(GiveUp) 「エロゲLOVE」が全く感じられなかった古い作品
・エロゲLOVE
エロゲをプレイすることは恥ずかしいことだと思っている部分が自分にはあって、
そんなマイナス感情は、作り手の「楽しませてやる」という姿勢で中和されていく。
プレイしているうちに恥ずかしいなんて感情はなくなって、楽しくなる。
だから、「楽しませてやる」「これでどうだ」という姿勢が無い/少ない作品をプレイすると、
恥ずかしさが中和されず、いたたまれない気分に襲われる。
作り手がエロゲをどう思っているか、という大きな部分はあまり需要ではなくて、
作品を愛せているか、そこに自分を反映できているか、という小さな部分が重要。
例えば、嗜好丸出しのキャラ、人生観丸出しのシナリオ、趣味丸出しの世界観などなど、
そういったもので、作り手には己をさらけ出して欲しい。
勿論、やりすぎたり、あざとかったり、傾向が合わなければ「なんだコレ」と思ってしまう。
そんな諸刃の剣ではあるけれど、作り手の顔がいつまでたっても見えてこない作品よりはマシ。
「エロゲ作品に自らを投射する姿勢」が、読み手には「エロゲLOVE」と感じられる。
エロゲに限ったことではないけれど、そんな作品が自分は好き。
・『偽善』
「エロゲLOVE」が、全く感じられなかったWin95/98世代の古い作品。
コマンド&場所移動タイプだから、ある程度は画一的なテキストになるのは仕方ない。
「何もないようだ」で済ませてもらって構わない。いちいち凝ったテキストではウザい。
ただ、いつでもどこでも「何もないようだ」の延長線みたいなテキスト。
セリフや描写が恐ろしく表面的で、とても味気ない。
ライターさんが自分をひたすらに消して書き上げたような印象を受ける。
それが実に虚しく、キツかった。
・内容
主人公は保険医。女生徒を薬で眠らせて陵辱していた常習犯なのだけど、
ある日途中で薬がきれてバレてしまい、保健室横のトイレの個室に監禁する。
平均3週間監禁するとアクションが起こって、親や担任が主人公に詰め寄ってくる。
そんな親や担任を返り討ち、つまり陵辱し、生徒を解放し、また別の生徒を監禁する。
その繰り返し。
そんな淡々と進むありえない陵辱劇。もう開き直って笑えるか、というとコレが笑えない。
画面からほとばしるチープ感とか、突き抜けた投げやり感とか、そこまでのモノがない。
中途半端だから「クソゲマニア」な人も満足できない気がする。
・エロ
監禁すると、口・本番・アナル×昼・夜=6パターンのエロシーンを回収できる。
親や担任は1~2パターンのみ、だと思う。
女の子の絵は意外とかわいらしい。覚えてないけど、多分、コレで買ったのだと思う。
ただ、つまらないセリフしか言わない人形のようなキャラばかりで、自分には合わなかった。
『あのね、今日すっごく面白いことがあったのー。でも、教えてあげないよっ』
普通のエロゲであれば、こんなセリフも「アハハ、こやつめ」とか笑えるのだけど、
この作品では脱力感しか生まれない。
・補足とか
一応、XPでも普通に動いた。ウィンドウ化も出来るし、システムは良い。
ただ、立ち絵がいちいちフェードイン・アウトするのがたまらなくウザい。
その待ち時間がプレイ時間の3割くらいを占める気がする。カット機能が欲しかった。
ちなみに、「偽善」は、
△犯行を隠して善人面で過ごす自分が偽善者、
◎陵辱したいのにしない他の奴らが偽善者
非クリアで、確かなことは言えないけれど、そんな感じ。
主人公の内面描写がもっとあれば、独自な面白さが出た気がする。
とりあえず、当時ならともかく、今となっては、プレイは全くおススメできない。