純愛ゲームを称されている従来の作品じゃあまり描かないような事と向き合ってる作品でした。
はじめにこの作品のタイトルがいうメンヘルメイトのメンヘルとは言葉通りの意味で「精神バランスが悪い、頭がおかしい」ということを指し、俗語?として使われる「構ってちゃん、愛してほしい」など過剰に受け身であったり他者を求める人物を意味するものではないということを知ってプレイすると序盤で疑問を抱かずに進められると思いました。
ーどんなお話かー
中学で重度のいじめを受けていた主人公が少し変わった出会い方をしたヒロイン達に恋をしてアプローチをかけていくお話。アプローチをかけていくうちにヒロインを知り、奇怪な行動を取る理由、過去を掘り下げていきながら、ヒロイン達が突きつけてくる現実と向き合いお互い成長していく一種の教養小説。
ー感想ー
面白かったです。なにかと展開ややりとりが痛切なもので、良く言えば「今のエロゲじゃ描けないような作品」言い方を悪くすれば「今のエロゲに喧嘩売ってるような作品」だと思いました。
ヒロインの一人は整形していたり、ヒロインに告白もせず友達以上恋人未満な関係を引きずっているとそうちに誰かにとられてしまったり、初めてのエッチは痛いし(ヒロインは)主人公に中出しされてブチ切れるわと衝撃的です。
でもこれが現実であり現実的な人間関係というもので「しょうがない、そういうものだ」と素直に受け止めるしか無いのです。整形ネタはあれですが.......
そんな感じでこの作品は何度も従来のエロゲでは避けてきたような僕らが目をそむけてきたつらい現実を突きつけてきます。金、名誉が全てな社会。孤独になることを恐れ建前と本音を使い分け、嘘で塗固める人間。それを「そんなことない」といくら否定し吠えたところでこれは覆しようがないのものであると同時に”しょうがないもの”であるということ。
この作品はそれらをありのままに描き「こんなにも現実は辛く、もろいものだけどあなたはどうする?」と「愛するor愛さない」という選択肢でぼくらを試していきます。そしてそのどちらを選んだところで待ってるものはつらい現実ということ、「恋愛をすることが必ずしも良いこととは限らないけど、そこで自分の気持ちを貫くか貫かないかに意味がある」とこの作品は述べています。
男の子が女の子に好意を寄せていて、その子に手助けをしたとします。男の子は好意からなるものですが、女の子がその時彼に抱いだ感情は果たして好きという気持ちなのかどうか、男の子の行為と女の子の気持ちは関係ない。そのとき抱いた気持ちは感謝であり同情に過ぎないかもしれないけどあなたはどうする?愛する?愛さない? ほんとに両想いになったとしても相手には将来有望な未来があって自分にはそれがない、叶える能力がない。それでもあなたは愛する?愛さない? などと僕らを試すなかで僕らは「こちらのほうが良さ気な...」ではなく「僕はこうしたい」と意志を持つことに意味があるんだということ、どちらか良い方を選ぶかじゃなく、それを選ぶ際に現実という巨大な壁を見上げて自分の気持ちを押し殺してしまってはいけないとこの作品は言いたいのだと思いました。今ある業界において上のようなことを描くのは勇気がいると僕は思いますし熱湯を浴びせようとする姿勢に好感が持てます。
また、そんな風にどんな辛い現実が待ち受けていたとしても、「全てを捨ててでも君を選ぶ」という想いこそが純愛であり、これがパッケージで大きく書かれている”純愛ノベルゲーム”の趣旨であると言っている反面、ハッピーエンドの終わりの一節に「こんな都合のいい展開は、ギャルゲーぐらいでしかありえないだろう。」と冷めた目で皮肉ぶっているのも印象的であくの強い作品ではありますがずっと忘れられない気がします(笑)