ErogameScape -エロゲー批評空間-

cepardさんの蒼天のセレナリア ~What a beautiful world~の長文感想

ユーザー
cepard
ゲーム
蒼天のセレナリア ~What a beautiful world~
ブランド
Liar-soft(ビジネスパートナー)
得点
95
参照数
326

一言コメント

スチームパンクと冒険の魅力溢れる作品。

長文感想

欠点はあります。主に目に付いたのは3点。

SLGパートは探索してMAPを埋めていくコンセプトは良いと思うのですが、
移動とその地点を調べる以外にとれる選択肢がない点、
移動中の突発イベントの種類があまり多くは用意されていない点、
そして最初から拠点や目的地が表示されているので、町での情報を元に自分で目的地を探す楽しみが薄い点から、
SLGパートはシステム的にも雰囲気的にも全体的にスケール小さいものに収まってしまった感があります。

物語を支える重要で且つ魅力的な登場人物が多く出てくるのですが、
SLGパートと一部のイベントでは声がなく、男性キャラに至っては声は一切ありません。
作中で大いに盛り上がるであろうシーンで声が出ないのは非常に残念に思えました。

作中で語られなかった設定や背後関係、終盤で説明不足になっている部分などにより、
若干消化不良気味なところが見受けられます。


上記以外にも欠点は探せば色々と出てくるかと思います。
でもそれらの欠点を補って余りある魅力がこの作品にあると感じました。

まず「青い空」と「青い海」この2つを肌で感じながら冒険するワクワク感は特筆ものです。
普通の日常にはない何か素敵な感情を呼び覚ましてくれるようでした。
登場人物は主人公をはじめ敵味方男女問わず皆どれも魅力的で物語を大いに盛り上げてくれます。
音楽もOPテーマをはじめ、どれも作品の雰囲気をよく表現していてとても良い感じです。

こういった全体の雰囲気が、スチームパンクを土台とした物語の世界観をより魅力的に引き立て、
プレイヤーを物語にグングン引き込んでいきます。


正直なところこの作品は誰にでも勧められるものではありません。
自分の求めるものがこの作品にない場合はただの凡作になるかと思います。
少なくともエロ目的では勧める事はできません。
ですがこのゲームの世界観や雰囲気に興味が湧いた方は是非プレイしてみてください。

私はこの作品をプレイしてとても良かったと思っています。