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kuroJrさんのCLANNADの長文感想

ユーザー
kuroJr
ゲーム
CLANNAD
ブランド
Key
得点
96
参照数
535

一言コメント

シナリオ☆10点 取り巻く世界観☆10点 シチュエーション☆10点 グラフィック10点 音楽10点 キャラ30点(ヒロイン☆10点 主人公☆10点 脇役☆10点) その他19点 マイナス3点……家族をテーマにした泣きゲーの王道。家族の大切さと家族を守る時の強さ。そこに幻想世界と一つの街で起こる家族愛のヒューマンドラマを融合した作品。幻想世界の女の子とロボットについての考察および、どうして渚と朋也が幻想世界についておぼろげに知っていたかについても考えた……。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●シナリオ:とにかく長くボリューム満点。人は家族からどれだけの影響を受けているのか改めて感じさせられた作品だった。

Afterも含めると10人以上の攻略ルートがあり、飽きるかなぁと思っていたけど、一つ一つのルートに感動があり飽きるどころかすらすらとやり終えてしまった。

やり終えた後にくる満足感と親孝行したいという思いが混ざり合い、未来に向けてもっと努力しようという気に駆られてしまった。


●取り巻く世界観:幻想世界を取り入れることで、物語に大きな幅が生まれた。
舞台はたったひとつの町、でもそこは願いがかなう場所の存在する不思議な町。
町自体が一つの意思を持ち、そこにいる人たちに幸せを与えている。

ここは、僕らの居る世界とはほんの少しだけより不思議な世界。
日常と幻想のある意味相反する二つが組み合わされることによって、key独自の奇妙でそれでいて、あたたかい世界を創り上げている。


●シチュエーション:一番をあえてあげるとしたら、実際にはCG一枚とおばあさんの話のみだったけど、「朋也と朋也の父とが手を引きあって、男手ひとつで朋也を育て上げようと決意したシーン」だろうか。

それと、消失して、消滅して、破壊して、絶望した直幸サン――子供のためにすべてを差し出した男がやっと長い時間、果てしない時間をかけて息子からもたらされた感謝の言葉。
自分の役目を果たしたと分かった瞬間のシーンは深い感動をもたらせてくれた。


●グラフィック:ストーリーのあまりの良さにCGが引っ張られる形になった。
絵的には多少、微妙だけどそれでもCGが効果的に話を強調していたから全然◎


●音楽: 「メグメル」はまちがいなく名曲中の名曲!!これをこえる音楽はそう数える程度しかないはずだ。


●キャラ:一人一人、いなくちゃならん存在たち。一人でも欠けていたなら、世界が成り立たなくなっていた。

ヒロイン→ことみに渚、風子に智代、杏とか他にもまだまだいるけど、本当にどれも最高だろうな。

体弱くても、朋也を一途に愛し支えた天然で頑固な渚、afterも素晴らしかった。末長く続くだろう二人の幸せをほかのどのヒロインよりも応援したくなった。
天才で、おとぼけキャラのことみには世界の人たちの愛の奇跡を信じてみたくなった。
姉思いのヒトデ好き、不器用で要領も悪い癖にひとつの目標に対して誰よりもがんばった風子には、前向きな奇跡を学んだ。
誰よりも意志が強く、周りの信頼を一挙に集めるカリスマ的存在、しかしだれよりも女の子を目指した智代の自己犠牲への強さにあこがれた。
考えるよりも先に手が出るSっ子、妹のためなら自分をも犠牲にする強さとその内側にほんの少しある弱さを併せ持つ杏へは行動力と女の子の持つ本来のかわいさを垣間見た。

みんな、大好きだ!!

主人公→口は悪いけど、実はまっすぐで他人のために本気になっていく成長型の主人公。
堕落していた初めとEDではまったくの別人に見えてしまうほどだ。
バカばっかりしているけど、社会のありのままの姿をただ単純に傍観していただけかもしれない……。

脇役→春原はさいこぅの親友キャラだよ。感動系のゲームだとどうしてもシリアスな場面が多くなるとことをこいつがいたおかげで、緩急がつき物語への飽きを軽減したと思う。
それに古河夫妻……この二人がこのゲームの主題である「家族」を雄弁に語ってくれている。あっきーは、男の中の男。普段は軽口ばっかりのくせに言うときは言う。
誰かに見せるため、誰かのためというよりは自分のために行動を起こす、主人公と同じぐらい惚れそうだ(笑。


●その他:19点/20点したのはこれ以上の作品があらわれた時のためだが、果たして現れるのかは怪しいところ。これだけ感動したゲームは今後ないと言い切れるかもしれない。同じkeyブランドのリトルバスターズでもまだ及ばない域の作品。


~幻想世界の女の子とロボット、それに幻想世界についての考察~

まず幻想世界というのは、この町に住んでいる人々の願いが叶った時に朋也の手に落ちてきた光る玉で構成された世界だろうか?いや、違う。
逆に人々の願いを叶えるためにある光の玉で構成された世界というのが正しいと思う。
なぜなら、全部で14個の光る玉(一つは消滅)で渚は命をつなげとめることができた。
つまり、光の玉=願いがかなう不思議な光ということになる。だから、幻想世界は、そういった光で作られた世界なのだ。
それと、この町には願いが叶う場所があるという、それこそがこの幻想世界の入り口であり、あっきーのお気に入りの場所ということだ。

次に女の子はきっと、「渚」なんだと思う。一度、渚は死んでまた生き返った(渚ルートとafter参照)
その時、幻想世界と現実世界に二つの渚が生まれる結果になったのではないのか。これはあくまで、推測だけど、そぅ捉えると理解しやすい点が出てくる。

それはafter 1回目ルートの最後にこの女の子がロボットに向かって「パパ」と言った。ここだけをみると汐かと思ったが、お母さんがお父さんを呼ぶ時、子供に合わせて「パパ」と呼んだとしても不思議ではなかろう……。それに、ロボットと女の子の関係を見ているとそう思えてしまう。よって、女の子は「渚」の片割れではないかと推測できる。

ロボットのほうはもちろん、朋也だ。ただし、それは朋也自身ではなく朋也の願望の光の玉だったのだろう。朋也の体を光が包み込んだシーンがあったから、おそらくバラバラになったロボットが朋也の願望を叶えに戻ってきたように思える。

~どうして渚と朋也が幻想世界についておぼろげに知っていたか~

女の子=渚  ロボット≒朋也  だったからではないだろうかと考える。

渚のほうが朋也より知っていたのは、渚の場合あちら世界でも生まれらから記憶の共有性が高いのだと思う。ただし、幻想世界ではロボットのほうが外の世界を知っていたところを見ると、光の玉の場合、幻想世界からみた現実世界のほうがより共有性が強く、逆は弱いのだろう。

幻想世界のことを知っていたのが二人だけだった点は、幻想世界の二人も述べていたように、この世界には二人しか心をもつものはいないと言っていたことを思い出してみれば説明がつくだろう。

それと、幻想世界に冬がきたのは現実世界「望みをかなえる場所」で自然が破壊され新しい工事が行われ始めたせいだろう。そのせいで、幻想世界は壊れ始めたのかもしれない。


~私的ルート別ランキング~

1位;after3回目(渚TRUE END)2位;after1回目(渚BAD END)3位;after2回目(古河夫妻END)4位;渚END 5位;智代END 6位;風子END 7位;ことみEND 8位;杏END 9位;宮沢さんEND 10位;春原兄妹END 11位;幸村先生END 12位;勝平END 13位;美佐江END 14位;椋END


クラナドは人生です。



(追記;2009年2月18日)

99点から96点まで下げます
理由はkey作品というだけで無意味に点数を
つり上げてしまったこと等が挙げられます。

ただ、今のところクラナドが最も点数の高い作品です。
私の中ではこの時点でNO.1と自負しております。

クラナドは人生ですから(笑。