たかがエロゲーと言えるような作品ではない。
CG・BGM・システムなどは必要最低限。
ムービー、OP・ED曲もない。
最近のエロゲーに慣れ親しんでいると、物足りなくなる。
だけども、必要最低限ということは余分なものが一切ないというわけで。
過分な装飾もなく淡々と進んでいく物語。
テキストは大正時代ということを強く意識して、言葉遣いをはじめ登場人物の意識・所作まで丁寧に気を使っている。
そんなテキストを支える控えめなCGとBGM。
ということは、これはただ「小ぢんまりとまとまった」というだけが特徴だろうか?
そうは思わない。
シナリオそのものは特筆するようなことは何もない。
見るべき箇所は前述した必要最低限の構成要素とテキスト。
余分なものを一切合財切り捨てて「必要なのはテキスト・CG・BGM、他はどれも必要ない」
そう言わんばかりの徹底振り。
その上、大正時代の雰囲気を作り出すためにこだわり抜かれたテキスト群。
ここまで割り切って、そして、細部まで突き詰めた作品はそうそうお目にかかれない。
エロゲーではない。
18禁ゲーでもない。
エロゲーらしからぬ、いやエロゲーとして世に出すのは間違っている。
ただのゲームとして評価するには難しい、そんな作品。