記憶とビスケットが動源力の木偶人形・コルクと経歴不明の女主人・ヴィザル。そんな彼らを取り巻く愉快な人々との緩やかで温かな日常と、そして―――。萌えて燃えて、そしてラストにホロリとくるまさに王道の作品。全てが愛おしくて大好きな作品ですが、一番の見どころは何と言ってもコルク先生!木偶人形+ジジィ口調の癖になんて可愛いんだ、もー。プレイ中何度萌え転がったことやら。
これはへんてこなゴーレムと彼の愛した人々のお話
ここのサークルの『黒曜鏡の魔獣』がベストヒットだったので速攻で購入。
黒曜鏡の方も熱い展開やグッとくる展開が盛りだくさんなので、そういうのが好きな方は是非プレイしてみてください。
お勧めですよ~。
ちなみに本作は同サークルの『紅湖の皇子』と関係があるそうですが未プレイでも十分に楽しめます。
(本作プレイ後に紅湖をプレイすると微妙な気持ちになりますので、もしプレイ予定があるなら紅湖→本作の順がベスト)
ところで私事ですが、先日ついに本作の起動回数が二桁になりました。
我ながらどんだけこのゲームが好きなんだよと少し引いています。まぁ今も記録更新中なんですけどねー。コルク可愛いよ。
・シナリオ
大陸南端の港街、セントサウス自治区域。
そこの裏通りの片隅に事務所を構えるヴィザルのもとに木偶人形が届けられるところから物語は始まります。
本作は本編とフリーシナリオの2つから構成されています。
フリーシナリオはdiary、letter、album(Hシーン)の3種類。どれも本編の補足的なものです。簡単に言うとひぐらしのTIPSみたいなもの。
選択肢はなく、本編とフリーシナリオを読み進めていきながら徐々に真実が見えてくるといった感じです。
前半~中盤はこれといった動きはなく、コルクと愉快な仲間たちの日常がゆったり・まったり進んでいきます。
コルクがヴィザルの○○○に興奮したり、コルクがビスケットをしゃくしゃくしたり、非常に和みます。
メイン以外の脇キャラも個性的でいい味を出していて、コルクやヴィザルとの会話シーンが非常に面白い。
娼婦のメイコが処刑上で晒し者になったり、ヴィザルをツンデレとからかったり、ヴィザルがクリノラスを毟ったり……。
割と同じようなシーンが続いたりもしますが、立ち絵の使い方が非常にうまくキャラが魅力的、そして何よりも楽しいので見ていて飽きませんでした。
むしろ日常シーンはあと2時間くらい見たかった……。
もうね、コルクがたまらなく愛しいのですよ。本当に可愛くて仕方がない。
ヴィザルもコルクに対する過保護っぷりが微笑ましいです。クールキャラと見せかけて実はツンデレ、そして世話好きなんて最高。
脇役はもちろん、主役の2人(?)も魅力たっぷりなのは嬉しいですね。
フリーシナリオの方は、ヴィザル達が追っているリアンとダークエルフの「歌姫」に関する話が中心。
作品中では悪者(というか敵?)として扱われているのですが、彼らの日常は楽しくて温かくて、そして切ない。
そのせいで、もしあんなことが起こらなければ……と複雑な気分にさせてくれます。
そして終盤から急激に物語は加速し始めます。
初っ端からメイン格のキャラが退場したのには衝撃を受けました。
ここからはバトルが中心。
バトルシーンは黒曜鏡と同じく王道少年漫画のような展開。心理戦はなくてほとんど力押しで何でもあり。
コルク覚醒後は何でも有りにもほどがあるってくらい無茶苦茶。
さすがに『ラプラス・イービル』辺りはやりすぎではなかろうかと…燃えましたけどね。
コルクがとあるものを代償にして戦う姿や覚醒前のヴィザルとの会話など、ホロリとくるツボをしっかり押さえていてうまいなぁと感心しました。
挿入歌がかかるシーンも泣けと言わんばかりの演出ですが、すっかり術中にはまってしまいボロボロ泣きました。
あそこでセントサウスの記憶が溢れだすのは反則。
キャラクターがとても魅力的で日常シーンが面白かったおかげで、とても印象深いシーンになりました。
そしてEDは感動というよりも寂しいと感じました。
もうあの日常は二度と戻ってこないんだよな……という何とも言えない寂しさ。
できればあの日常をいつまでも眺めていたかったです。
しかし、またいつかあの2人は出会うのでしょう。
例えその再会が幸せなものでなくても。それが「終わり」になるかもしれなくても。
ハッピーEDではないけれど最後にそんな希望が残される終わり方なのは良かったです。
・演出
普段はあまり演出については書きませんが、このゲームについてはどうしても書きたい。
立ち絵の使い方がうますぎる。
とにかく画面の中を動き回ります。合体したりしゃがんだり振り返ったり…。
CG枚数はそんなに多くありませんが立ち絵のおかげで別段気になりませんでした。
むしろ立ち絵が豊富すぎて、どれがCGでどれが立ち絵なのか分からなくなるくらい。
個人的に気に入ったのは、コルクと話す際にキャラがしゃがんでコルクの目線に合わすところと、とあるフリーシナリオ内でのクリノラスとコルクの合体シーン。(もちろんそのままの意味での合体ですよ)
微笑ましくて、見ていて思わず頬が緩みました。
またバトルシーンでの演出もすごい。
アニメのようにグリグリ動きます。特に劇場が組み立てられていくシーンは圧巻。
バトルシーン自体面白かったですが、この演出のおかげでさらに引き立ちました。
・エロシーン
本編中にエロは存在せずalbumの方で見られます。
セイルのHシーンが多めで5シーン、ヴィザルのが3シーン、歌姫(レヴィアル)のHシーン(?)とメイコがそれぞれ1つ、そして。
♂×♂が1つ……まさかこのゲームにこれがあるとは思わなんだ。
というかこのシーン見るまで女性だと思い込んでいたよ。顔は女の子ですがばっちりついておりました。しかも後の穴は開発済み☆
……さーってHシーンはというと、何と言うかぐっちょんぐっちょんな感じ。
いろんな液体をまき散らしながらイキまくっています。
そしてみんな後の穴が開発済みで、もれなく後の穴を弄られます。わぁー。
脱肛とかアレな単語が見えたんですが気のせいですよね?後の穴に手首まで突っ込むって、あんた…直検じゃないんだから。
とにかくそんな感じです。CGのせいかもしれませんがHシーンは全体的にぬちゃぬちゃしています。
好みもあるでしょうが私はあまりエロさは感じませんでした。
当然ですが彼女たちのお相手は皆人間です。コルクとのHシーンはありません。というかあったら嫌ですね。
・声
POVでリアンの声が合ってないと書きましたが、全く合ってないわけではないんです。
と言うのも、最後に感情が爆発するシーンや笑い声などおおっと思う部分もありましたので。
特にリアンの本音が分かるとあるセリフは子供らしいというか駄々っ子っぽい演技はハマっていました。
まぁそれ以外は妙に鼻声っぽかったりして(顕著なのは日常シーン)微妙なんですけど、いいところもあるので一概に悪いとは言えなんですよね。
磨けば光る声優さんだと思います。
その他の方の演技はうまく、特にメインキャラのコルクとヴィザルはハマり役。
コルクの「ヴィザルー」は破壊力満点。あれは駄目だ。可愛過ぎる。
今でもたまに聞いて和んでいます。
・CG、立ち絵
立ち絵はコルクが可愛すぎて萌え転がっていました。
獣人キャラも男キャラもうまく、クリノラスとサブナックは前作と比べると別人です。
塗りが少し変わったせいかもしれませんが、黒曜鏡よりも格段にうまくなっているように感じます。
ただメイコやセイルの立ち絵は下半身がものすごく太って見えて違和感が。あれはムチムチっていうレベルじゃない。
CGについては普通のCGはいいのですがHCGになると崩れるというよりわざと崩しているのでしょうか、立ち絵と差があるものがいくつか。
肉感的に描かれていますが肉感的すぎてセイルのCGに下半身が大変なことになっているものがありました。
ムチムチと言うか、ぼっちゃりと言うか。
・キャラ
とても魅力的。コルクやヴィザルはもちろん、クリノラス、メイコ、サブナック、フラウ、ローズ婆さん、そして立ち絵のないキャラも含めセントサウスに生きるすべてのキャラが大好き。
ちなみにゲームを少し進めてから同梱されているコルクの日記を読むと、より一層セントサウスに愛着が湧くと思いますよ。最後までプレイする前に一度読んでみてはいかがでしょうか。
敵対する人物もフリーシナリオのせいでそんなに嫌う事が出来ないのは、いいことなのか悪いことなのか……。
特にレヴィアルは「スーパーきゅんきゅんタイム」でやられました。あのシーンは反則。可愛すぎる。
セイルとレヴィアルの嫁姑バトルも面白かったです。
セイルは本性を現してからはそんなに好きになれませんでしたが…子を思う母親の(狂った)愛情ってあんなものなんですかね。
どのキャラも大好きですが一番はやっぱりコルクで。
小さな体に負った過酷な使命、怖がりで寂しがり屋の彼が見せた強さ、最初から最後まで主人公らしく大活躍でした。
……とべた褒めしてきましたが、不満点も。
まずは生かし切れていないキャラクター。
ライエにもう少し見せ場が欲しかったですね。
一応最後に役割が与えられているますがイマイチ影が薄いです。
ラストバトルもリアンとコルクの一騎打ちになっているせいかレヴィアルがほったらかしになっています。
結局クリノラスはレヴィアルに勝てたのでしょうか?クリノラスは生きているのでしょうか?そこが気になります。
(まぁおそらくは……でしょうが)
また、コルクの能力(日付を見ればその日の出来事を全部思い出す)が終盤とプロローグでしか生かされていなかったのも残念でした。
てっきりその能力を生かしたエピソードが作中にもっとあるのかと思っていたので、終盤のあのシーンのためだけに存在していたのはもったいなかったですね。
そしてメイン格のキャラが何人か退場するのは……これはしょうがないですよね。できれば生きていてほしかったというのは私の我儘でしょう。それにあの状況で生きていたら、それこそ私の苦手な「ご都合主義」になってしまいますから。
日常のシーンの楽しさやバトルシーンの盛り上がりのみなら100点満点の作品ですが、続編を匂わすような終わり方だったので100点は続編に取っておきます。
という事で是非是非続編を作ってください本当にお願いします。
続編次第では久しぶりに100点をつけるかもしれません。それくらい私にとっては大好きな作品になりました。
ラストが尻切れトンボ気味ではあるもののバトル中の味方同士の軽い会話、臭いセリフ、何でもありの展開が大好きって人なら楽しめます。
お勧め!
それにしてもコルクが可愛かった…ビスケットをしゃくしゃくするシーンを初めて見たときは、萌え死ぬかと思いましたよ。
ああもう何て可愛いんだ。また新たにジジィ口調木偶人形萌えというわけのわからん属性に目覚めてしまいました。
ひょっとすると今年一番萌えたキャラかも。
今年最後に萌えたキャラが女の娘ではなく木偶なのはエロゲープレイヤー的にはどうかと思いますが、可愛いから仕方がない…ですよね?
以下、ネタばれ気味の感想
そういえばコルクって女の子なのでしょうか?
結局のところこのゲームで誰が一番悪かったのか?を考えるのは無駄なような気もします。
リアンが悪い→いやいや、そもそもサブナックが→それを言うならレヴィアルが
とこんな感じで答えが出ないと思うんです。
だから結果として言えるのは、だれが悪いとかではなくてそうなるようにしかならなかった、これしかないのではないでしょうか。
おそらくそれは数百年前から、セイルが哀憎の狂気となったときから…。
それでもカナの村で3人で騒がしいながらも幸せに暮らしていた彼女たちを見ると、もう少し何か方法はなかったのだろうと思ってしまいますね。
黒曜鏡プレイ済みなのでディアボロやデュエル家、ロード、ダイヤモンド・グレイス、そしてクリアー後のフリーシナリオで彼女が出てきた時は思わずにやりとしてしまいました。
いや~まさかヴィザルがダイヤモンド・グレイスの妹だったとは…。ますます彼女の顔を拝見したくなりました。
夫がいて子持ちで、とげとげのたくさんついた巨大な棍棒を振り回すお母さん…素敵です。
POVに登録した以外に心に残ったセリフ
「あんた、真性のツンデレ舐めるんじゃないわよ」(ヴィザル)
「…。まあたぶん、逃げ遅れてるんだろうとは思ったが。……ったく。なんてまあ、とろくさい女だ、お前は」(クリノラス)
「僕だって!!!!そうだった!!!!!そうだったのに!!!!!!」(リアン)
「さあ!我らの天敵!正義の味方がご到着だ!!」(サブナック)
個人的にサブナックの終盤のセリフは全部名台詞だと思います。
また、サブナックの上のセリフは言った後の表情も含めて印象に残っています。
好きなシーン
メイコが壁に少女の名前を記すシーン
今までただのアホの子だと思っていた彼女の意外な一面が見れました。
こういうのがあるからキャラクターがより一層魅力的に見えるんですよね。
そしてまさかこれが伏線になっているなんて思いもよりませんでした。
ちなみに別の意味で印象に残ったのはDiaryの「十字通りの習字教室」です。
アホすぎて爆笑しました。
「そ、そ、底引き網…っ!そこびきあみいいいいん!!!!!!」…アホすぎるよメイコさん。
そして声優さんGJ!!
ここのギャグシーンはどうやらものすごく私と相性がいいようです。
毎回毎回大いに笑わせてもらっています。
続編はめちゃくちゃプレイしたいのですが、どーしてもハッピーEDにならないような気がしますね。
もしかしたら超ご都合主義のハッピーEDで纏めてくるかもしれませんが、それは好きじゃないしなー。(コルクに未来改ざん能力があるのでそうなる気もしないではないけど)
かと言って800年後がヴィザルとコルクの本当のお別れになるのも寂しいよなー。
作中でも少し触れられていたように、800年後がコルクの終わりなのかは分からないのですが、ヴィザルは800年後には限界っぽいですし……。
もし続編を制作されるのならどういった結末になるのでしょうね。
すごくどうでもいいことなんですが、こんなにも夢中になったキャラクターは媚肉の沙耶以来であることにふと気がつきました。
私が今までおかしなくらい夢中になったキャラクターは那波(水月)、カルラ(うたわれ)、沙耶(媚肉)に次いでコルクが4人(?)目なんですが、4人目にして無生物キャラかぁ~…と何とも言えない気持ちになりました。
まぁ可愛いから仕方ないんですけどねっ!
ゲームをクリアーしてから1カ月以上経っていますが、今でもたまにセントサウスの温かな日常を覗きにいっています。
…ここまでいくともう病気ですね。