英雄譚に対するアンチテーゼものとして秀逸だと思いました。ただし体験版プレイは必須。聞かれてもないのに己の主義主張を叫びながら戦う戦闘シーンと、「日本軍」というワードに嫌悪感を抱かない人種なら楽しめるでしょう。それでも色々不満が出てこないわけではないが最終決戦で全部許しちゃうパターンでした。カグツチかわいいよカグツチ。
ミリィ→チトセ→ヴェンデッタの順でプレイしましたが、主人公の戦闘がパターン化して、はいはいヴェンデッタヴェンデッタとなる直前に他の人の戦闘が挟まれるので飽きること無く読み進められました。その辺のバランスは良かったです。
反面、戦闘以外の描写、特に過去描写があっさりしすぎて感情移入は結局誰に対してもできませんでしたね。過去というか設定を聞かされてる感じだったのが残念。そのせいで戦闘は応援よりも「コイツ邪魔だなー」って気持ちの方が強かった。等しく感情移入できない場合って、それが無謀でも狂気でも、正論言ってるヴァルゼライド側で見ちゃうんですよね。だからチトセルートの「なんかヴァルゼライドが怪しい」という勘だけでライブラ巻き込んでの離反は正直意味不明でした。ヴァルゼライドに全て任せるのが思考停止だと言うならチトセの勘に頼った離反に部下を巻き込むのも思考停止させてるだろ、と。ゼファーを守るために単身で離反してVSサヤ天秤の展開の方が好きでしたね。
とまあその他にも細々とした不満が無いわけではないですが、不満が出るって事は楽しめたって事なのでこの点数。
厨二バトル物としては上質であり、特に、スケールが大きくなる代わりに大味になりがちな最終決戦をあの形で〆てくれたのは満足。いや、決して目新しいというわけではないのですが、この作品らしい終わり方だったので満足。宿敵同士の励まし合いパワーアップはシュールで大好きです。