イチャラブ要素は大満足。「書かれているところは」という但し書きを付けるなら100点と言ってもいい。しかし、本作に求めていたものは書かれていないところにこそあり、勿体無いと思わざるを得ない。
さて、本作における一番の目玉と言えば「一年を通じた学園生活」になるだろうと思うのだが、残念ながらこの点については期待していたものではなかった。
四季折々のイベントをヒロインたちと楽しめるはずが、その“一部分”をかいつまんで見る程度に収まってしまったので、消化不良感があるのは否めない。
まあ冷静に考えてみればHOOKSOFT作品の尺でヒロイン7人(うち3人がサブとはいえ)の一年間を書き切るというのは土台無理な話だった。
4~5人分の材料で7人分の料理を作りましょう、となれば当然一人当たりの分量は少なくなるに決まっている。
ならばメイン4人に絞ってより深く書けるようにすれば良かったのではと思う方も少なからずいることだろうが、そこは嬉しい悩みでサブの3人も物凄く可愛かったりするので、誰も削ってほしくない現状を鑑みると致し方ない部分もまあ無くはないのだ。
しかし、書かれているところの出来が本当に満足できるものだったこともあり、作品内で語られなかった彼らの幸せな時間に思いを馳せると、やはり残念な気持ちを抱いてしまう。
たとえば夏休みなら、プールに泳ぎに行ったり夏祭りで浴衣を着たカノジョと一緒に花火を見たりしているはずだ。もちろん他の季節のイベントも同様である。
こう言っては何だが、学生時代という青春真っただ中の人生で一番輝かしい時期に恋人がいて、そのようなイベントを素通りするようなことは十中八九有り得ない。まして本作の主人公のような行動力のある人物が残りの一・二に該当することは無いだろう。
他で言うと莉佳子の陸上ユニフォームHが無いというのもおかしい話だ。
この主人公、件のユニフォーム姿を初めて見たときに心の中で『なんだよあれ……めちゃくちゃエロいじゃねぇか……』と考えている。
そしてもう一度言うが主人公は行動力がある。莉佳子との交際後には屋上で顔面騎乗位をさせる程の行動力の持ち主だ。
となると確実に「ユニフォーム姿の莉佳子とHがしたい」と交渉しているし、陸上よりも彼のことが好きだと言い放つ程にベタ惚れ状態の莉佳子は間違いなくそれをOKしているに違いない。
だが本作に陸上ユニHは収録されていない。つまりは私が見ていないところで陸上ユニHをしたということ。
そりゃあHは本来は人に見せるものではないのでそれが正しいだろうが、この手のゲームの主人公とプレイヤーは一蓮托生なのだから私にも陸上ユニHを見る権利はあると思うのだ。
少し話が逸れてしまった感じがするが、とりあえずは彼女たちと過ごす時間をダイジェストにすることなく楽しませてほしかったということさえ伝わればいい。
他の要素については、短所も目に付くところはあるものの概ね良好なものだったのではないかと。
『再び日本に戻ることも嬉しいが、何より女子と話せるチャンスがある! 新しい学園で恋をするんだ!』
ストーリー紹介の一部を抜粋した上記の文を見てもらえればわかると思うが、本作の主人公は女の子と過ごす青春に飢えており、そのために行動を起こす気概も充分にある。
登校時間を変えてみていろいろな女の子との接点を作ろうとしたり、放課後の自由な時間を使って仲を深めたいあの子のところへ向かっていく。
STANDTALK+という新機能、いわゆる井戸端会議では持ち前のコミュニケーション能力を活かして多くの人とのつながりを得て、ヒロインたちの新たな一面を知って会話の種にする。
システム的なところに対して感想を言うなら2周目以降が面倒というだけで終わってしまうけれど、恋人をつくるために自分から行動するという観点ならば筋の通ったものだと思う。
ちなみに私は、初周では自分だったらこうするかなあという行動(全サボり・立ち話全スルー・放課後は適当)をしてみたのだが、案の定誰とも深い仲にはなれなかった。
まあ、そりゃそうだな。ちゃんとした生活を送っていろんな人と楽しく話せる人ってのは魅力的だよ。そんな人が自分をちょっと特別に扱ってくれてることが嬉しいのだろう。私のような陰気で自堕落な奴は何やっても駄目。
あとは内容への感想を攻略順で簡単に書くだけにしよう。
それこそ最初に書いた通り「見せてもらえたところは100点」で終わらせても問題はないのだが、本作が大好きなのでちょっとくらいは褒めておきたい。
【恵梨奈ルート(★★★★☆)】
生徒と教師の禁断の恋、しかしそこで無駄に悩まなかったところが非常に好印象。
夏期講習での秘密のやりとりとかED前屋上でのキスとか胸キュンシーンが多い。
【裕香ルート(★★★★ )】
猫村ゆきさんが声を当ててたらハズレはない(暴論)。
父親関連はご都合主義展開だったものの短い尺で成長をきちんと書けていたと思う。
音楽室で乳首をいじる天才的なシチュエーションに出会えて菩薩になった。
【凛ルート(★★★★☆)】
処女独占嗜好持ちにとってはきっと最高のヒロインだろう。私は処占ではないけどそれでも最高だった。
片目隠しはミステリアスでいいがやはり髪を上げて素顔でいられる方が素敵だ。
【美里ルート(★★★★★)】
快活なヒロインなので日常シーンの会話がテンポ良く読め笑顔になれる。
一転して卒業の話になると寂寥感が出てくるのだが、その落差も上手く書けており、気付いた時にはほんの一滴ほどの涙が私の頬を流れていた。
『なんでだろうね。良かった思い出しかないのに……何かを失ってしまうわけでもないのに……切ないね……』
その台詞は日々を全力で駆け抜けていた彼女だからこそ言えるもので、彼女だからこそここまで響くのだろう。
『……うん。これであたしの学園生活はーーおしまいっ!』
離別の悲しみは涙とともに流して、それでも少しは残ってしまうけれど、これから先で待っている幸せへと踏み出すために彼女は笑顔でそう言った。
それはとても素敵な表情で、私も彼女のように笑顔で生きていける人間でありたいと思った。
あと…りょーちゃん呼びが最高。好き。
【莉佳子ルート(★★★★ )】
コミュ障の克服と恋愛を両立して書けていて良い。
主人公のことを好きになった理由が琴線に触れまくった。
【望愛ルート(★★★☆ )】
CGの平均点が一番高かったのはこの子。廊下を移動するときとかロングマフラーのとか好き。
しっかり者の委員長キャラだけど実は甘えたがりというのが可愛い。
主人公が体調不良なのにHしたのだけはモヤっとした。
【瑛美ルート(★★★★★)】
やっぱり幼なじみがNo.1って決まってる。
ルートに入ってから暴走気味ではあるが、幼少時から一途に主人公を想い続けて数年の空白期間を越えて恋が成就したのだから、それまでの想いが爆発してしまうのも無理はないだろう。
とにかく甘々で非常に好み。教室でお兄ちゃん呼びするシーンとか本当にイチャラブをよくわかってる、流石だよ。
他のルートでは父親がバイトで金稼げとか条件付けてくるのにここではすんなり同棲の許可出るけど、やっぱり幼なじみの積み重ねた時間ってのは最強のアドバンテージだなと実感した。
イラストの崩れが前作と比べて大幅に減少しており、ずっと可愛いヒロインたちを見られて幸せだった。
FDは出るなら瑛美と美里かな。3人だったら凛か恵梨奈が入りそう。
サントラは発売しないということは無いだろうけど早めにお願いしたい。ED曲「Honey`s High」が大好き過ぎるのでFULLが待ち遠しい。