれてほしいですよ。とにかく良かったです。
そして、ED。
え?一曲じゃないのかって?
そうです、ED曲はありません。そして、その「ED曲を入れなかったこと」を高く評価しています。
シナリオ的には、EDが流れた場面は既に山場を終えたあと。それゆえ、エピローグ的に主人公の独白および他のキャラの現在地を見せるだけで、曲で盛り上げるわけではないというのはとても収まりが良かったですね。盛り上げる場面は、その前にあったわけですから。
【システム】5/5
efでもCGと立ち絵をものすごく上手く使っている、というのは聞いたことがあったんですが、これはすごい技術ですね。プレイ時間は高々8時間程度なのに、どれほどの労力がかかっているのか。
読ませる、楽しませることへのプライドを感じる、素晴らしいシステム面だったのではないでしょうか。
【シナリオ】72/80
この作品で、自分は2度泣きました。
1度目は、シオンを連れて研究所から逃げる場面。2度目は、シオンとの別れの場面です。
前者は、そこまでに描かれていた各キャラの過去や、キャラそれぞれの覚悟に泣きました。
死を賭してまで守りたいもの、人生賭けて貫いてきたもの。死の際に人間の素性が出るとはよくいったもので、この場面での高潔な振る舞いに涙がこぼれました。なので、対象としては主にエリカと稲葉少佐ですね。
後者は、まあ言うまでもなく。
正直こうなるのは火を見るより明らか(強いて外れるならシオンの死の前に世界が破滅すること)でしたが、それでもシオンというキャラクターの過去、そして自由になってからの楽しそうな笑顔を見てきただけに、やはり別れは辛いものでした。ただ、悲しいから泣いたというよりは、やはりその生き様の美しさに泣いたのかなと。
起きるかもしれないという微かな希望を拭い去るように土を被せた場面は、もう号泣でした。
さて。過去50作弱ノベルゲームをプレイしてきましたが、2回も号泣したのはこれが初めてです。
個人的に号泣ゲーのトップに君臨しているのは「カタハネ」です。一撃の重さ、という観点ならカタハネの勝ちかもしれませんが、本作のようにじわりと感情が揺さぶられるのも、また良いものだと感じました。
これだけ泣いた時点で、高評価しかありえません。
【総評】92/100→5点刻みにするため、90点とします。
ミドルプライスで販売された本作。プレイ時間が短い分、中だるみが一切なくコンパクトにまとまっているのも非常に好印象です。
開始時の感情が欠落したような主人公を覚えていると、終盤の人間らしさを持った主人公には泣きそうになりますね。
また、タイトルも秀逸ですよね。本作をして「eden」とは。ほんと、楽園を見つけられた2人に祝福しかありません。永遠に、幸せに…