綾音ちゃんの魅力たっぷり
■どんな話
教師になった主人公と幼馴染の女の子が生徒として再会。幼い頃から抱いていた恋心を成就させるのだが、
"教師と教え子の恋愛"という禁忌に甘い酒毒を呑ませて「とりあえずそんなことは後で考えよ？」と誘惑に溺れさせる話。
と、いうわけでもないけどだいたいあってる。
■感想
恋は人を盲目にする。とは良く言ったものです。恋人に夢中になるがあまり場所をわきまえなかったり、自分のプライベートや職務がおろそかになってしまう。なんてこともなきにしもあらず。
本作はそういった一面を主として見せつつ、「でも恋愛は自分の生活の視野を狭めてしまう代わりに、価値観に変化をもたらしてくれる。日頃の時間の感じ方を一変してくれる。恋人がいることで人生の向き合い方を変えてくれる」
なんてことが言いたいのかな、そんなわけでもないのかなとぼんやり考えさせてくれるような作品でした。
表向き本作は「ゆーくんのことが大好きな綾音ちゃん」の可愛さを全面的に押し出している「いちゃラブゲー」で、
絶対に埋めることが出来ない"歳の差"という障害を乗り越えるために、綾音ちゃんが持ち前の切れ者っぷりと年相応ではない艶美さを駆使して、主人公であるゆーくんを落とそうとする過程を楽しむ内容となっています。
校内でもプライベートでもLINEでも執拗に絡もうとしてくる綾音ちゃんに年相応な健気さを感じる一方で、自慢のプロポーションで主人公の性的な視線をからかう小悪魔っぷりは見てるこっちも少し背徳感を抱いてしまったりと、
様々な角度を見せて振り回してくれる綾音ちゃんがとても可愛かったです。（声優さんの演技が無茶苦茶上手かったのも要因として大きい）彼女はこれで女子高生なんだもんな……恐ろしい。
そういう点である意味没入感が高い作品はあるかと思います。
けれど、そんなばりばり王道ラブコメちっくなヒロインの綾音ちゃんの主人公に対する想いや、彼女をそう突き動かす原動力となる部分は繊細なもので、
どれだけ胸が大きくて大人びてようが、中身は彼女と初めて出会ったあの頃のまま。ずっと変わらないものを壊れないように抱いて生きてきた彼女を思うと、先程までの小悪魔綾音ちゃんの背徳感から打って変わり、純愛からしか摂取できないであろう切なさがこみ上げてきます。
こういう繊細な描き方はさすがporori先生と言うべきなのでしょう。
本作はビジュアルや声色、演技などはザ・美少女ゲームなのですが、そのキャラクターを形成している人格についてはフィクションに寄っておらず、ドラマ的な人間味と深みがあります。
「一度は諦めようかと思った」と少し涙を目元に浮かべながら語る綾音ちゃんを見たときはハッとしました。
思わず画面越しに「美少女ゲームに主人公のことを叶わぬ恋だと現実を見ようとするキャラがいるんだ……」とぼやいてしまいましたし、
この逢坂絢音という人物は年下彼女という美少女ゲームに登場する攻略対象ではなく、年下彼女という作品の舞台で生きる唯一無二の少女であって、一人の人物として向き合わなくてはないけないと考えを改めさせらるほどに彼女から生き様を感じました。
ユーザーにとって都合の良い面だけじゃない作品に僕は惹かれるものがあります。
Hシーンとかも結構ドロドロとしたエロいことやってるんですけど、ただ性欲が描かれているわけではなく、その行為が愛情を育む一環として意味のあるものに昇華してくれています。
それが彼らがあの世界で実際に自分の人生を送っているように思わせてくれていて、同じ人間として彼らの感情と人生観に共感できるのです。それがなんだか嬉しいです。
フィクションとはいえど、同じ世界を題材にした同じ人間だからこそ彼らの一喜一憂に重なる時があって、気づかせてくれるものがあることを思い出せました。
わかってはいたけど、やっぱりただのイチャラブゲーじゃなかった……。素晴らしいです。
■その他
ロープライスなので6時間くらいで終わると思うんですが、僕は半年かかりました（？？？）