全ルートがハイレベルにまとまった凄まじい作品。今までとは違うKeyの良さが見られた。
「今までのKeyとは別物」
クリアして一番に思ったことでした。泣きゲーといえなくもないのですが(実際に泣いたシーンもあったわけだし)、そこが主目的じゃないよなあ…というのが感想です。
泣かせることを一番にしてた(と思われる)今までの作品とは違い、Rewriteは純粋に物語としての面白さを追究しているように感じました。だからおなじみのTRUEルートでも、CLANNADのAFTER STORYやリトバスのRefrainのような衝撃はなかったです。
というわけで、今までのKey作品と同じものを期待したならば、明らかに期待外れな作品です。ただ、読んでいて面白いかどうかと聞かれたら、僕は今までやった作品の中で最高クラスの面白さだったと答えるでしょう。それだけ読み応えのあるシナリオでした。
緻密に張られた伏線に描写の細かさ、クライマックスまでの盛り上げ、そして何より重要な、文章としての面白さ。どれもこれもが素晴らしい出来でした。クリアしてみて、改めて最初らへんを読み返してみると、伏線の巧妙さに舌を巻きます。
メインヒロインの5ルートに、TRUEの2ルート、方向性がかなりバラバラなのですが、3人のライターがそれぞれの持ち味を活かしたシナリオになっていたと思います。元々評判の良かったロミオさんはもちろんのこと、都乃河さん、竜騎士さんのシナリオも良い出来でした。どれも面白くて、甲乙つけがたいという言葉がぴったりな状況です。
持ち味を活かしまくった分、ルートによって展開がまるで別物になっちゃってはいるのですが、そこはまあ、物語に幅が出たということでひとつ。人によっては、ここもマイナスポイントになるのかなあ…僕は全然OKなんだけど。同じ理由で、ルートによって好き嫌いがはっきり出るかもしれません。僕は全部のルートが好きなんだけど。
というわけで、面白いシナリオが読みたいという人にはオススメ。ただ、プレイする際には、あんまりKeyというブランドを意識しない方がいいかもしれません。もちろん、随所にKeyらしさは見られますけどね。
まとめ。
・泣きゲーではない
・読んでいて面白いかを重視
・ルートによって話の内容がバラバラ
・なので好き嫌い出るかも
全体について書いたところで、各キャラについて書いていこうかと。
~天王寺瑚太朗~
主人公ですね。おちゃらけた空気の読めないやつ、という印象が強かったのですが、最終的には決めるところでしっかり決めてくれる、頼れる男になっていたと思います。ちはやルートやTRUEルートでのイケメンぶりが凄い。
そして一番驚いたのが、彼の設定。ネタバレになるので書けないのが残念ですが、彼の正体を知ったら絶対驚きます。よくもまあ、こんな設定思いつくよなあ…
初回版には冊子がついてきて、その中にSSが入ってるのですが、これはできればオールクリア後、最低でも小鳥ルート終了後に読むこと推奨です。その方が面白いと思うので。
~神戸小鳥~
表のメインヒロイン…という認識でいいのかな。彼女のルートは、Rewriteの世界観を理解する上で重要な部分が結構出てくるので、最初にやった方がいいかもです。メインヒロインなのに最初に攻略推奨って、結構珍しいかも。
共通ルートでは完全な癒し要員。モノマネのクオリティが異常に高いのがなんか笑えるw某熱い人のモノマネは必聴。スタッフさん、まさかモノマネの上手さでCVを斎藤さんに決めたんじゃあ…と思ってしまうくらい(笑)
しかし、個別ルートに入ると逆に、斎藤さんのマジな演技に痺れさせられます。シナリオがいいのはもちろんのこと、声優の力があるからこそ、ここまで感動的なシーンになるのだなあ…と思いました。クライマックスのシーンは鳥肌モノ。
~鳳ちはや~
天然な転校生。僕がイチオシしている…という話はここではいいですね(笑)パワーファイターという設定から予想される通り、バトルしまくりな燃えゲーでした。温度的な意味でも熱かったです。詳しくはゲーム本編にて。
先ほどの小鳥ルートと同じく、萌え描写は少なめ。というか、咲夜が目立ちすぎだったような気も…まあ、シナリオ展開的に仕方ない面もありますけど。だが、たまに見せる可愛さが引き立てられているという考え方もできるかと。
バカで空気読めないところもある娘なんですけど、ヒロインの中で一番まっすぐなんですよね。他のヒロインが色々と影がある中、彼女だけ違って見えるのは、そういう部分からかもしれません。要するに、ちはやは可愛い(笑)
~千里朱音~
オカ研会長、唯一の先輩。メインヒロインの中では最後に攻略したのですが、シナリオがまた一風変わった感じでしたね。重点を置いて描写されている部分が他のヒロインと違っていて興味深かったです。詳しくはネタバレになるので割愛。
彼女に関して言えることは、照れ顔の破壊力がヤバい(笑)体験版では全くデレるシーンがなかった分、ルートに入ってたまにニヤニヤさせられるシーンがあると、テンションが上がりまくりですwギャップ萌え、大事。
複雑な運命を背負っているがゆえ、ちょっとめんどくさいキャラにもなる彼女ですが、その暗い部分、弱い部分を理解することができれば、好きなキャラになるんじゃないかなーと思います。オカ研では最高権力者な彼女ですが、実は一番弱い人なんだろうな、と。
~中津静流~
癒し系な後輩。彼女がいるだけで場の空気が和みます(笑)吉野とか、他のキャラが静流に振り回されてるところを見るのが面白い。あと、瑚太朗の脳内翻訳と、静流の脳内を覗けるシーンは必見。詳しくは本編で。
そんな感じのほんわかする後輩なのですが、シナリオは全力でKeyらしさが出ていました。まあ要するに、泣きゲー、急展開、少しの鬱などなど…先を読むのが少し怖いシナリオでもありました。静流の癒しが健在だったのが救いですが、それが逆に心にダメージを与えることも…
クライマックスのシーンはハマると凄まじい破壊力を生み出すと思います。実際、僕の目もこの直撃を受け、途中から汗が流れっぱなしに…あんまKeyらしくないシナリオが続いてたので、完全に不意打ちでした。
~此花ルチア~
潔癖症な委員長。どうやら竜騎士さん担当のシナリオらしい、という噂を聞いて、どんな感じなんだろう…と思っていたら、一番イチャイチャしてたシナリオでした(笑)あれ、ルチアってこんなに可愛い娘だっけ…
そういう部分だけではなく、シナリオ全体としても他のルートと比べて異色。個別ルート最初の雰囲気からクライマックスに至るまで、独特の空気が流れっぱなしでした。キャラの性格も他と比べてズレがあったような気もするけど…瑚太朗、こんなヘタレだっけ?
まあでも、話としては面白かったのでよし。個別ルートの中ではかなり好きな部類に入ります。そして彼女がいつも手袋をしている理由…詳しくは伏せますが、これを知ってしまうと他のルートに入りづらくなる、とだけ。
~篝~
今作の真ヒロイン。彼女についてはどう語ってもネタバレになるような気がするので、一言だけ。
二次創作に期待。うん、わけがわからんね。
これだけで終わってしまうのもアレなので、TRUEルートについて書いていきましょうか。わざと説明を省いているところがあるので、考察のしがいがあるシナリオだと思います。TRUEルートは2つあるのですが、その2つの繋がりや、「一本道の選択肢」の意味に気付くと、物語としてもっと面白くなるだろうと。
というわけで、じっくり考えながら読み進めるのが吉。そしてクリアしてから他の人の考察読むと、面白さが倍増すると思います。自分では気付けなかったこと、色々あると思うので。ビジュアルファンブックもオススメ。
~吉野晴彦~
クラスメイト。厨二病。最初は「なんでこいつ、こんなにキレてんの?」という印象しかなかったのですが、真相を知って納得。おそらく、Rewriteの登場人物の中で一番ブレない奴です。どんな状況でも自分の信念を貫いているので。
彼の考えがわかると、序盤のよくわからない絡みも、瑚太朗に対する怒りも、全てが理解できるんですよね。リトバスの男キャラに比べてインパクトは薄めだけど、かっこよさで言えば吉野の方が上なのではないかと思えるくらいです。
そんな面もありつつ、ギャグシーンでも大活躍してるのが面白いところw吉野の歌とリミックスは必聴。というかスタッフ、いったいどこに力入れてるんだよ…w
キャラについて語ったところで、おまけルートについて少し。
前作のリトバスのように、オールクリアした後に見られるおまけルートがあります。前作は「筋肉END」というしょーもないにもほどがある(いい意味で)シナリオでしたが、今作も同じくらいしょーもないです。いい意味で。
そのルートの名前は…クリアして確かめてください(笑)まあ、結構話題になってるのでご存じの方もいらっしゃるとは思いますが。まあ、キャラ崩壊と世界観の崩壊が凄まじく、爆笑しっぱなしなENDでした、とだけ言っておきます。これを最後に持ってきて良かったのか、Keyスタッフ。
最後に僕の好みと、推奨攻略順でも。
キャラの好み
ちはや>>>>ルチア>小鳥=朱音=静流>篝
ちはや以外はほぼ横一線だったり。
ルートの好み
ちはや>ルチア>篝(TRUE)>静流>朱音=小鳥
これもほぼ横一線。どれも面白かったですよ。
推奨攻略順
小鳥→ちはや→ルチア→静流→朱音→篝
世界観の理解的にも、この順番がいいと思います。小鳥とちはやは逆でもいいかも。あと、静流と朱音は攻略制限がかかっています。静流は小鳥ルートクリア、朱音はちはやルートクリアで解放されます。