素材が悪いと料理しようがない。蜀の作りと将のキャラ性が蜀は悪い方にまとまっている
真で評価が悪くなかった他二つのルートに比べても出来が悪いと言われていた蜀ルート。
別物と言えるほどの変化はあるものの劉備万歳の蜀という国が歴史からして個人の武勇などは優れててもキャラとして深く掘り下げるのに向かないというのが前提としてある。
桃香を持ち上げるシナリオは意固地の強調と主人公空気化でもあるので主人公としては一番空気でもある。
まず蜀と武将たちのキャラ問題。
劉備は理想を語るだけで他国と比べて君主としての魅力に劣り、一刀は何もせず肩書だけの置物。二人を信仰して褒めちぎりながら明らかにおかしい、間違っている部分でも付き従ってしまう将たちまでも武力や知力しかないように見えてしまう。
魏や呉編で曹操達に言われたように幻想を抱きつつ現実を見据える覚悟が足りないというのを全編通して国を挙げて繰り広げてしまっている。
桃香は皆の後ろから応援する立場だから武や知で活躍しろなんてことは言わないが、性格や周囲との会話のせいで覚悟は感じず周りが支えて当然の立場に甘んじているお飾りでしかない。これは桃香のキャラだけが悪くはないのだが愛着は湧かない。
描写から理想だけで現実を見る覚悟が足りていないと感じてしまい、重要な判断や苦悩が他人事のようで浅い。
重く悩む場面でも支えると言って回りが甘やかしてしまう。躾の出来ない親じゃないんだから桃香の下ではなく横に立つ人物が必要でそれこそ主人公の筈なのに正直何もしてない。呉では君主に苦言を呈するのは日常茶飯事だったし、魏でも主人公はもちろん桂花ですら華琳に自分の意見を申していたのに。
個人的な感想だが、他二国のシナリオで出てきた時の印象も蜀(のキャラ達)は頭一つ抜けて悪い。
絶対君主の理想をかなえるべく優れた将(主人公含む)達が一丸となって覇道を目指す魏
大陸全土を平和にするため孫姉妹を中心に互いを支えあいながら血を流してでも戦い続けた呉
「桃香さま、ご主人様」を連呼しながらみんな仲良しの新興宗教が力押しした蜀
加えて前の二作にも言えるが絵の劣化を一部に感じる。
解像度は上がっているのだが、比べると10年前の方が可愛く魅力的に見えるキャラやシーンも多い。
新キャラは見た目もキャラも悪くないのだが、既存キャラは技術面だけでなく画力も上げて欲しかった。
結局メインヒロインと言える君主が薄いのと主人公が無能というより空気なおかげでキャラの魅力が足りず、シナリオも他二つに比べて大きな山もないため劣る作品となってしまった。
ただ新キャラたちは個別ストーリーも面白く魅力的で愛着が沸いたし、以前のキャラも理不尽に暴力を振るう場面などが減り比較的好印象。共通テキストも全体を書き直しているだけあって真よりも全然面白い。
素材が既に決まっていた作品としてはかなり良作。ただ満を持して出した最終作として最高かと言われると、魏>呉>蜀だと感じてしまった。
既存キャラシナリオも更に大きく書き直してもらえれば更に良い作品となったかもだし、シリーズファンとしては全新キャラも含めた最後のファンディスクは出して欲しい。