佳作。シナリオは今ひとつですが、絵と声に助けられた気がします。
システム面：良好、ただしED強制スキップ不可、一部エフェクト解除不可。
シナリオ：わかりやすいタイムリープもの＋学園＋能力者。理解しやすいテキストと流れがあり、不快なキャラやギャグ等が無いため、好感のもてるシナリオでした。ただ後一歩、何か一捻りを加えて欲しかった、という印象です。中盤の終わりまではキャラの可愛さも相まって久々にワクワクしながら楽しめたのですが、ココネ以降、終盤（トゥルーエンド）への流れがやっつけというか単調というか…。アイルまでのシナリオは非常によくできており、駄作ばかりを量産するような凡ライターは見習ってほしいくらいの出来なのに、オチが残念。
あの流れはストーリー上仕方ないのかもしれませんが、そのせいで-10点といったところでしょうか。もう一皮むければ秀作になり得た作品だと感じました。
音声：声は一部微妙に違和感を感じる人がいるものの、全体的に良好。獅堂さんみたいなオッサン声は基本的に苦手なのですが、意外とハマっていて驚きました。
絵：背景はほんの少しですが歪んでます。大げさに言えば魚眼レンズで撮影したような感じ。ただ、その広がる様な背景がかえって良いアクセントになったのかも。
キャラ：かわいい。実に可愛いです。汚いキャラや気持ち悪いキャラ、不快なキャラが一切いないのが最高。奇乳やら糞メガネやら、ナヨナヨふにゃふにゃ主人公やら、遊ぶ気をそがれるキャラが蔓延する中、ここまで自分の嗜好とあったキャラ設定は驚きました。流行りのツボをしっかり押さえた、良い造形だと思います。
エフェクト：一部戦闘エフェクトの様なものが解除出来ないのですが、シーンの速度自体が早いのでそこまで気になりませんでした。終盤のラスボス戦でアホみたいにエフェクトが乱舞しますが、某厨二メーカーのようなイライラするタイプのものとは違い、あっさりしているのにも関わらずしっかり戦闘を表現できている点に好感を持ちました。
総評として、シナリオに一捻り加えてほしい点、システム面をもう少しだけ細かくしてほしい点、一部の棒読み声優が残念な点、これらで-20点程です。その代わり、今後に期待できそうなライターさん、良いキャラばかりの原画さん、気持ちの良いエフェクトと平均以上のシステム面を構築したプログラマーさん等など、新興メーカーにも関わらず期待のできるスタッフばかりなので、少し甘いかもしれませんが、自分の感想としては82点とさせていただきます。
この会社の情報が今ひとつわからないのですが、2015年11月現在、未だに次回作の影がないようですね…。発売されたら真っ先にチェックしたい期待のエロゲメーカーだと感じます。