まったりとした雰囲気に癒される。
今までのAXLのゲームの集大成がここにあるという感じ。
キャラクターは皆きちんと住み分けが出来ており、そのうえでそれぞれに魅力を感じるように作られているところはAXLのお家芸ではあるが、今作は特にそれを感じられた。
それを生かすために非常に多くの工夫がされている。
シナリオは各キャラごとに焦点が当たるような小話をいくつも作ることによって、ヒロインだけではなくサブキャラ、モブキャラにも個性を感じられるようになっている。
テキストは万人受けしやすく分かりやすいものになっている。
声優陣を実力派揃いで固めたことによってより一層キャラクターに愛着が持てる。また其の声優陣もAXLにゆかりがある方々なので、旧作を知っているファンには嬉しい限り。
BGMは世界観にマッチした穏やかなものから、危機感が伝わる緊迫感のあるものまで不自然さがない。
等々、言ってしまえば当たり前のものばかりなのだが、それを実際に体現できているものは意外と少ないと思う。しかしこのPrincess Frontierはそれらを体現しており、素晴らしい出来栄えであることに疑いの余地は無いだろう。少なくとも自分はそう確信している。
ではそれだけべた褒めしておいてなぜ満点を付けないのか。
それはメインヒロインであるアルエルートが、大団円で終わらないからである。
いや、正確に言うならば確かにあのルートは大団円である。いつものメンバーと心温まる生活をポルカ村で送る。それはキャラクターたちにとってはこの上ない大団円であろう。
しかしそれにしてももう少しやり方があったのではないか?と思わせるのもまた事実なのだ。
Trueエンドを近い視点で見れば、ポルカ村でみんなで暮らしてめでたしめでたしなのだ。しかしもう少し離れた視点で見ると、リュウは死んだこととなっており、アロンゾは左遷されたまま、第三皇女は王都からはるか遠い寒村で暮らすと言い張る。
・・・。いや、もうちょっと救いようのあるエンドって無いのかなぁーとか思っても仕方が無くないですか(笑)?
まぁ幸せの定義というものを問いかけるエンディングというのがスタッフの狙いだったのだろうなーとか思うと、むしろこのエンドはとてつもなく凄い物だと思うし、実際それが狙いだったのだろう。これはあくまで自分の我侭+意地悪なので(笑)。
とにかくとても楽しめた作品でした。スタッフの皆さんありがとう!!