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gonさんのG線上の魔王の長文感想

ユーザー
gon
ゲーム
G線上の魔王
ブランド
あかべぇそふとつぅ
得点
93
参照数
531

一言コメント

散々待たされた・・・ そしてやってくれた、やってくれたよ~!! 評価の分かれ目は車輪とどれだけ比較するかにかかっていると思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 まず言いたいのは「感動をありがとう」と・・・ そして散々待たされた、私個人も
ずっと楽しみにしていたし、多くの方が同じ気持ちだったと思う。正直、発売前に何度
延期を嘆いただろう・・・そんな事ももう過去の事でしかない、問題なしと言い切れる
程、満足させてもらった。

 今作でも相変わらずの氏のシナリオに驚きの連続だった。伏線は相変わらず、自分は
ネタバレのその時まで、主人公=魔王?なのかな~と本気で思ってました・・・
(自分伏線の読み鋭くないもんで・・・ けど、それが楽しめた要因かな)
その上、5章からエンディングへの流れかと見せかけ、最終章があるって・・・ 
まったく予想していなかったから、もう言葉が出なかったです。本当にやってくれます
ね~ってな感じで最後まで驚かされました。

 絵・CGはもうこのブランドに言う事はないです。最早ほぼ完成していると言っても
問題ないと思う。そして、キャラクターの魅力の引き出し方も十分に心得ているといえ
る。車輪の頃からもうこの域に達していたので今更言う程の事ではないのだろう。
 
 そしてBGMとシナリオの統合性は素晴らしいものであったと思う。
クラシックの曲が使われえいる為、オリジナリティという観点でみれば劣ると言える。
そんな事は、シーンに合っていれば何の問題でもないと思う。そして主題歌・挿入歌
が作品を良く引き立てていたといえる。

 全体的な泣きの要素は威力を失っていた。車輪と比較して最大の差が生じる所は
この部分であったと思う。これは車輪が凄すぎたとしか言いようがない。あの作品と
比べるのは酷というもの。これは氏が退化したとも言えるのかもしれないが、私は
そうは思えなかった。何故かと言うと、最終章の京介とハルの2回目の別れのシーン
から涙腺崩壊だったからだ。そして出所のシーンでの初めて会ったわが娘に対する
京介の葛藤、そしてハルの一言。「あなただけです。わたしには、あなただけしか
いないんです」 ハルの京介に対する一途な想いが良く伝わってきた。とても美しい
締めだったと思う。
幸と不幸のバランスがしっかり取れていて、少し悲しいが鬱ではない。正に幸を引き
立てる為の不幸といった感じでしたね。

 きっとこの先色々な不幸と向き合わなくてはいけないのだろう。しかし、京介と
ハルならきっとわが娘をしっかりと守っていけるのであろうと想像してしまった。
そんな風に感情移入したわけなので、全体の要素が減っていたとしてもしっかり心に残
るものだった・・・

 車輪と比較してしまいがちだが、そうするとこの作品の良さが見えにくくなってしま
う気がする。かく言う私もやはり比較してしまったので、たいそうな事は言えない。
純粋にこの作品を評価するか、それとも車輪と比較するかでこの作品の評価は大きく
変わる事だろう。評価にバラつきがでるのも仕方ない事だと思う。

 これから先このブランドはどのような進化を私達ユーザーに見せてくれるのだろう?
かなりハードル高くなってきている。しかしこのブランドはそんな気持ちに応えて
くれる事だろうと期待し今回はここまで・・・