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koryoさんのD.C.II P.C. ~ダ・カーポII~ プラスコミュニケーションの長文感想

ユーザー
koryo
ゲーム
D.C.II P.C. ~ダ・カーポII~ プラスコミュニケーション
ブランド
CIRCUS
得点
96
参照数
304

一言コメント

傑作。ルート毎に主人公の鈍感さがかなり変わってくるのが玉に瑕。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオがかなり淡白だった前作(D.C.とD.C.P.C.)と比べ、確実に進化しています。
ライターは変わっていますが、D.C.の設定や魅力はうまく引き継いでおり、シナリオの淡白さも消えているように思えます。
魅力的なキャラ達、美少女ゲームとして王道のシナリオ、素晴らしいBGMと歌、どれを取っても傑作です。
特に主人公を取り巻くキャラ達との掛け合いは最高で、初音島で、風見学園で学生やりたかったなと心から思えるほど。
II P.S./II P.C.で攻略可能となったヒロイン達も魅力的で、D.C.P.S./D.C.P.C.に比べ取って付けた感は随分と減っています。

前作未プレイの場合、分からないかもしれない設定は一部存在しますが、シナリオ全体としては前作未プレイでも楽しめるようになっているかと。
もちろんシリーズとして前作からやるべきで、前作には前作の魅力がありますが、前作は今の時代にやるにはかなり淡白だと思われます。
私としては、IIをプレイした後でさくらや純一の事、枯れない桜の事等を知るために前作をプレイするのも1つの手なのかなと思います。
もちろんIIIに繋がる所もあり、IIIから入った人も是非プレイして欲しい作品です。

IIからは主人公がちゃんと下の名前で呼ばれるようになりました。これはとても良い事ですね。
前作はボイス付きで下の名前で呼ばれる事が無かったため、物語として違和感がありました。

個人的な不満点は主に2つ。

・ルート毎に主人公の鈍感さがかなり変わる
良いシナリオのルートが多いだけに批判し難くもありますが、それでも統一感が無いという事でこれは不満点にしておくべきかなと。
小恋ルートに限っては限度を知らんのかというレベルで鈍感になっており、唯一プレイするのが辛いルートとなりました。

・日付表示が退化している
前作と違い、今作では右クリックでメニューを表示した際や場所の移動画面で日付が表示されなくなっています。
日付を跨ぐタイミングでは表示されますが、それでも「今は作中で何月何日なのかな」となった際にパッと確認出来なくなっているのは残念。
場所移動でセーブするとセーブデータのテキストが日付になるのでセーブ/ロード画面で確認出来ますが、少し手間。






笑いあり涙ありの非常に良い作品でした。
さくらの家族愛が分かるシーン、純一がさくらの髪を切ってやる際の会話、まひるルート等はつい泣いてしまう。
個人的に一番の泣きポイントだと思えるのはda capoルートで義之が消えた後の杉並と渉。
義之が消えた後、義之の存在について杉並以外の人間は「いたような気がする」レベルの認識なのですが、杉並に限っては
人間の中で唯一直感で同志がいた事を信じており、「そいつがいつでも戻ってこれるように、俺はいつまでも変わらない日常を続けるのさ」
と言う。男として、友人として、最高にかっこいいよ杉並。渉もそんな杉並につられ「んじゃ、盛大にかましてやるとしますか」
こういう友情が伝わってくるシーンには弱い。
(なお、美夏はロボットだからか自身の覚醒と麻耶と友人になった説明がつかないという論理的な解釈をしている。)