実兄妹間の恋愛を実兄妹ゆえの苦悩を織り交ぜながらグッドエンドとトゥルーエンドで描いた良作
恋人エンドと妹エンド、どちらもハッピーエンドで良い作品でした。
恋人エンドは、主人公とヒロインが兄妹の関係とタクミと夜空の関係を並走させたエンンディング。
ストーリー自体は先行き不安になることのないグッドエンドに進むストーリーでしたが、タクミと夜空の関係が並走する都合、どこか歪みを感じるシナリオで、妹エンドと対照的でした。そういった意味で、トゥルーエンドが際立たせるシナリオでした。
実妹との恋愛を求めてプレイすると、物足りないルートかもしれませんが、このルートを経過してトゥルーエンドに至ることで、トゥルーエンドのシナリオがより輝くのかもしれません。
妹エンドは、タクミと夜空の殻を脱ぎ捨てて、兄妹として迎えるエンディング。
プレイ中、兄妹として愛を育むことはないのではないかと不安でしたが、兄妹として恋愛をするシナリオで安心しました。実妹から逃げるな。
タクミと夜空との関係を断つ以上、幸せ一直線というシナリオではなかったですが、雨降って地固まる、そのシナリオがあってこそのトゥルーエンドだったといえます。そして、最後のエッチのシーンは、二人の想いの詰まった本作一番の良シーンでしょう。
卯月を演じる実羽ゆうきさんは、好みの分かれる声優さんだと聞きますが、彼女の甘くとろけるような声は私は大好きです。脳をからめとって溶かすような声は、妹キャラである卯月に、単純な甘え上手な妹キャラとは違う属性を持たせていたように思います。それもまた、卯月という実妹ヒロインの魅力を高めていたように思います。シナリオはおいておいて、実羽さんの演じる卯月を堪能するためだけでも、この作品をプレイする価値はあるでしょう。
CGも美しい。立ち絵、イベントCG、背景。その全てが美しい作品です。卯月ちゃんカワイイ。
冬が舞台の作品らしく、光の表現が美しかったように思います。そして卯月ちゃんカワイイ。制服でもコートでもカワイイ。
敢えて言うならば、斜めからの顔のCGにやや違和感を感じないこともないですが、気にならないレベルです。
ロープライスながら、シナリオ・CG・声優の三本がすべて揃った素晴らしい作品でした。
ただ、エンディングで、別ルートのCGを流すのはやめてほしかったナァ……