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handmanさんの真剣で私に恋しなさい!の長文感想

ユーザー
handman
ゲーム
真剣で私に恋しなさい!
ブランド
みなとそふと
得点
85
参照数
1389

一言コメント

類似作品としてはメイプルカラーズ。というか、それしかもう考えられないw他、設定でリトバス等(幼馴染グループと性格)が散りばめられた世界観? 細かな作りこみには力の入れ具合を感じさせられる。パロネタが多くてウンザリ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

マイナス部分:
①ギャグとシリアスのメリハリを期待してたんですが、
どうもあまりギャグのほうでは期待値ほど面白くなくてだれました。
時事ネタ・パロネタ・下ネタ・オリジナルネタ 他作品のネタまであり、その量は圧巻。
が逆にいうと、時事やパクリネタが流石に多すぎましたね。
時事パロネタを取り入れすぎた代償としてあげられるのが「総理」の存在でしょうか?
発売日等を考えれば仕方ないですが・・・ね。

②キャラの多さの仇となった部分として、本編始めのSDキャラでの選択。
この部分のテキストがなんというか・・・単発で見ると1つ1つ短すぎる。
大きな1つの流れを組むことが出来ずに特定ルートに突入するまではごった煮のような印象でした。
③それと、声優に少々遠慮しすぎたせいでしょうか?
声優の相応キャラに見合うように演出を持っていているように見えて仕方ありません。
この点は声出しの人繋がりでのパロディの話だけでなく、全体的に流れが凄い強引に見える場面があるのも残念。

一番のマイナス要因は、
④非常識なパワーと癖の強いキャラクターの掛け合いから来る極端過ぎた日常と
突然切り替わるシリアスな部分での妙な生々しさのある心理描写が噛み合わなかったことです。
おかげで、要所要所で置いていかれた感が出たり、
そのやり取りで「ねーわー」と冷静なツッコミを入れてしまったりと物語に浸るタイプの作品ではなかったかな。


プラス部分:
①キャラクター1人1人が確立されていて、大人数にもかかわらず掛け合いが楽しい。
まぁ過去のライターさんの作品と比較してしまえばギャグはそれほど でしたが、死にキャラがいない。
そのおかげで登場キャラの多さにかかわらず世界観がユーザー側としても構築しやすいです。
②サブキャラも攻略に含まれている点や別途アフターストーリーがある点も楽しめてプラス。
(+α)そして、キャラとして上げると、大和。
うん、少々出来すぎなキャラの要素もありますが
軍師という立ち位置と考え方など無理なく、好印象。
かといって、譲らない線引きがある餓鬼っぽさが妙にリアルで人間臭さが出ているキャラ。

③声がいい味出してる。当然といえば当然ですが。
(有名人起用のこと自体は別段必要性を感じないので評価に入れていません。基準はキャラと折合っているか否か。)
それとBGMがサントラ欲しいくらい秀逸。
欲をいえば、鉄乙女が降臨した時のボーカル付きの歌がショートverだったのか、
途中ですぐループしてしまっていたことが残念なくらいなものでそれ以外は文句無しです。

④シリアス部分の主人公達の心理描写テキストが相変わらずうまいです。
普段なら不快になりそうな我侭描写も「子供ならありそうだw」と思えてしまう描き方は、一級といっていいかもしれません。
SDキャラのモーションや専用テキスト、チュートリアルや終了画面なども
豊富で見ていてor読んでいて飽きない面白い。細かい作りこみまで凄いです。

シナリオは手堅くまとまっていた印象で個人的には好きですね。
まゆっちルートが日常ルートからずっと同じ話の繰り返しでだれましたが
他は無理なくそつなく読めた感じです。
クリスルートの一部はやっぱりつよきすのあれ・・・ジャスティスが視野に入ってました?w
近衛とかより大分物分りが良い緩やかな設定になってましたけどね。

⑤犬=一子のルート。夢半ばで敗れる無念さが残るモノですが、
趣向を変えてきた現実主義で、シナリオもテキストの流れも一番いいと思います。

リュウゼツランルートは勧善懲悪の王道でしょうかね。うまくまとめたお話だと思います。
最初リュウゼツランの冒頭で出てくる回想がまさか小雪だとは思いませんでした。


間違いなく、初心者お勧め作品といえると思います。
ただまぁ、この方の過去の作品と見ると、らしくもあり一部劣る部分もあり とは思います。
本当に風呂敷広げすぎたよな。この作品。