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haremloveさんの逆転検事の長文感想

ユーザー
haremlove
ゲーム
逆転検事
ブランド
CAPCOM
得点
90

一言コメント

御剣が主役の逆転裁判スピンオフ作品。現場を調べ、ロジックを紡ぎ、ヤタガラス舞う難事件に挑め!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

○概要

逆転裁判シリーズのライバルキャラ、御剣検事を主役にしたスピンオフ作品です。

基本的なシステムは本家逆転裁判シリーズに準じつつ、
本家がコマンド選択形式で一枚絵のCGで表現された事件現場などから証拠を探すのに対して、
こちらは立体的なフィールドで表現された事件現場などを捜索する方式となっており、本家とは一味違う捜査を行えます。
(念入りに捜査する必要がある所は本家と同様に一枚絵のCGから証拠を見つけたり矛盾を暴いたりしていきます。)

また、本家が法廷における審理で謎を解き、真犯人を追い詰めていくのに対して、
本作は現場を調査し、そこから得た情報から紡ぎだすロジックと現場で獲得した証拠を頼りに、
その場で謎解きを行い真犯人を追い詰めていきます。


○各話あらすじ


・第1話「逆転の来訪者」

「逆転裁判3」以来、久方ぶりに日本に帰ってきた御剣は、検事局の自室で起きた殺人事件に遭遇する。
隣室の検事がイトノコ刑事達を疑う中、現場を調査する御剣は、殺人事件の犯人、そして自室で起きた事件の真相に迫っていく。


・第2話「逆転エアライン」

自室での事件から遡る事2日前、日本に帰国する飛行機の中で、御剣は殺人事件の第1発見者になってしまう。
その場に居合わせたCAに犯人と勘違いされてしまった御剣は何とかして誤解を解くと、機内で起きた殺人事件の調査を開始する。
やがて飛行機が日本に到着すると、即座に駆けつけてきたイトノコ刑事や狩魔 冥達と共に調査を更に進め、事件の真相に迫っていく。


・第3話「さらわれる逆転」

御剣が日本に帰国した翌日(自室で事件が起きる前日)、彼はとある誘拐事件の身代金の運び人となった。
しかし、御剣は身代金を指定の場所に置いた直後、何者かに襲われて気絶させられてしまう。

目覚めた御剣はそこにやってきた義賊の少女ミクモと共に閉じ込められた部屋から脱出すると、
現場にやって来た国際警察の荒々しい捜査官、ロウと出会う。
更に自分達が脱出した建物のガレージから死体が発見され、レジャーランド内で殺人事件が起きた事が明らかになってしまう。

御剣達は強引な捜査を進めるロウと衝突しつつも、ミクモが持っていたアイテムを使う事で現場をVRで再現し、
殺人事件、ひいては誘拐事件の真相へと迫っていく。


・第4話「過ぎ去りし逆転」

時は7年前、とある法廷で被告人が爆弾発言をした事で、
御剣は被告人からとある嫌疑をかけられてしまった担当検事の代理として初めて法廷に立とうとしていた。
しかし、いざ開廷して審理が始まろうとした時、被告人とその検事が2人揃って死んでいたと言う事件が発生する。

法廷にやってきた冥と共に、若き日の御剣は真実を突き止めるべく捜査に参加し、
そして過去から現在の事件へと因縁が繋がる10年前の「KG-8号事件」と密輸組織の謎の一端へと触れる事となる。

御剣の初めての法廷に関しては、「逆転裁判3」も参照。


・第5話「燃え上がる逆転」

連日の事件を経てやっと一息つこうとしていた御剣であったが、
そこにミクモがやってきて、とある大使館に「ヤタガラス」が予告状を出した事を伝える。
ヤタガラスとは因縁がある御剣とミクモは共に件の大使館にやってくるが、
そこに予告通りヤタガラスが現れ、大使館はパニックに陥り、しかも2つの殺人事件が発生してしまう。

更にこの大使館は少々特殊で、元は1つの国だった所を国の分裂に伴って2分割されていると言う事情があり、
それぞれの国の大使館でそれぞれの事件が起きたと言う状況であった。

捜査を進める中で御剣達は、2つの事件の因果関係、そしてKG-8号事件から続くヤタガラスと世界規模の密輸組織の謎に迫り、
真実を明らかにしていく。

本作の最終エピソードであり、本作の物語に一貫して存在する「ヤタガラス」と「密輸組織」の双方の真実が明かされる物語。



●良点と難点

本作のストーリーは一貫して「ヤタガラス」と「密輸組織」の存在が物語に関わっており、
各話の事件が互いに密接に関係し合う形で重厚なストーリーと終盤に向けて収束して真相が解き明かされていく展開は大変面白いです。

その一方で基本的なゲームシステムは本家シリーズと変わらずであり、セーブすると自動的に中断されてしまう為、
それが微妙にテンポを削いでしまっている感があります。

ともあれ、本家に負けず劣らず面白いミステリーが楽しめる作品となっています。