潔く単純明快な妙作。
本作はほとんどがHシーンの描写ばかりで、日常シーンはつなぎ程度にしか書かれていません。
それゆえに小細工が一切使われておらず、純粋なテキストの力量で勝負している作品であるともいえます。
してそのテキストなのですが、はっきり言って素晴らしいの一言です。
面白いのでスキップすることなく読み進めることが出来ますし、同時に性欲のツボも要所で抑えることも怠っていません。
一つ一つのHシーンを惰性でなく、コンセプトに基づいて描かれていることが伺えるので、シーンごとに性欲が掻きたてられて、質の悪い抜きゲーにありがちな「大量のHシーンを読んでてダレる」ということがないです。
そして抜いた後もいわゆる賢者モードというものは訪れず、代わりに心地よい興奮の余韻みたいなものを味わうことができました。
これはエロゲーというか、オナニー全般という枠組みでもめったに味わえない体験です。
あとこの手のエロゲは、主人公の設定からしても、展開がダークサイドに傾きがちになってしまうことが多いのですが、本作は終始明るい雰囲気だったので、逆にそれが新鮮で、その点は良い印象が持てました。
ただ少し残念なのはCGの方です。
テキストにはかなり力を入れていることは見てとれたのですが、そのテキストに合わせた場面の一枚絵、あるいは差分といったものがちょっと不足しているように感じました。
この辺りは予算の関係とかもあるのでしょうがないのかもしれませんが……。
もちろん質そのものはとても美しいものだったとは思いますけどね。
システム面に関しては起動がとても軽いのは良かったです。
一つ難があるとすれば、ログが見にくかったことくらい。
なにはともあれ、ここまで気持ちよくプレイできたエロゲは久しぶりです。
2009年を締めくくるエロゲとして申し分ないと思います。