これは寝取られ作品にあらず。至上の純愛作品なり。
題材が寝取られを扱ってるだけに勘違いされがちですが、これは間違いなく寝取られの皮を被った純愛ゲームです。
ヒロインは間男に翻弄されて、諦め、流され、肉体的にはほぼ完全に墜ちてしまうが、最後の最後まで主人公への愛情だけは手放さない。
すべてが主人公に露見して事の真相を激しく追及されたり、主人公に謀られ他の男に差し出されるヒロインの哀しい姿や、昔の強い姿を取り戻して主人公との再構築に挑む一途な姿にはとくにゾクゾクしました。
こういう肉体的にはほとんど間男に調教され尽くされたヒロインが、罪悪感にまみれながら主人公との再構築を果たすというシチュエーションのゲームをずっと探していたんですが、ようやく望んでいたど真ん中ストライクの作品に出会えることができたという気分です。
エルフには本当にありがとうと言いたいですね。
寝取られとしても、描写されるエロがそれほど濃厚というわけではありませんが、シナリオ展開やテキストによってプレーヤーの焦燥感を煽り、使用に十分耐えるものになっています。
一章でヒロインと主人公の繋がりを丹念に描き、ヒロインの魅力を十分に引き出したうえで、二章でじわじわとプレーヤーに違和感を与えていって、その最後に寝取られが露呈してズドンと来ます。
この二章最後の展開では、本当に久しぶりにゲームで心臓がぎゅーっと絞られるような気分になりました。
寝取られのバリエーションとしてヒロインの完墜ちを望む声も聞きますが、これが純愛作品である以上その必要はないでしょう。
それを含めた瞬間、ヒロインもゲームそのものも別物に変容してしまうような気がします。
最後まで愛情を捨てないヒロインとして、キャラの統一性を待ったからこそ、どのエンドでも切なさを感じる展開になったのだと確信しています。
個人的にはあまりにも素晴らしかったため、もっと語りたいことはありますが、最後にもう一度エルフの底力に感服したこと、そして傑作を世に出してくれたことへの感謝を示して終わりにしたいと思います。
…しかし、このライターさんって蛭○さんですよね?