まさに鬼のような作品。
体験版をやった当初は、どうも小春さんのべたべた感が受け付けられず、購入を見送ろうとしていました。
しかし、OP『紅の空』にはまってしまい、のべ100回は聴いてしまって、やはり購入を決意。
(小売店はこの曲を店内に流すの反則です)
鬱ゲーという感想を見て、あの甘甘な体験版からどうしてそういう展開になるのだろうと好奇心も沸いていました。
だけどプレイ後は、むしろ甘い展開の方を思い出せなくなっていました…。
以下、各ルート一言感想。
○共通パート
体験版以降は、姫歌が学園に転入し、皆で神社のお祭りの成功を目指していくストーリー。
"だだ甘+ヤキモチ"を軸に話がノリ良く進んでいきます。
最初の頃こそ"だだ甘"ですが、だんだんと姫歌&小春が主人公から自立していく様子が伺えます。
ってなわけで、最初の方がHシーンが多いというまさかの逆展開。
並みのゲームなら、姫歌は歌、小春は立派な姉を目指し、終了。って感じだと思いますが、このゲームはここからが違います。
共通パート自身の感想としては、笑えるシーンも多くあったり、夕方田舎道を帰るシーンで癒されたり、それなりに良い出来だったと思います。
正直、ライブ終えた辺まではいったいどこが鬱ゲーなの?って思うでしょう。
○姫歌ルート
姫歌「ぶつぶつ・・・ぶつぶつ・・・」(うつろな目で)
鬱展開キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
このシーンどのルートでも何度も出てくるわけですが、出るたびに怖いw
一撃でこのゲームの作風が変わる感じです。
ある日、願いが叶うという噂が立ち始めた神社で、主人公が憎悪に満ちた願いが書かれた絵馬を見つける辺りから暗転し始めます。
実は、このゲームは神と人の邪な願いを巡る葛藤みたいなのがテーマなわけです。
この後はどうにも救われない展開が続くわけですが、終わりは結構綺麗でちょっと感動しました。
○小春ルート
これはヤバい。
なんというか、こっちのルートを先にやっちゃった人ってどうするの??
って感じの、ドス黒い展開が待っています。
自分が先にこっちをやってしまってたらアンインストールしかねない気もします。
また「君のぞ」のファンならきっと封印されし記憶を蘇らせる事になっちゃうでしょう。
正直、自分の中では(多分殆どの人にとって)このルートは黒歴史。普通に凹みます。
○かみさまのつくりかた
なんとなくAirの『Summer』編を思い出しながらやってました。
というわけで、姫歌の過去の話なんですが、いかに人の願いをかなえる神というのが、現実にいることが難しいかと思わせる話です。
最早この辺ではどんなに救われない話であろうが、鬱展開であろうが慣れっこになっています。
○綾子ルート
最近やってるエヴァの言葉を借りるなら、
「綾子さん!君が何を言ってるのか分からないよ!」
という感じの超展開を発揮し始める最終ルート。
鬱展開に慣れてきたプレイヤーの心もこの展開には再び揺らがざるを得ないです。
この作品の謎と伏線を回収しつつ進んでいく物語。
最後は「一度は譲ってしまったがやっぱり譲らん!」「何言ってるのよ、この裏切り者!」
という人と鬼のエゴがぶつかり合い、更には政府の陰謀が絡んでくる超展開も重なった、凄まじいクライマックスを迎えます。
まさに、鬱に彩られ(?)回り続けたこのシナリオにふさわしい壮絶な終劇であると思います。
しかし…、そのラストは実にいいです。
こう書いて、いいなんて何だかおかしい気もしますが、最後は何故だか異様に感動します。
自分にとって、この感動はこのゲーム中の鬱屈としたものを全て晴らしてくれる感じでした。
なんとなく「纏いーながらー祈りー続けるーこの幸をーー」のOPの歌詞が頭にリフレインされました。
○まとめ
最後が感動できたなら、このゲームはいい評価になると思います。
自分はいい評価をしましたが、悪い評価を見ても、そりゃそうだwと納得できます。
と考えると、このゲームはやはり人を選ぶゲーム。
とりわけ、小春姉さんが好きな人はこのゲームのプレイヤー対象から外されている気がします。
P.S.
ファンディスク?いや、もういいです、お腹いっぱいです。。