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gluttonykingさんの滅び朽ちる世界に追憶の花束をの長文感想

ユーザー
gluttonyking
ゲーム
滅び朽ちる世界に追憶の花束を
ブランド
郷愁花屋
得点
92
参照数
400

一言コメント

プレイした後に「ああぁ....」って物思いに耽るような作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

そうえば感想を書いてなかったので改めて。

とても面白かったです^^ 読み進めていく上でどんどん僕らに投げかけてくるようなメッセージ性の強い作品は久々です。 且つ、シナリオ展開、各話の繋がり方など物語のクオリティも良く、前者との2点がしっかりできておりました。そして、この2点でここまでのクオリティはこの作品が僕の中では初めてでした。
ペース良くさくさく読み進めることが出来ました。先ほども述べたように登場人物がどんどん疑問を投げてきます。 そしてそれが日頃僕らが当たり前だと思っている事に、僕らが考えないような事に対しての疑問であり、始めてすぐにテキストに引き込まれますww 登場人物が疑問、物思いに耽るシーンが展開が一変する間のクッションというか、いい役割をしていたと思います。

CGは企業のゲームと比べると劣る部分はありますがこの作品を伝えるということにおいてでは絶妙にフィットしてました^^むしろ逆にキザっぽく見えてしまうかもしれません。個人的にこのような淡白なイラストは好きです。 

各章の感想

melancholy

人の手によって天気が定められている世界の話

主人公⇔祖母 現在⇔過去というようにお互いを重ねて話が進みます。
「天気を管理する」、「将来が決められている」という「ただレールを進むこと」に主人公(ヒロイン)が疑問を抱く様子は青春してるなあって感じww

・花は”アジサイ” 花言葉は「元気な女性」、「辛抱強い愛情」



こちらの√を100点として他のルートを相対評価させて頂きます。





innocent

月にあるものの善悪を判断する裁判所で無垢な女の子を裁判にかける話
「人を殺すこと」、「世の中のルール」など突き詰めたものに疑問をバンバン投げかけてきます。極論のオンパレードwww
その中で最後の「人はどうあるべきなのか」ということに対してのタイトルに込められた意味にとても胸を打たれました。 メッセージ性という点でこの√が一番でした。

・花は”ユリ” 花言葉は「純粋」、「無垢」


150点





vivid

超能力が出来るようになる薬を投薬された少女二人が殺し合いをする話
話はこの√が一番面白かったです!
人間だって細胞も言ってしまえば「物質」でありロボットとどう違うのか、「人間らしさ」とは一体なんなのかということへの問いかけが重い(´;ω;`)
話を終えてからの切なさ、”vividness”を読んでの切なさ,,,,,,ああ\(^o^)/

・花は”彼岸花”  花言葉は「悲しい思い出」、「想うはあなた一人」


180点





Circular

性善説が元の宗教に人を殺した青年が出会う話
innocentやvividの繋がりが見えてきました!!
「未来が見えることは絶望でしかない」の一言!!

・花は”蓮” 花言葉は「清らかな心」


90点







lost

世界が終わる話
ループもの
ラストは驚かされました。「あれwwそうくる??」みたいな
「考え続けることが生きることの証明」

・花は”忘レナ草  花言葉は「私を忘れないで」、「真実の友情」


120点






abandaned

娘をなくした研究者がジャンクタウンである少女と出会う話
ここでも自分の存在意義について問いかけがありました。大量生産されたもののひとつだとしても....
とにかくブルーが可愛い

・花は”ヒマワリ” 花言葉は「あこがれ」、「偽りの富」


110点





forever

この作品の一番最初、きっかけ
整形をしてきれいななった子が不老不死の研究をする話
恋愛色が強い√でした^^ 
どんな物にも美しいところはかならずある。
一瞬こそ美しい 永遠⇔一瞬 この2つは表裏一体

・花は”薔薇”  花言葉は赤→「情熱」 青→「奇跡」、「夢叶う」


120点




dear

世界が滅んだ後の少年少女二人だけの世界の話
今までの√のまとめのような内容でした。
この世界において人々が培ってきたもの、この地球という物語において僕らの役目
まるで”プラネテス”の最後を思い出させるかのような、一番単純で一番深いメッセージでした。

・花は”タンポポ”  花言葉は「真心の愛」 「別離」


140点






epilogue

全√終えたらパスワード入れて開くシナリオ
プロローグの続き、短い
この作品の大まかなテーマとして「未来」がひとつ上がると思います。このepilogueはタイムマシンなだけにそれに対する回答的な立ち位置です。



90点




各々の√の繋がりが大変良かったと思います。
タイトルである「滅び朽ちる世界に追憶の花束を」ですが、 各√において必ず花とともに数々のドラマがあり、この世界に「今まで僕らはこのように生きてきた。」と思い出して欲しいと言う意味合いを込めて「花束」なのかな思いました。 特にdear√がその話になってくると思います。



一番好きな√はinnocentです。 メッセージ性が強いというのも有りますが、ある一言がとても胸に響きました。