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bakabakamankoさんの変身願望の長文感想

ユーザー
bakabakamanko
ゲーム
変身願望
ブランド
WendyBell
得点
78
参照数
4060

一言コメント

わははは、井上氏!もはや、のがれることはできんぞ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

井上氏はしがないサラリーマン。
課長のお付き合いで苦手な酒を飲んでは吐いてそして潰れる、そんな日常。
背が低いし童貞だし、冴えないのは自分でもわかってる。
理想とする女性像は持っているものの、自分がそういう女の子と仲良くなれる明るい未来像まで持とうとは思わない。
何といっても、まず女性への口のきき方がわからないからどうしようもない。ただ1人の会社の同僚を除いては。
その女、名を穂瑞理央(ほずいりお)というのだが、他の女子のようなメイクも装飾もせず、無造作に短く刈られた黒髪と眼鏡で淡々と仕事をこなす。一言で済ますと女っ気の無い女というやつだ。おまけに井上氏が到底届かない所に手が軽々届いてしまうくらいの長身ときている。
理想とは程遠い女なのだが、それが却って女と認識せずに接することが出来る要因となり、井上氏は穂瑞理央とはわりと普通に会話が可能なのであった。

そんな井上氏の目の前に天使が降臨する。とある個人ブログで自前のコスチュームを披露する「りよん」と名乗る女の子。ブログ閲覧者の熱い期待に応え続けるエロくて可愛くスタイル抜群のコスプレイヤーだ。井上氏にとって現実では会話など不可能と思えるタイプの女の子なのだが、ネットだからどんどん交流出来てしまう。井上氏、ご満悦である。
そのりよんちゃん、いやりよんさまが遂に撮影会を開催するという。馳せ参じた井上氏、本物のりよんにたいそう感激したらしい。頑張って撮った『りよんの大股開き』を自身のHPに掲載したが、りよん本人から勝手にアップするなとの注意を受け、冷静さを取り戻す。
「りよん」はあくまでも理想であり、現実では無い。現実に生きる以上、現実を見ていかなければならない。そして現実に女はいる。とても近い所に。
井上氏は意を決して穂瑞理央に告げる。「僕と付き合わない?」
女の反応は好ましいものでは無かった。それもそのはず、色男でもない井上氏が何の技巧も凝らさず突拍子もないことを言い放ったのだ。相手が誰でも戸惑う他にない。
それでもこの一言までに、彼なりにそれらしい言葉や態度は彼女に向けて発信していたつもりだ。彼女との接点を確保しようと、仕事の合間に頻繁に話しかけた。女にはしつこいと思われた。彼氏がいるかどうかを確かめようとした。女には余計なお世話だと思われた。体調を気遣った時は言葉が足らず、女にむかつかれてしまった。
駄目元の告白はやはりダメに終わり、穂瑞理央からは返事すら貰うことが出来なかった。自分なんかの誘いには返事をするまでも無いということ、ハナから男として相手にされて無かったことを痛感する井上氏。それでも氏には「りよん」がいた。
2度目の撮影会で井上氏はりよんからの視線を感じる。いや、明らかに自分の方を見ている。何度も目が合うことに意味があると確信した氏は、りよんに個人撮影会を提案する。快諾してくれたはずのりよんだが、現場で会った彼女は何故かピリピリしている。とりあえず平謝りで事なきを得る。
ここでの撮影会も成功に終わり、氏は活力を取り戻す。
りよんちゃんがいれば僕は大丈夫なんだ!と…
現実の女への未練を断ち切った氏、自分をフッた穂瑞理央にいつものように声をかける。
「穂瑞はそのままでいてくれ。話しやすくていい」
氏としては褒め言葉を混ぜたつもりだったのだが、穂瑞理央には女扱いをしていないと受け取られ、更なる怒りを買ってしまう。
そんな彼女の怒りもどこ吹く風と、氏は再びりよんとの個人撮影会に赴く。
そこで氏は、この世のものとは思えない恐怖と快楽を味わうことになる─────

というようなお話を女性視点でプレイしていくのがこの「変身願望」です。
ヒロインの理央さんには井上氏の他にもいろんな人がちょっかい出してきます。
でかいちんこに弱いという部分を除けば、理央さんかなりイイ女だと私は思いました。
私も井上氏が言うように理央さんはそのままがいいと思いますが、好きな男から言われでもしない限り、今の自分を変えたいと願う女性にはきっと意味の無い言葉でしょう。
だいたい、そのままでいてなんて言われても困ると思います。一度しかない自分の人生、好きにやらせて欲しいものです。