どのルートも好みはあれど失速などはなく最後まで楽しめた。特にリンカルートは他作品含めても相当上位の素晴らしさ。
知人に勧められて範乃秋晴さんの他メーカー作品(アペイリア)をプレイ後、過去作であるあの晴れわたる空より高くと今作を購入。メーカーが無くなってしまっているのはとても残念だが作品の出来は素晴らしかった。
範乃さんの作品の特徴として主人公が関わる事への専門的な知識を上手いことシナリオで教えてくれることがあると思う。
前作のロケット関連の知識は専門的な技術や知識に興味をもてて楽しく勉強になったし、今作でも知らなかった農業関連の知識を教えてもらった。別メーカーでの作品もしっかりとした下調べの上でシナリオを描いていると分かる完成度。
そのうえで女の子との恋愛も魅力的に描かれているから読んでて楽しいし、今作はグラフィックや音楽も好みで全体の出来がとても良かった。
最近としては珍しい短いイベントを選択して進んでいく形式でコンプは大変だが、個別へ入ることは問題なく出来るのでシステムに不満は無い。多くの人に未読のシナリオが出来てしまうことがもったいないとは思うが。
女の子たちは個性豊かでありながら全員好感が持てるし、QPは最初ウザいと思うこともあったが主人公の為に色々してくれているのは本当だったので3週目ぐらいからは愛着も湧いた。
ここからは攻略順と感想
1.彩雨はゲーム好きな面や好物を前に目を輝かせている様子がかわいいし、イベントや付き合い始めてからも素直な様子が愛らしくて良かった。
だからこそ好きだったものに触れることも出来なくかわいそうだと感じてしまった個別ルートはバッドエンドでは無いが不満が残る。農薬問題などを考えるきっかけにはなったが、今作で唯一不満なシナリオ。
2.友希は幼馴染であり下ネタを連発する異性より友人に近い関係だったので個別に入ったら失速するかと思っていたが、想像以上にかわいかった。あの晴れやアペイリアを思い返せば下ネタを含めた恋愛シナリオを下品にはせずに面白く描くのが上手かったわ。
重い流れに持ち前の明るさと二人の想いで正面から向き合っていく様子が良かったし、主人公の料理人という夢がシナリオに深く絡んでて将来を視野に入れながらも今を幸せにする二人をずっと応援したくなる。
3.まひるは初見こそ小生意気だったが子供らしい可愛さと主人公への好意が隠しきれていないところが魅力的でやり取りが楽しかった。冷静に見て手を出したらやばい年齢だが、根は優しいまひるとの恋が周りの人たちに見守られて再び実る様子に心温まった。
4.千穂はシナリオが一本あるサブヒロインのような関係。
千穂以外のヒロインはほぼ登場せず、プレイヤーはミスリードや夢か現実かわからなくなるような状況に頭を悩ませながら(いちゃいちゃと)記憶を辿っていく。
千穂というヒロインは可愛いし最終的には謎も繋がりハッピーエンドでシナリオ自体は満足だった。でも他のヒロインとは雰囲気が違ったし、まやや絵里を押しのけて入れる内容だったかは少々疑問。
5.他でも評価の高かったリンカ。
各ヒロインとのルートで相手との関係を深めながらも自分の夢へ努力する主人公はとてもカッコいいし、料理バカだということもよく分かった。
だからこそ同じく夢を追うリンカに会ってすぐ惹かれ合うことも分かるし、おちゃめな性格がとても魅力的でデート一つ一つもドキドキしてしまう。そしてタイトルの通り心から好きという気持ちを言ってほしいがそれを言いづらい二人。
QPの忠告を超えて迎えるリンカへの告白ルートは、ここまでの各ルートで主人公の料理への思いを知っているから自分も感情移入してしまう。そしてリンカという少女の愛の重さが嬉しいからこその葛藤。その後の展開も含めて素晴らしいシナリオだった。
告白しない結末もしっかりと見せてくれるのが今作の良いところ。どちらもハッピーエンドに繋がるがどちらが良かったわけでもない。でも主人公とリンカは目を背けずに全力で互いの夢と恋を叶えた。
各ルートとても満足のいく内容だった。シナリオ、グラフィック、演技、支える音楽やシステムまで完成度が高い良作だった。
でも最後に言わせてほしい。絵里とまやさん凄くかわいいんだけど。
まやさんは明らかに好意持ってるし、絵里も異性の中で主人公だけ好感度かなり高いよね?
攻略出来ないならそんな描写しないでよ…生殺しだよ!