横のつながりを意識した構成のSF群像もの。
とても時間がかかりましたがとても面白かったです(汗)
どこがどう面白かったのか、良かったのか3つあげます。
ー設定が細かい
この作品ではCIシステム、URという人間の悟性に働きかけるシステム、一種の超能力といえるものが物語の鍵を握っているのですが、それの設定がとても細かいです。CIシステムの前提、仕組み、URを発動させる条件、影響、目的等など事細かに書かれており物語を紡ぐ上での土台がしっかりしている印象をもちました。実際進めていても超能力みたいなもの故に何かしらツッコミどころがあると思ったのですが、内容において腑に落ちない部分は一切ありませんでした。 特に序盤わかりづらかったUR行使について、行使種類、条件。何が出来て何が出来ないのかが明確に挙げれられているおかげでキャラクターがいざ能力を行使してもそれがどういうものなのか理解しやすかったのはプレイ中大きかったと思います。
ー横のつながりを意識した群像劇
この作品の趣旨はIテーションゲームを行う6人+その他を観測する事です。Iテーションゲームにおいて誰がAIなのか判別するのが目的という軸が一つあり、その中のIテーションゲーム上の趣旨→ゲームに参加して人物たちの観測と全部で話の視点として3つの軸があります。じゃあIテーションゲームの勝敗が重要なのかと言われればそうではなく、各キャラ勝敗とは別に目的を持っており(もしくは途中から)プレイ中Iテーションゲームの行く末も気になるし、◯◯がどうなるのかも気になるし、△△と□□の関係も、2年前の事件も.....etcと3つとはいかず、見どころがたくさんある事が面白いポイントです。そして上に書いた”横のつながり”ということで同時進行で進むそれらの事柄が実は関係していて複雑に絡み合いながら進み、群像劇の醍醐味のひとつと言える「ラストにパズルのピースが揃った」ように終わる様はシビレました またお互い身元がわからない状況でチャットルームを使い探りつつ自分の目的に向けて行動を移す中で相手と鉢合わさる過程の心理戦モノのハラハラ感や「プレイしてる自分は全体図がわかってるせいで裏目に出るような行動をとるキャラクターにもどかしさを感じる」といった神様視点で”見守る”感覚をこの作品から味わうことが出来ます。
ー選択肢の魅力
従来のノベルゲームとは違い選択肢が次の行動を決定するスイッチではなく「観測者からゲーム参加者へのアドバイス」という形で各キャラにあくまでも働きかけるものに過ぎないという点がとてもおもしろい、この作品の最大の魅力なのではないかと思いました。何故面白いかというと、自分が選んだ選択肢(アドバイス)をキャラクターによっては無視する事件が起こるからです。従来の選択肢の役割を果たしてない事が晴天の霹靂だったと同時に先ほどの”見守る”感覚になることやプレイしている自分の意志でキャラクターが動かないのがノベルゲームなのにシュミレーションゲームをやってるかと錯覚するのが新鮮でした。それがあるせいで観測者=自分となって実際にゲームを進行させなくてはならず、頭使ってとても疲れましたが最初ののめり込み度は尋常じゃないものでした。
◯悪い点
時間がかかる要因として、元々ボリュームがありますが選択肢によってはそれ以降の既読テキストをスキップできないのがあがります。 そしてそれが結構な長さなので「いやこれさっき他の√で読んだよ」「これもさっき読んだよ」と途中からプレイするのがダルくなります......