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marg2-2さんの腐り姫 ~euthanasia~の長文感想

ユーザー
marg2-2
ゲーム
腐り姫 ~euthanasia~
ブランド
Liar-soft(ビジネスパートナー)
得点
78
参照数
63

一言コメント

世界観良し、BGM良し、シナリオ良しの3拍子がそろったSFサスペンス的な作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

FANZAセールで安いし、評価も高いため少々古い作品であるものの購入。

【キャラ・CV・システム】
 ・立ち絵はやはり古さが出ていますが、個人的には特に
  問題ありませんでした。
 ・背景に同化する立ち絵(←何て呼ぶかわからない)の
  くらめが無邪気で、どの描写も大好きでした。
 ・CVは豪華。
  かわしまりのさんとかこの頃から出演されていたのですね!
 ・システムは、選択肢スキップ等あり、この時代の作品にしては
  破格の快適さでした。
  しかし、初めはUIが良くわからない等がありましたのでなれれば
  快適という感じです。
 ・BGMは世界観に合っていてめちゃくちゃ良かったです。

【感想(ネタバレ注意)】
 <全体>
  ・最初からはじめるに騙されました。
   あれ?BAD?っと思って最初からはじめるを選びしばらく進んで、
   こんなの読んでないな→BAD・・・となるため、何度かプレイして
   ループものと気が付きます。
  ・段々と謎が解けていく楽しみと、それに伴って見えてくる
   過去の事情、現実の主人公の周りのメンバーが替えられていく
   3軸でかなり惹き込まれ、一気にプレイしてしまいました。
  ・そしてラストはがっつりSFでした。個人的にはここを謎のままでも
   よかったので、もう少し各キャラや樹里への描写に回してほしかったな。
  ・しかし、全体的にきれいに纏まった作品で、予想以上に楽しめました。
   ひぐらしと沙耶の唄の中間のような設定かな。

 <きりこ>
  ・主人公の記憶喪失前の彼女。
  ・主人公が心配で、過去の記憶を呼び戻して心が壊れることを避けるために
   遠ざけようとするので、プレーヤー目線だとうーんという感じでした。
  ・もう少し記憶喪失前の回想描写があり、二人が過ごしてきた時間があれば
   感情移入しやすかったかもしれません。

 <夏生>
  ・従姉のお姉さん。
  ・性格は明るいですが、シナリオでは結構主人公の心にトラウマを
   与えるだろうキャラです。(個人的には主人公がうらやま...)
  ・ずっと過去の過ちを謝りたい思いがあり、最後まで暴走気味だったかな。
  ・むしろ青滋さんが良い人で夏生さんが抜け殻になった後も、
   主人公を心配してくれて、好きでした。

 <芳野>
  ・父親の義母。
  ・まさかのショタ属性(?)ですが、基本的にはおっとりで少し天然な
   良い母親です。
  ・背徳感やラストの、ずっと詰め込んできた精神を開放したシーンは
   印象的でした。

 <潤>
  ・芳野の連れ子(つまり義妹)
  ・なんと複雑な。ちょっと時系列がわかりにくかった(忘れた)のですが、
   友だちでもあり幼馴染でもあり義妹でもあり、実妹の樹里との
   関係も難しそうな不憫なキャラです。
  ・樹里無き今も樹里におびえるが故、主人公に対しては近づくなオーラが
   前回ですが、随所に優しが見え隠れし良いキャラでした。
  ・後、ラジオやドラマはサますが、サフィズムをプレイしているとかなり
   くすっとできます。

 <樹里>
  ・お兄ちゃん大好きな実妹。
  ・すでに亡くなっていますが、兄が好きすぎるが故に家族を崩壊させた
   元凶です。
  ・兄のためであれば他人(家族含む)や自分がどうなっても良いサイコっぷり。
  ・でもなぜか嫌いにはなれない、そんな独特で印象深い妹キャラでした。
  ・もう少し兄との日常描写が欲しかったですが、最後は幸せだったでしょう。
  ・行為的なものは夢おちですが、現実での有無は明言されていません。
   後2,3年遅く発売されていれば、表現や描写も変わっていたかと思いますが、
   これはこれでよかったです。

 <くらめ>
  ・見た目は樹里そっくりな少女ですが、その正体は人の欲望を満たし、
   腐らせる謎の生命体。
  ・主人公もこの謎の生命体になってしまっており、主人公のループ、
   周りの人々を腐らせている張本人です。
  ・基本的には見た目に反して大人びており怖い雰囲気がありますが、
   行動が一つ一つ幼いところがあり、憎めない。
  ・エンディングも3つありましたが、くらめとどうなるか(どうするか)
   の選択をしてラストを迎え、THE SF!でした。

【さいごに】
 ・キャラゲーというよりシナリオゲーです。
 ・ただ、ギャグゲーでもあり、最後のおまけや、盲点オンで見る、
  通常シナリオを副音声で見るような遊び心にはプレイヤーも
  にっこりです。
 ・急展開もあったので、もう少し各掘り下げがあったらもっと高得点に
  なりましたが、それでもかなり面白かったので万人におすすめできます。