ポップに覆われた世界観の中に渦巻くどす黒い現実と、そしてロック
ヒロインの納骨シーンが見られるのはキラキラだけ!
…を最初は一言コメントに載せようとしたんですけどあまりに悪趣味な上にネタバレを堂々と晒すのはルール違反なのでやめておきました。
まあ、おかげで随分恥ずかしい一言になってしまいましたが、まあ、それだけ恥をかいても構わないほど好きなゲームなのです。
僕はいたいけな彼女のレビューで「キャラクターがキャラクターでありすぎる」と分かってんだか分かってないんだか自分でも分からないスパイラルなことを書きましたが、キラ☆キラは違うと思うんですよ。このゲームのキャラクターには、とても感情移入してしまうんです。
それはおそらく人間としての「個性」がうまく描けているからなんでしょうね。
記号としての個性(ツンデレ、めがねっ娘など)でなく
人間としての個性です。
例えばきらり。
彼女は明るく、無邪気で、やけにシャイなちょっと変な女の子です。
これだけ見れば彼女は裏表のないとても優しい子のように映り、現実疲れしたユーザーに安心をもたらしてくれるでしょう。
しかし彼女には実はアル中の父と虚弱体質な母と二人の幼い妹を支えるために労働に自分の時間を費やさなければならず、学校の成績はいいのに、大学には諸々の都合で通えそうもない、というバックボーンがあります。
自暴自棄になってしまってもおかしくないほど辛い環境に彼女は生きているのです。
これを考慮に入れてみれば彼女が普段、明るく無邪気に生きているのを不思議に思うかもしれません。
しかしそこに彼女の人生の哲学があるのです。彼女の人生が浮き彫りになっていくのです。
僕らが彼女のシナリオを通して見るのは、彼女の一時の栄光と幸福、そして襲いくる理不尽な現実、そして解放です。
だけでそれで終わりじゃない。
語り部である鹿クンの人生は残酷なことに彼女を失ったまま続いてゆくのです。
今度はヘラヘラと投げやりに、日々を無感情に下層社会で消費していく鹿クンを僕らは見ていくことになるのです。
…まさに鬱ゲーの名に相応しい展開といえます。
でも、僕はキラ☆キラは鬱ゲーじゃない、とあえて言い切りたいのです。
確かに沈んでしまう話もありましたが、それでもエンディングに感じたのは確かな世界と人生への「希望」と「活力」でした。
ぜひとも、鬱な人にこそやって欲しいゲームです。
…そういう意味での鬱ゲーとは言えるかもしれませんね(笑)