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kamitukiさんの学園で時間よ止まれの長文感想

ユーザー
kamituki
ゲーム
学園で時間よ止まれ
ブランド
Waffle
得点
70
参照数
17455

一言コメント

時間停止モノっていうのはね、誰にも邪魔されず対象の日常を人知れず、むしゃぶり尽くさなきゃダメなんだ。時が止まった中、独りでさ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

私の中では時間停止モノの醍醐味というのは女の子たちがおしゃべりをしていたり、勉強をしていたり、スポーツをしているところを時間を止めて人知れずエッチなことをする。色々な服装、様々なシュチュエーションの女の子たちが青春を謳歌しているその輝ける瞬間を下卑た欲望で味わい尽くすことにあると思うのです。

翻って本作品は主人公が時間停止を頻繁に解除してしまうのです。女の子たちは時間を止められていたので見知らぬ男がいきなり目の前に現れたり、気付いたらハメられていたりして、驚愕し、戸惑い、怖れ、快楽を覚えていきます。これはこれで楽しいのですが催眠モノでも再現が可能なのです。そう催眠モノでも似たようなシュチュエーションがあるのです。時間停止モノである必要性が揺らいでしまいます。

そして、なによりも問題なのが「女の子たちが青春を謳歌しているその輝ける瞬間を下卑た欲望で味わい尽くす」ことが出来ていないことにあります。ヤっている最中に時間停止を解除してしまうと当然女の子たちは戸惑いや嫌悪、恐れを抱き抵抗しようとします。もうこの時点でアウトです。例えばスポーツ選手が最も輝くのはスポーツをしている時であって不思議な力を持つ男に怯えている状態ではけっしてないのです。

時間停止とは女の子たちのその瞬間をまさに切り取って味わうことの出来る最高の能力です。その利点を捨ててしまうとはなんともったいないことでしょう。


その他の不満点

・シナリオ
起承転結の「起」と「結」の部分に不満が残ります。今作は単なる時間停止能力のある強姦魔の話ではなく、一応復讐劇ということになっています。なぜ一応と付けたのか、それは復讐の動機など主人公の犯行にいたるまでの詳しい経緯が序盤になく、ほぼエンディングの辺りで申し訳程度に明かされているだけだからです。「起」の部分で主人公は復讐を仄めかしつつも性欲の方が前面に出ている為、作品全体の印象がぼやけてしまっています。

最後の最後に明かされる復讐の動機は学園の理事長を務める男がかつて主人公とその母を捨てた父親だということです。そして最初の犠牲者である姉妹は主人公の腹違いの妹たちということになります。先にこれを教えて貰えないとプレイヤーは復讐劇特有の鬱屈した攻撃性を対象にぶちまけるカタルシスも近親相姦の背徳感も味わうことが出来ません。

順番が明らかにおかしいです。復讐の動機を序盤に明かし、メインディッシュである橘姉妹の陵辱を終盤に集中させた方が良かったです。