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corazon998さんのサクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-の長文感想

ユーザー
corazon998
ゲーム
サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-
ブランド
得点
100
参照数
225

一言コメント

プレイ5作目。哲学や文学、美術の話が多く少し読みにくいが全人類にプレイしてほしい マジの神ゲー

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

OP、シナリオ、キャラデサ、声優など何をとっても好みの作品。めちゃくちゃに刺さったゲーム。
攻略順は真琴→稟→優美→里奈→雫→Ⅳ→Ⅴ→藍→Ⅵ 以下個別ルートの感想
[PicaPica](真琴) まず共通ルートの感想から。稟と直哉の再会のシーンの櫻のCG絵マジでいい。優美が明石を振り回しているシーンと明石が吊り下げられているシーンのSD絵好き。個人的にはプール横で直哉と里奈と優美の会話シーンが好きだな。後「櫻達の足跡」を美術部全員で作り上げるのは少し泣きそうになったぐらいには好きなシーン。この時のBGMも静かに盛り上がるような感じで良かった。真琴ルートでは真琴と校長である紗希との関係性の改善が根幹であった。元々真琴が中村性であり、圭とは腹違いの兄弟であったというのが明かされた。
[Olympia](稟) 稟ルートということで昔稟が弓張に住んでいた頃の話が書かれてた。直哉が絵を描けなくなったのは稟がらみの問題であると思っていたけれどこんな理由だとは思わなかった。忘れ去られたものは忘れたままにしたほうがいいのかは自分にとっては忘れてほうがいいのだと思った。稟の父親が登場してからが本番であり一気に物語が進んだ。稟の記憶が戻ったときの演出にはびびった。稟が直哉の右手を傷つけてしまったことからの後悔でマンションから落ちそうになった時の直哉のセリフには痺れた。こいつカッコ良すぎた。最後に吹は雫が作り出したというような描写があって色々と疑問に思った。この時点で長山香奈は少し嫌いなキャラ。
[ZYPRESSEN](里奈、優美)優美ルートに関しては百合ルートで物語としては何にも解決しない一種のバットエンドのようなルートに感じた。里奈に関しては一番好きなキャラでありながら優美との関係をまとめるのか興味があったが期待以上の展開にしてくれた。まじで、すかぢさんに感謝。一番付き合い方が綺麗なルートだったと思う。物語としてはこの作品の根幹となる千年桜について過去の伯奇の回想などが明かされた。里奈が妹に色々と暴露されるシーンだとか優美と里奈の三人デートのシーンだとかがお気に入りだが、優美の千年桜のシーンはめちゃくちゃいいシーンだった。この場面だけで他のノベルゲーを超えるぐらいにはまじで好き。直哉の右腕の最後の仕事として、がんを患い死にまとわりつかれた少女の里奈を救ったいうのはずるいよまじで。改めてこれを書くときに千年桜のシーンを読み返してるけどやっぱりマジでいい。これよりいいシーンがこの先ないんじゃないかっていうぐらいい。これがグランドエンドでも全員納得するレベルのもんだよ。毒キノコとオオカミの少女達の話に幸あれ。
[A Nice Derangement of Epitaphs](雫) 雫ルートでは主に雫と直哉そして健一郎の過去のシーンが描かれた。里奈ルートで伯奇について語られていたが雫が伯奇だとは気づかなかった。このルートで初めて生前の健一郎が出てきたけれどこの男カッコ良すぎた。元々ノベルゲーでは友人枠の男友達とか父親とかが割と好きだったけれど健一郎はダントツで好きかもしれん。直哉の櫻七相図に健一郎が名を刻むシーンは泣いた。直哉が書いた櫻七相図を健一郎が俺のための墓碑銘だと言ったところで涙腺崩壊。このときのBGMがOPのピアノなのも泣かせにきている。雫について稟が雫に心を与え雫が稟に観客を与えたという関係はあの屋敷にとっては良かったことなんだと思った。稟が健一郎の唯一の弟子出会ったほどの絵の才能を持っていたことには驚いた。伯奇としての能力で稟の才能を雫が飲み込んだ結果として吹が生まれたのは稟ルートの最後のシーンの回収だった。改めてそのシーンを読むと吹が稟の絵を全然ダメですといっていたのは吹に稟の絵の才能があったからであったのは気づかなかった。それと最後の吹のシーンは泣いた。サマポケRBでもあったけれどこんな消えてしまう系の話は普通に泣いてしまう。吹は稟の絵の才能なのだから結局稟に戻るか皆んなから忘れ去られてしまうのしか現状方法がないと思う。この先ハッピーエンドになることを祈って。
[What is mind? No matter What is matter? Never mind ] 時系列的には直哉が櫻七相図を書き終えた後病院で健一郎と若田が健一郎の過去について話される物語。健一郎と水菜の出会いから草薙と中村家の抗争までの話。この話で夏目琴子に惚れた。このヤクザの婆さんかっけえ。健一郎が直哉を信頼して雫を託したのは家族愛であると感じた。
[The Happy Prince and Other Tales] サクラノ詩においてクライマックスとなる章。この章における長山香奈は好きなキャラクターであった。吹と直哉がプールで絵の対決をするシーンは良かった。ムーア公募展でなかなか圭が来ないことから少し嫌な予感がしていたが圭が途中で交通事故により死んでしまったことはまじでショックだった。ぶっちゃけここで読むのやめようかと思ったほど衝撃を受けた。吹と圭のおかげで直哉が絵を描き始め二人ともムーア公募展にノミネートされてこの先二人の画家が世界に名を馳せる展開を期待していた。あんなにたくさんの人が住んでいた夏目家が二人だけになってしまうのは悲しかった。
Ⅳ章 幸福のその先へ V章から時間が経ち、直哉が非常勤の教師として弓張に勤務しておりルリヲなどと美術部を復活されるような話。もとは健一郎の言葉であるが幸福っていうのはいつまで経っても開けられない秘蔵の酒のように捕まえることが難しいということが染みた。唯一交流があるのが片貝っていうのもいい。櫻達の足跡を完成させたときに明石の言った「なんのために作品を作るのか。それさえ見失わければ問題ない。そこに刻まれる名前が自分でないにしても」という意味を直哉が理解していたのが印象的であった。夏目の家での会話で直哉と藍の家族愛について語られたのは少し泣いた。成長した鳥谷や稟、雫なども出てきて続編であるサクラノ刻をプレイするのがマジで待ちきれん。
そもそもOPの曲がいいのにエンディングで流れるとやって良かったとしみじみ感じた。これを超える作品はそうそう無いだろうと思うぐらいにはめちゃくちゃに刺さった神ゲー。Youtubeで紹介してくれたまさんに感謝を。そしてシナリオライターのすかぢさん、ケロQ枕、声優、イラストレーターに最大級の感謝を。まじでプレイできて本当に良かった。