殺伐としきった本編を読み終えた者にとってはまさに求めていた日常を主体としたFDとなっている。雰囲気はそのままに適度にコメディ要素が挿入されており非常に良い塩梅でした。
・シナリオ
プレイ時間は8時間と短いが、求めていたものが綺麗に揃っていたので満足しています。
日常に焦点が当てられており、適度に本編での殺伐とした要素も垣間見える絶妙なバランスが素晴らしい。
本編であれ程殺伐とした雰囲気に振り切れていたからこそFDの日常がより映えている。
この非日常と日常を本編とFDで完全に分ける手法は非常に作風と合っていると感じた。
また日常が主体となっているとは言え、変化の少ないシナリオが続くという訳ではなく、先の気になる展開や事件がきっちりと用意されているのも素晴らしい。
まさにユーザーが求めていた形のFDと言えるでしょう。
それと本編と同様にFDにもオーディオコメンタリーがクリア後に解禁されるので、忘れずに聴いておく事をお勧めします。
声優の素の部分が垣間見える貴重な機会なので、個人的にはこういった趣向はとても気に入っています。
・絵や背景
本編の品質がしっかりと保たれており満足しています。
背景は基本的に写真を加工したものとなっているが、作風との相性はしても良い。
写真を加工する手法は手抜きと見られかねない手法だが、本作品では上手い具合に作風と合うよう加工されており、ただの手抜きでは無い所が良い。
・音楽
これはすべて前作からの流用である為語るべきところはない。
・システム
必要とされるものはほぼ全て揃っている。
設定画面の文字が小さい事のみ残念。
個別ボイス設定画面のtestを押すとこの場専用のボイスが再生される点は地味に嬉しい。
個別にボイス音量を調整する必要が無くとも一度は聴いておくことをお勧めします。
・総評
本編をプレイされて高評価を付けている方ならば迷わず購入すべきFDとなっていました。
完全に物語の幕を閉じていた作品のFDとしてはこれ以上無い出来だったのではないでしょうか。