この作品にゲームパートは必要ございません。成る程。そういうこともあるでしょうが、そうでないこともあるでしょう。
いつも通りの嘘屋で安心しました。
音楽・CGは素晴らしい出来なのですが、相変わらず独特で分かりにくい言い回しが多用され人を選ぶ作品に仕上がっています。
また、何かと面倒だと言われているゲームパートも人を選ぶのに拍車をかけています。
しかし、ゲームパートの出来が悪いとは私は思いませんでした。
むしろ、意欲的な試みだと評価しています。
確かに本作のゲームパートはゲーム性という観点から見れば一度プレイすれば十分、いやプレイしなくても十分な代物です。
しかしながら、演出という面から見てみると話は違ってきます。
迫りくる怪異の恐怖、胸に去来する希望と絶望、電信通信機に導かれるまま集める4つの「声」、そして夜の街を駆け抜けるメアリの息遣い。
こうした演出を視覚的に楽しめ、また文章でさらりと流されるよりもメアリが陥っている境遇をユーザーは追体験しやすくなります。
本作のゲームパートはユーザーとメアリの一体感を作り出すための演出の一環だと考えると、なかなかよくできている仕掛けだと思います。
とにもかくにも、製品を買う前に体験版のプレイは必須です。
購入の検討をしている方は、ここの評価に惑わされず体験版にてご自身の目で実際に確かめてください。
嘘屋を愛してやまない嘘屋儲の皆さま、そして初嘘屋の皆さま。
どうかお楽しみあれ。