傑作。思わず画面の向こうの主人公に嫉妬してしまいたくなるほど魅力のあるイイ女、そんなヒロインを狙う間男の執念と劇場型寝取りの見事な囲い込みの手腕、相変わらずの陰湿なテキストが合わさりシクシクと心が軋む極上の寝取られ感が堪能できる逸品に仕上がっています。そして同時に得難い夫婦の絆も。もう少し抜きゲーとしての配慮をしてもらいたいのと、どう考えてもルート制限をかけるべきだったであろう構成、堕ち方の程度などの不満もありますが、それらを差し引いても有り余る魅力があると思います。心に穴があいたような喪失感と狂い惜しい程の堕とす歓び、そしてヒロインの一途な愛に胸が詰まるような思いにさせてくれる寝取り/寝取られの金字塔。
素晴らしいです。
いくらライター土天冥海さん+寝取られ作品とはいえ、始めからDMMの専売のみ、事前情報伏せまくりで
しかもよくわからない4分割風と確信犯ではないかというほどの売り方に期待よりも不満のほうが
遥かに大きかった本作ですが蓋を開けて見れば傑作でしたとさ。
これを初めから自信を持って構えていた人は本当にすごい。
同日発売のとりあえず安牌そうな作品に逃避してしまった自分が情けない。
今回は登場人物は伏せた方がより楽しむことができそうなので情報は伏せてゆく方向で。
■構成・展開
作品は4部構成のひと繋がりのストーリー。
過去の回想などで時間軸が飛ぶことはあるものの大雑把に、
1章:ボクの彼女はガテン系 ・・・ヒロインの美咲との出会い
2章:彼女がしたこと僕がされたこと ・・・主人公視点で寝取られが発覚するまで
3章:巨乳妻完全捕獲計画 ・・・寝取り男視点でヒロインを寝取るまで
4章:ボクの妻がアイツに寝取られました・・・主人公視点で寝取られ発覚後から○○まで
という展開。※章の割り振りは便宜的なもの
『媚肉の香り』『人間デブリ』などに比べると随分シンプルな展開運びではあるものの、
部分部分で謎の第3者カップルの存在などをちらつかせ読み手に謎を与えつつ牽引してゆくような、
いかにも土天さんらしいテキスト運びも楽しめたのは嬉しいところ。
分岐は大きく分けて2つのメインエンド(Fin1,2)と細かなエンド12(END00~11)という具合。
攻略は2択を選んで分岐というオーソドックスなものですが、今回は到達したENDのフラグが確認できるうえに、
S&Lして該当選択肢の部分だけを調整するだけで分岐可能なので自力コンプもそう難しくないでしょう。
ただ、どう考えてもメインエンドの1つ(Fin2)は制限をかけてラストに持ってくるべき内容。
これを先に見てしまうと残りの小エンドは蛇足状態になってしまうのでそのあたりは配慮があってもよかったかもしれません。
自分はEND00をラストに残してしまいがっかりでした。
■寝取られ
寝取られの分類は(一応)和姦寝取られメインということになるでしょうか。
作中期間は10年越しのとかなり長期間。
大まかな特徴は
・滅茶ん子魅力的なヒロイン
・劇場型寝取られ(寝取り?)
・完堕ちしないことについての賛否
・過程重視(偏重)
といった辺りが印象的。
兎にも角にもヒロインの魅力が抜群。
まず1章丸々使っての馴れ初めが非常に丁寧なのが1つ。
臨時バイトとして現場チーフである彼女とともに作業をこなす中で、男勝りな気性でありつつも、
面倒見の良さや、責任感の強さ、周りへの義理堅さなど筋の通った印象付けがしっかりとされていて女性としてというよりも人間的にとても惹かれます。
むろん無造作に押しつけられるおっぱいもたまに見せる初々しい女性らしさももちろん素敵でしたが。
また結婚したあともちょっと頼りない夫を上手に立てたり、何気ない気遣いを見せてくれるなど本当によくできた良い女性っぷり。
そしてそうした心遣いをきっちり理解し感謝をわすれない主人公の誠実さ。
このライターさんは言葉ではなく行動や仕草で好意や思いやりを表現するのとっても上手ですね。
あなた愛してると言われるよりも、おかえりなさいといって無言でスーツの上着を脱ぐのを手伝ってくれる方がよほどグッとくるというものです。
仕込みとしてはバッチリでしょう。
しかしそれよりも彼女をイイ女たらしめているのは寝取られた後の描写だったと思います。
弱みを握られて圧倒的に劣勢な立場に置かれて従順にならざるを得ない状態なのに主人公のことになると途端に鋭く抵抗する姿や
寝ている最中やイカされまくって意識飛びそうになるとつい口から出てしまう「まーくん」(主人公の呼び名)の一言など
寝取られ進行中の彼女の仕草や態度、そして罪悪感などから自分など二の次で主人公を何より大切に想う気持ちが
痛いほどに伝わってきて胸(と誠に遺憾ながら下半身も)が張り裂けそうでした。
ホントにこの女は堪らない。
そんなヒロインに恋い焦がれた寝取り男の視点を中心に3章の寝取られが描かれます。
寝取り方は―・・・あまり詳しく書くと楽しさ半減なのですが「劇場型寝取り」という感じ(※勝手な造語です)。
表向きはいかにもヒロインの味方のように振舞いつつ、裏では部下を動かして故意に事故を演出させる、悪役を演じさせるなどしてヒロインに揺さぶりをかける。
脅迫するにしても自分は決定的に悪役に徹しないでヒロインの同情やら自己責任な部分を刺激してずるずる関係を持続させじっくりと隠れマゾ体質を開発してゆく。
完全に本性を明かした時には肉体も社会的な囲い込みもどうしようもないくらいに進んでしまっていて―・・・と言った具合に実に狡猾。
その他にも長年良き上司として積み上げてきた信頼や義理がたいヒロインの思考の癖、土建屋の長の息子である事実、そしてもちろんヒロインの夫への強い想い
など使えるものはフルに活用して、夫への愛はそのままに徐々に身体と心の防御を崩してゆく手腕はどもまでも建設的で非常に説得力があります。
結果的に、夫の事を愛しているのに弱火でじっくり煮込まれた肉のようにとろとろにされる妻・・・
主人公やヒロインが如何に振舞おうが回避不可なのだという絶望感(とそれに伴う興奮)は大きい。
この手の妄念執念系のキャラは過去作品にも登場していますが、いつもに比べると理解しがたい独自のこだわりなどが少ない癖の無い人格。
身体だけではなく心まで奪いたいという思考・行動原理も同調しやすく寝取り的な観点からの刺激も素直に楽しめるのも個人的には良かった。
これくらいの匙加減くらいの方が抜きやすい気がします。
とびっきりのイイ女が為すすべもなく罠にかかりじわじわと落とされてゆく様は興奮必至。
一方で作品全体としては寝取られを乗り越えた愛のあり方が肯定的に示されており救済の物語となっています。
(攻略順を誤らなければ!)最後の最後で鬱々とした気持を昇華してくれるため意外な程後読感は良い。
ラストのエッチシーンでのヒロインの告白は作中屈指の名シーンではないでしょうか。
でも、だからこそ作中通してヒロインが心から落とされることがないのには不満が残ります。
決して心まで堕ちないことで変らぬ愛の強さを表現したともいえると思うのですが―・・・だからこそ堕ちているところが見たい。
寝取られとはそういうものではないのか。
これはライターさんの過程偏重気味な描き方とも関係していると思います。
今回は(も?)それが悪い形で現れてしまっていた。
もちろん過程が丁寧なのは文句のない美徳ではあるのですが、寝取られでは関係性の揺らぎが緊張感と幸せの結末の価値を決めるものだと思うし、
本作では添い遂げ・寝取られどちらに転んでも説得力がある程夫婦の愛情と寝取り男の執念は拮抗していたと思うだけに余計に残念感強し。
終盤に他の第3者の男たちの介入のバリエーションを増やして3章ほぼ使い切って描いた方の男をないがしろにするならば、
このままメインの寝取り男無双なシナリオも是非是非是非是非きっちり書きあげて欲しかったですね。
妄想でifルートを考えるしかないですねこれは。
あとはヒロイン視点は全くないことも注意しておいた方がよいかもしれません。
■エロ
シーン数は・・・いくつとすればよいでしょうか・・・・・・
土天さん(elf?)の作品ってエロシーンか否かの判断が難しくてシーン数を記してしまうのに若干抵抗があるのですが、
中途半端にプレーが中断する、矢鱈短いなどのシーンを除くとだいたい
シーン数は22~27【和姦2~4/寝取られ16~19/その他4】
という感じでしょうか。
※各項目の最低数は射精orヒロインの絶頂まで継続/連続シーンは1カウント扱い/十分な尺という3つを条件としたもの
多分この辺りの数字はほぼ確実にエロシーンとして見ることができるかと思います
それ以上は人によりけりという感じですが、個人的には抜き所としてのポテンシャルは
シーン数より遙かに多かった
※寝取られのうち8割近くはメインの寝取り男
※その他はメインヒロイン以外とのエロや他のカップルの寝取られなど
見せ方としては、
‐寝取り男視点[和姦(大多数)、睡眠姦(ごく一部)]
‐ビデオ映像見せつけ[寝取り男との和姦、寝取らせ(ごく一部)]
‐覗き見[レイプ(主人公視点なので)]
の3種類がメイン。
最も多いのは寝取り男視点のシーン。
ともすれば寝取り感ばかりが強まりそうですが、圧倒的に寝取られ感勝っているにはヒロインの魅力の為せる業でしょう。
いずれにせよ前述した通りで寝取られ感が半端ないので実用度はバカ高。
寝取られが本格化し始めてからは干物になってダウンした日が何日もありました。
ネチネチと陰湿に綴られるエロテキスト(大いに褒めています)は和姦寝取られとの相性は極めて良く、
グサグサと抉られるような痛みと興奮が味わえて大変素晴らしい出来。
特に主人公視点で描かれる
‐夫への思いとは別に身体を重ね続けることで生まれてしまう情
‐それに伴う抵抗感の薄れ
‐愛ではないが確かに感じ取ることができる信頼関係
といった嫉妬表現がエグくて最高でした。
こういう部分の変化を明示した寝取られ作品は多分凄く少ない。
ライターさんは強姦凌辱系よりもこういう陰湿寝取られ系の表現のほうが個人的に合っている気がします。
ただエロシーンも過程偏重の弊害を被っているのでやはり身体が堕ちた以降のエロシーンが少ない。
堕ちる前は寝取り男の視点から薄皮を剥ぐように徐々に精神的なガードがはぎとられ、肉体が蝕まれてゆく様子が
ねっちりと描かれているのですが、1度身体が屈してしまうと、あとは主人公に精神的な打撃を与えることを第一義としたエロの見せ方が
中心になってしまって、ひとしきり主人公の心が引き裂かれたらエロが中途半端でも終了みたいなシーンがちらほら。
電車の中での痴漢プレー、宴会場の裏で裸に引ん剥いて部屋までダッシュさせる、ノーパンで公園を徘徊わざと股間を写真に撮らせる
などといったシーンは中途半端にせずに1シーンとしての体裁を整えて欲しいと思う人多いと思うのですが―・・・
この手の抜こうと思えば抜けそうだがエロシーンとは言い難い場面がとても多い。
主人公へのビデオレターなんて特に。
この辺りは主人公だけでなくもう少しユーザーを慮ってくれても良いのではないかなと思ってしまいます。
とはいえ1発の破壊力が半端でなく総じて言えば実用性は抜群。
■まとめ
というわけで傑作寝取られゲーでした。
原動力になっているのは間違いなくヒロイン自身の人間的な魅力。
ヒロインを如何に魅力的に描くかいうテーマは寝取られに限らず美少女ゲームのおそらく基本にして最大の課題だと思うのですが
この点にしっかりと正面から向き合って最後まで描き切ったところが本作の一番素晴らしい点だったのではないかと思います。
王道に近道なしということでしょうか。
これで上記した不満が改善されてくれたら自分にとって夢のような作品になっただろうなぁ。
個人的にはフルプライス寝取られゲーのなかではNo.1と言っても良いかもしれないくらいの出来栄えで大変満足。
しばらく寝取られゲーはプレーしなくてもよいのではないかと思う程でした。
まあ今既に別の寝取られゲープレー中なのですけどね!
傑作とまで評することができるかは保証できませんが、寝取られ作品が好きならばプレーして損のない逸品だと思います。