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haremloveさんの逆転裁判6の長文感想

ユーザー
haremlove
ゲーム
逆転裁判6
ブランド
CAPCOM
得点
90

一言コメント

日本と異国の地クラインが交錯する王泥喜編最終章。見抜け矛盾!暴け真相!想いを受け継ぎ、霊媒の導きで、難事件に挑め!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

○雑感

逆転裁判5、大逆転裁判に続く3DSの逆転裁判。
基本的なゲームシステムは逆転裁判5のものを踏襲していますが、
証拠品を立体的に調べるギミックが復活したり、新要素として霊媒された被害者の五感に対する尋問などがあります。

演出面では3Dによるムービーやパートボイスと言った要素が盛り込まれており、
ギミック面では逆転裁判5でオミットされたカガク捜査や「調べる」コマンドがどこでも行える様になるなど、
逆転裁判4以前の調査の自由度が戻っています。



○今回のストーリー(まだプレイ途中なので備忘録的なものになります。)


・第1話「逆転の異邦人」

成歩堂は久々に真宵と再会する為に、彼女が修行する遠い異国の地、「クライン王国」へとやってきた。
まだ真宵の修業が終わるまで2週間ほど時間がある事から、成歩堂はガイドの少年と共にクライン王国の観光をするのだが、
その少年が国宝の盗難と警備員の殺害の罪で逮捕されてしまう。
少年の事が心配になって裁判の様子を見に来た成歩堂は、
そこで弁護士不在の中、異常とも言える早さで少年が有罪となる現場に居合わせ、思わず判決に異議を唱える。

少年の無実を信じる成歩堂は、彼の弁護をするのだが、クライン王国では弁護士は異常なまでに敵視される存在であり、
裁判の要でもある姫巫女レイファの霊媒による託宣も一見して被告人が犯人である事を示していた。

異邦人である成歩堂は、それでも幼い頃から曲げない弁護士としての信念のもと、異国の地で四面楚歌の状況から事件の真相を暴いていく。



・第2話「逆転マジックショー」

成歩堂がクライン王国に赴いている頃、王泥喜と心音はみぬきのマジックショーが行われているイベント会場に来ていた。
今は亡き父、そして祖父の意志を継いだみぬきは、共演するマジシャン達と共に華麗なマジックショーを繰り広げるが、
その最中、共演していたマジシャンの1人が死亡する事態が発生する。
当初は事故としての見方が強かったこのトラブルに対して、
担当検事となったクライン王国出身の僧侶検事ナユタはそこに殺人事件の可能性を見い出し、みぬきは殺人の容疑で逮捕されてしまう。

王泥喜と心音は何とかみぬきの無罪を証明し、真犯人を暴こうと調査に乗り出すが、
マジックショーの様子を放送していたテレビのプロデュ―サーは、
事前にみぬきと交わしたと主張する契約書に則って放送中に事故を起こした責任をみぬきに被せ、
成歩堂なんでも事務所を多額の賠償金の担保として差し押さえた上に、偏向報道を使ったメディアの力でみぬき達を悪人に仕立て上げてしまう。

不自然な証拠が残る現場、2つの顔を見せるバニーガール、マジシャンを異様に憎悪しメディアの力を利用する下衆なプロデューサー、
様々な謎と陰謀が渦巻く中、事務所最大のピンチを前に、
成歩堂からの信頼を受けた王泥喜は、心音と共にみぬきと事務所を救うべく、
やはり弁護士を異常に敵視して罵詈雑言も辞さないナユタと対峙しながら奇術と幻惑に満ちた事件の真相を暴いていく。


・第3話「逆転の儀式」

クライン王国のとある儀式の日、成歩堂は久しぶりに真宵と再会した。
しかし、巫女の代役としてその儀式に参加した真宵は、その儀式の祭司を殺害したとして逮捕されてしまう。

今回もまた真宵の疑いを晴らすべく再びクライン王国の法廷に立つ成歩堂であったが、
ナユタ検事の巧みな術中によって反撃の術を失い、かつてない決定的な窮地に追い込まれてしまう。

そんな時、真宵に新たな殺人の疑いがかけられてしまうものの、
成歩堂はそこに活路を見いだし、調査を続ける中でクライン王国を包む法曹界の歪みを知り、絶体絶命の窮地から事件の真相を暴いていく。


・第4話「逆転寄席」

ある日、心音はとある寄席で起きた殺人事件の被告人の弁護を単独で請け負う事となった。
成歩堂はクライン王国に出張中、王泥喜はみぬきの手伝いで不在の中、
心音は孤軍奮闘するものの、傍聴人を味方に付けるナユタ検事の策略もあって窮地に立たされるが、
事件の証人兼傍聴人として法廷に来ていた夕神検事のサポートもあって、
心音はまだまだ未熟でひよっこの半人前ながら頑張って事件の謎を暴いていく。

このエピソードは法廷パートのみのシンプルな構成となっている。


・第5話「逆転の大革命」

ある日、クライン王国で活動する革命派のリーダーであるドゥルクが成歩堂なんでも事務所に来訪してきた。
ドゥルクと縁のある王泥喜は、彼の依頼を受けて倉院の里に住む博士に預けられたクライン王国の秘宝を探す事となる。

ところが博士は王泥喜やドゥルクが来訪する直前に事故死してしまっており、秘宝の在り処は闇に包まれてしまうのだが、
王泥喜はドゥルクと共に謎解きと冒険の末に秘宝を手に入れる事に成功する。

しかし、倉院の里で選挙活動をする男が「その秘宝は自分の物だ」と主張してきた事から、
王泥喜は誰に秘宝の所有権があるかを巡って法廷で争う事になる。

だがしかし、この民事裁判はこれから起きる大革命の序章に過ぎなかった・・・。
民事裁判の法廷が決着した直後、成歩堂なんでも事務所の面々は逼迫した事情からクライン王国に赴く事になり、
そこでドゥルクが密室殺人の被疑者として逮捕される事態に遭遇してしまう。

かくして王泥喜達はドゥルクの無罪を証明するべく法廷に立ち、
父から子へ、師から弟子へと受け継がれる不屈の龍の意思と共に、クライン王国の歪みを正すべく、全ての謎を暴いていく。


・特別編「時を超える逆転」

クライン王国の事件からしばらくして、成歩堂の古くからの親友である矢張が花嫁衣装の女性を連れて事務所に駆け込んできた。
矢張が言うには、彼女はとある結婚式の披露宴で起きた殺人事件の被告人らしい。

被告人や矢張は1度披露宴が催された後、奇妙な事に時間が逆行して2度目の披露宴が行われたと、
まるでタイムトラベルを体験した様な事を語っており、実際に事件の証拠にも同じ披露宴が2回行われていた事を示すモノがあった。

成歩堂と共に調査に乗り出す真宵、検事局長でありながら裁判の検事を担う御剣、事件の影にやっぱりいた矢張、
かつて幾多の難事件を解決に導いた懐かしい顔ぶれが集う法廷において、
成歩堂達は巨大な航空会社の裏に秘められた悲劇のタイムトラベラーが起こした殺人事件の不可思議な謎を暴いていく。

有料DLCによる追加エピソード。
また、このエピソードはカンガエルートを除く逆転裁判4以降の新ギミックが盛り込まれておらず、
逆転裁判(蘇る逆転)~逆転裁判3の要素のみで真相を暴いていく。



●本作の難点。

シナリオ面では「逆転裁判4」の真最終回とも言える第2話「逆転マジックショー」や小気味いい小噺が展開する「逆転寄席」、
王泥喜編の集大成とも言うべき最終話「逆転の大革命」と名エピソードが多い本作ですが、
その一方で演出面にはクドさや冗長さなどが否めない感があります。

本作の幾つかのシーンでは「逆転裁判4」で見られた様な回想シーンの過剰な差し込みによる冗長さが見られ、
演出面ではキャラクターのモーションに割く時間に冗長でクドい面などを感じる所があります。

特にキャラクターや背景のセリフ回しにおいては、
ナユタ検事が事ある毎に弁護士(主人公)サイドを「ド腐れ」呼ばわりするなど、プレイヤーの悪感情を煽り易い罵詈雑言が頻繁に出て来たり、
法廷にいる傍聴人達のガヤガヤ声も冗長でクドく、特に第1話や第3話ではプレイヤーのアウェー感をかなり過剰に煽っている所があります。
(ナユタに関しては最終的に「ド腐れ」発言が痛快なセリフになるシーンもあるので、頻度やセリフ回しにもう少し気を使ってくれればと思います。)

ともあれ、ストーリーの勢いの良さに加えて悪目立ちする様なシナリオ上の矛盾もそれ程ないので、
本作が名作である事は変わりありません。

ただ、個人的には現在は新規入手不可能な期間限定特典シナリオを再録したリニューアル版もいずれ出て欲しいと強く思います。