雰囲気の良い作品。読後感も悪くないが、メインヒロインへの比重が大きいのは賛否分かれるかな。
淡い感じの絵と音楽、中盤から一気に盛り上げるシナリオ、使いやすいシステムと秀作に分類される作品。ヒロイン達や野郎sもそれぞれ非常に魅力的に描かれていると思う。Trueルートで各キャラの問題を丁寧に解決されるいるのも好印象。
ただ、主人公がかなり空気に近いのが難点。他作品と比べると、主人公はかなり良く動いてはいるのだが、主人公の母親となずながチートレベルであるためにとても影が薄くなってしまっている。主人公にもなんか必殺技?が欲しかったかも知れない。
あと、他の方も書いているが、凛シナリオはもっと救いのある結末にできなかったかと思う。ルートに入らなければ凛達は救われるのだが、ルートに入ると犠牲になってしまうというのはゲームとしてはなんとも微妙。Trueルートを見る限り、いくらでも救済の余地はあるように思えるので、この点は追加シナリオシステムを活用しても救済措置が欲しい。
個人的には沙織&圭二にも救済が欲しいところ(作中でもその気になれば救済できそうな表現になっている)。
ちなみに私は東北大震災後にこの作品をプレイしたが、震災前にこの近未来のシナリオを書けたというのは偶然はあるにせよ、すごいと思った。
行き過ぎたテクノロジーによる利便性と暗部を書いた作品は多いが、テクノロジーを全否定するのではなく、間違いを繰り返しながらでも正しい方向に向かうものだと前向きに書かれているのが印象的。作中では現実では原発を全廃する方向のドイツで放射能事故が起こっているというのも偶然とはいえ皮肉である。